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75・閻美、色気リターンズ5
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75・閻美、色気リターンズ5
「やっとこさ〇〇山にたどり着いた」
閻美になっているとはいえ、抑え込んでいた感じが吹き上がってきた。先ほどの火事現場においての救出劇により、閻美のすごいグラマーという体にもちょっと慣れてきた。どうせならここでしっかり脳と体のフィット感を充実させねばと、伊吹は前方へ突進のごとくダッシュを開始。
(う……)
いかんせん白い着物に包まれしすごいグラマーなボディーゆえ、不慣れな内は集中するのが大変にむずかしい。どうしても要らぬことに気を奪われてしまう。
「集中あるのみ!」
ジャンプ! 眼前にある大木に両足を当てると、そのまま反動で空高くに舞い上がる。
「閃光一線!」
シュパ! っと刀を振り下ろすと同時に着地。なかなかに重たくも軽快な一撃だったと言えようか。
「おぉ、いいねぇ」
そんな声がしたと同時に、パチパチって拍手も鳴る。だからそっちに顔を向けて見れば、閻美こと伊吹がそこに立っている。
「どうだ伊吹、わたしの体は悩め香しいだろう?」
「たしかにな、あっちこっちに意識を奪われて大変だ。女っていうのはