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134・愛しのスーパードールまりあ7
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134・愛しのスーパードールまりあ7
―最近、小田和磨の感じが変わっているー
和磨の職場ではこんなヒソヒソ声が飛び交うようになっていた。同じ職場にいる彼らや彼女たちは、小田和磨が妙なオーラを纏い始めたと見たり感じたりするようになった。
「なぁ和磨、ちょっといいか?」
同僚の友人が和磨に声をかけた。昼休み時間がもう少しで終わりを迎えようってときの喫煙所で会話に持ち込む。
「和磨よぉ……おまえ、最近ちょっと変わったよな」
まずはそう切り出し、ライターの火を貸してやる。
「そうか? おれはいつだってマイペースの小田和磨だよ」
フゥっとタバコの煙を吐き出す和磨だが、その顔は奇妙にやさしい。つい以前、ましてフラれ居酒屋で愚痴っていた時にはなかった、トンネルを抜けた男みたいな感じが漂う。
「おまえ、なんか良い事あっただろう? 言えよ、教えろよ」
「いや、別に何も、おれはフォーエバーそのままだ」
「いやいや、和磨よぉ、絶対何かあるだろう」
友人はタバコを咥えながら、すぐそこにある自販機で缶コーヒーを2本購入。そのうちの一本を和磨にくれてやる代わり、教えろよと食い下がる。そして彼はそれを当然のことだと思う目を相手に向ける。
友人曰く、小野和磨はここ最近付き合いが悪い。昼ご飯を同僚とやることはなく、いつも一人でカバンを持って昼飯とか言って消え去る。本来ならそれは根暗なふるまいと言える。だがどうだろう、根暗どころか和磨からは心の余裕みたいな感じが漂っているではないか。きれいな川の流れが太陽の光を浴びて一切の迷いを知らないかのごとく。
「和磨……おまえ、女ができたんじゃないのか?」
そう言われて和磨は一瞬考えた。まりあという最愛の存在が出来て、毎日夢中になって心身共々愛し合う事で人間が豊かになったという事実を教えるかどうか? 教えてもいいのかな? と思うよりも、教えたら色々やっかいだろうなと思う方がつよいから黙っている。
「いや、特定の女はいない。いるとすれば心の中、妄想彼女ってやつかな」
「妄想彼女? 中学生じゃあるまいに……和磨、おまえいつも昼飯とかどこで食っているんだ? この辺りの店で見かけた事がない」
「この辺りは飽きたからな、ちょっと散歩をかねて遠出しているだけだ」
「どこら辺だよ」
「それは秘密。なぜならプライベートは他人に侵されてはいけないモノだからな」
和磨はほんとうの事を言わなかった。昼になったらまりあが作ってくれたお弁当を日当たりのいい公園でウマウマ食べているとは。
「いいじゃねぇかよ、友だちだろう? 友だちだから知りたいんだよ、もしおまえに彼女が出来たというなら祝福したいんだよ」
しつこい友人から出るちょい感動的っぽい言葉。そういうのを聞くと、こいつにだけは言おうかな? なんて気にさせられる。だが今の和磨は何よりまりあが大事であり、そういう存在を得たことで心は広い。だからとても冷静かつやさしい目と口調で友人に言うのだった。
「ひとつ言ってもいいかな?」
「な、なんだよ和磨」
「なんでも知りたがるのはよくない。それは相手に対する配慮が虫歯みたいに欠けているってことだ。たいせつなのは見えない所に配慮と思いやりをもってやる事、それがラブ&ピースの基本、ちがうかな?」
「えぇ……」
「ま、心配しないでだいじょうぶ。おれはおれでうまく生きている。だからおまえも自分のために、そして出来る事なら自分を思ってくれる人や夢のために生きればいい。おれなんかを気にしている場合じゃない、もっと他に考える事はあるだろう? 人生とか時間をたいせつにしろ」
そう言い終えた和磨がニコっと神のようにやさしく微笑み、ポン! っと肩を叩いたら、叩かれた友人は何も言い返せなかった。それどころか、自分がひどく幼稚な人間みたいに思わせられ、和磨が聖人君子みたいに思えたりした。
「さて、帰るか」
仕事が終わった和磨はグーっと心地よい背伸びをする。今やまりあという魅力的でやさしい爆乳な彼女がいる。仕事が終わったらまりあの元に帰るだけ。そして夜って時間が進んだら、まりあの豊満な胸に帰るだけ。それは帰る場所があるって事だから、以前とは別人のごとく心に余裕を持った男となっている。
「小野先輩!」
ビルを出たところで和磨は後ろから声をかけられた。
「うん?」
振り返ると一人のOLこと同僚の年下女がいる。それはショートヘアーが似合う標準的なフォルムながら、出るところはしっかり出ているさわやかフェロモンという感じの女。以前の和磨はこの後輩のふくらみ具合をチラチラよく見ていたし、気迷い的に恋焦がれたりした事もあっただろうか。
「先輩、ちょっといいですか?」
「なに?」
「ちょっと話がしてみたくて、喫茶店とか」
5つ年下のFカップって巨乳OLこと内田由紀が、ちょい離れたところにある喫茶店「語り合う時間」を指さす。
「いや、おれはもう帰るから」
以前の和磨とちがい、実にサラっと言い返す。さらに言うなら由紀の豊かな胸にもほとんど1ってくらいしか熱視線を送らない。まりあという愛しいJカップグラマーな彼女を持った和磨にしてみれば、内田由紀に心が揺さぶられるわけがなかった。
「むぅ!」
由紀は和磨の進行を妨げるかのように立ちはだかった。そして言ってやる、以前と少し変わりましたよね? と。
「べつに、おれはいつだって小野和磨、死ぬまで小野和磨、それ以上でもそれ以下でもない」
和磨は実に余裕ある顔を見せた。とてもゆとりある心の持ち主という目で、26歳の男とは思えない大人の領域ってオーラを浮かべる。
「いや、絶対変わっていると思うなぁ……」
由紀、ここで意図的にちょい肩手を胸に当てて見せる。和磨が以前よりチラチラ気にするように見ていたことは知っているし、まったく男ってやつは! と毛嫌いしてもいた。しかし今や和磨はほとんど目線を向けてこなくなっている。見られなくなったら見せたくなるという女のワガママが今の由紀を動かしているのだった。
「わかった、ちょっと……」
和磨、ビルの端っこに置いてある灰皿を前に立つとタバコを取り出す。そして一本咥えて火をつけたら、何がどう変わったのか語ってみ? と促すのだった。それは大変な包容力みたいであり、由紀を少々ドキッとさせる。
「わ、わたし知っているんですよ」
「なにを?」
「先輩……ちょっと前に、川口先輩に告白してフラれましたよね? こういう事はすぐ広まるモノでみんな知っています。ちがうとは言わせませんよ?」
「うん、そうだな、フラれた。否定なんかしないよ」
「な、なにを悟ったみたいな顔で言っているんですか……おかしいじゃないですか?」
「どうして、なにがだ?」
「先輩26歳ですよね? ふつう……フラれたら荒れたり下品に陥ったりするはずです。例えるなら、女を皆殺しにしたいと謳うような感じで」
「そんな物騒なこと謳ったりしないって」
「それ、その何て言うか不気味にやさしい感じ。それが気になるんです」
「不気味は傷つくなぁ。他になんか言い方ってない?」
「う……そ、それは……」
「内田、良い事を教えようか?」
「な、なんですか……」
「言葉ひとつで人は幸せをつかんだり掴めなったりする。せっかくかわいい女子とか言っても、言葉の選び損ねで損をしたらもったいないだろう。かわいい女子っていうのが台無しになってしまう、そう思わないか?」
「な、な、何を言っているんですか……」
由紀、顔を赤くして少し後ずさり。目の前にいる小野和磨が明らかに以前とちがっていると感じたり、なんかちょっとかっこういい……と思わせられたりするせいだ。
「内田」
「は、はい……」
「魅力的な女子は言葉遣いも大事だぞ、言葉は人間力、そして言葉は女子力。だいじょうぶ、内田なら魅力的な女子になっていい奴をすぐ見つけられるさ。自分を磨け、そして誰に遠慮することなく幸せになれ、おれが言いたいのはそれだけだ、じゃぁな」
言った和磨がふっとやさしく微笑むと、それは由紀の94cmってふくらみにズキューン! って響きを与えた。
「え、え……や、やだ……なにこれ、この感じ……」
由紀、去っていく和磨の後姿を見ながらポーっと熱くなった。いや、それだけでは飽き足らず、キュッとほんのり苦しくなった胸に手を当てたりもしてしまうのだった。
―最近、小田和磨の感じが変わっているー
和磨の職場ではこんなヒソヒソ声が飛び交うようになっていた。同じ職場にいる彼らや彼女たちは、小田和磨が妙なオーラを纏い始めたと見たり感じたりするようになった。
「なぁ和磨、ちょっといいか?」
同僚の友人が和磨に声をかけた。昼休み時間がもう少しで終わりを迎えようってときの喫煙所で会話に持ち込む。
「和磨よぉ……おまえ、最近ちょっと変わったよな」
まずはそう切り出し、ライターの火を貸してやる。
「そうか? おれはいつだってマイペースの小田和磨だよ」
フゥっとタバコの煙を吐き出す和磨だが、その顔は奇妙にやさしい。つい以前、ましてフラれ居酒屋で愚痴っていた時にはなかった、トンネルを抜けた男みたいな感じが漂う。
「おまえ、なんか良い事あっただろう? 言えよ、教えろよ」
「いや、別に何も、おれはフォーエバーそのままだ」
「いやいや、和磨よぉ、絶対何かあるだろう」
友人はタバコを咥えながら、すぐそこにある自販機で缶コーヒーを2本購入。そのうちの一本を和磨にくれてやる代わり、教えろよと食い下がる。そして彼はそれを当然のことだと思う目を相手に向ける。
友人曰く、小野和磨はここ最近付き合いが悪い。昼ご飯を同僚とやることはなく、いつも一人でカバンを持って昼飯とか言って消え去る。本来ならそれは根暗なふるまいと言える。だがどうだろう、根暗どころか和磨からは心の余裕みたいな感じが漂っているではないか。きれいな川の流れが太陽の光を浴びて一切の迷いを知らないかのごとく。
「和磨……おまえ、女ができたんじゃないのか?」
そう言われて和磨は一瞬考えた。まりあという最愛の存在が出来て、毎日夢中になって心身共々愛し合う事で人間が豊かになったという事実を教えるかどうか? 教えてもいいのかな? と思うよりも、教えたら色々やっかいだろうなと思う方がつよいから黙っている。
「いや、特定の女はいない。いるとすれば心の中、妄想彼女ってやつかな」
「妄想彼女? 中学生じゃあるまいに……和磨、おまえいつも昼飯とかどこで食っているんだ? この辺りの店で見かけた事がない」
「この辺りは飽きたからな、ちょっと散歩をかねて遠出しているだけだ」
「どこら辺だよ」
「それは秘密。なぜならプライベートは他人に侵されてはいけないモノだからな」
和磨はほんとうの事を言わなかった。昼になったらまりあが作ってくれたお弁当を日当たりのいい公園でウマウマ食べているとは。
「いいじゃねぇかよ、友だちだろう? 友だちだから知りたいんだよ、もしおまえに彼女が出来たというなら祝福したいんだよ」
しつこい友人から出るちょい感動的っぽい言葉。そういうのを聞くと、こいつにだけは言おうかな? なんて気にさせられる。だが今の和磨は何よりまりあが大事であり、そういう存在を得たことで心は広い。だからとても冷静かつやさしい目と口調で友人に言うのだった。
「ひとつ言ってもいいかな?」
「な、なんだよ和磨」
「なんでも知りたがるのはよくない。それは相手に対する配慮が虫歯みたいに欠けているってことだ。たいせつなのは見えない所に配慮と思いやりをもってやる事、それがラブ&ピースの基本、ちがうかな?」
「えぇ……」
「ま、心配しないでだいじょうぶ。おれはおれでうまく生きている。だからおまえも自分のために、そして出来る事なら自分を思ってくれる人や夢のために生きればいい。おれなんかを気にしている場合じゃない、もっと他に考える事はあるだろう? 人生とか時間をたいせつにしろ」
そう言い終えた和磨がニコっと神のようにやさしく微笑み、ポン! っと肩を叩いたら、叩かれた友人は何も言い返せなかった。それどころか、自分がひどく幼稚な人間みたいに思わせられ、和磨が聖人君子みたいに思えたりした。
「さて、帰るか」
仕事が終わった和磨はグーっと心地よい背伸びをする。今やまりあという魅力的でやさしい爆乳な彼女がいる。仕事が終わったらまりあの元に帰るだけ。そして夜って時間が進んだら、まりあの豊満な胸に帰るだけ。それは帰る場所があるって事だから、以前とは別人のごとく心に余裕を持った男となっている。
「小野先輩!」
ビルを出たところで和磨は後ろから声をかけられた。
「うん?」
振り返ると一人のOLこと同僚の年下女がいる。それはショートヘアーが似合う標準的なフォルムながら、出るところはしっかり出ているさわやかフェロモンという感じの女。以前の和磨はこの後輩のふくらみ具合をチラチラよく見ていたし、気迷い的に恋焦がれたりした事もあっただろうか。
「先輩、ちょっといいですか?」
「なに?」
「ちょっと話がしてみたくて、喫茶店とか」
5つ年下のFカップって巨乳OLこと内田由紀が、ちょい離れたところにある喫茶店「語り合う時間」を指さす。
「いや、おれはもう帰るから」
以前の和磨とちがい、実にサラっと言い返す。さらに言うなら由紀の豊かな胸にもほとんど1ってくらいしか熱視線を送らない。まりあという愛しいJカップグラマーな彼女を持った和磨にしてみれば、内田由紀に心が揺さぶられるわけがなかった。
「むぅ!」
由紀は和磨の進行を妨げるかのように立ちはだかった。そして言ってやる、以前と少し変わりましたよね? と。
「べつに、おれはいつだって小野和磨、死ぬまで小野和磨、それ以上でもそれ以下でもない」
和磨は実に余裕ある顔を見せた。とてもゆとりある心の持ち主という目で、26歳の男とは思えない大人の領域ってオーラを浮かべる。
「いや、絶対変わっていると思うなぁ……」
由紀、ここで意図的にちょい肩手を胸に当てて見せる。和磨が以前よりチラチラ気にするように見ていたことは知っているし、まったく男ってやつは! と毛嫌いしてもいた。しかし今や和磨はほとんど目線を向けてこなくなっている。見られなくなったら見せたくなるという女のワガママが今の由紀を動かしているのだった。
「わかった、ちょっと……」
和磨、ビルの端っこに置いてある灰皿を前に立つとタバコを取り出す。そして一本咥えて火をつけたら、何がどう変わったのか語ってみ? と促すのだった。それは大変な包容力みたいであり、由紀を少々ドキッとさせる。
「わ、わたし知っているんですよ」
「なにを?」
「先輩……ちょっと前に、川口先輩に告白してフラれましたよね? こういう事はすぐ広まるモノでみんな知っています。ちがうとは言わせませんよ?」
「うん、そうだな、フラれた。否定なんかしないよ」
「な、なにを悟ったみたいな顔で言っているんですか……おかしいじゃないですか?」
「どうして、なにがだ?」
「先輩26歳ですよね? ふつう……フラれたら荒れたり下品に陥ったりするはずです。例えるなら、女を皆殺しにしたいと謳うような感じで」
「そんな物騒なこと謳ったりしないって」
「それ、その何て言うか不気味にやさしい感じ。それが気になるんです」
「不気味は傷つくなぁ。他になんか言い方ってない?」
「う……そ、それは……」
「内田、良い事を教えようか?」
「な、なんですか……」
「言葉ひとつで人は幸せをつかんだり掴めなったりする。せっかくかわいい女子とか言っても、言葉の選び損ねで損をしたらもったいないだろう。かわいい女子っていうのが台無しになってしまう、そう思わないか?」
「な、な、何を言っているんですか……」
由紀、顔を赤くして少し後ずさり。目の前にいる小野和磨が明らかに以前とちがっていると感じたり、なんかちょっとかっこういい……と思わせられたりするせいだ。
「内田」
「は、はい……」
「魅力的な女子は言葉遣いも大事だぞ、言葉は人間力、そして言葉は女子力。だいじょうぶ、内田なら魅力的な女子になっていい奴をすぐ見つけられるさ。自分を磨け、そして誰に遠慮することなく幸せになれ、おれが言いたいのはそれだけだ、じゃぁな」
言った和磨がふっとやさしく微笑むと、それは由紀の94cmってふくらみにズキューン! って響きを与えた。
「え、え……や、やだ……なにこれ、この感じ……」
由紀、去っていく和磨の後姿を見ながらポーっと熱くなった。いや、それだけでは飽き足らず、キュッとほんのり苦しくなった胸に手を当てたりもしてしまうのだった。
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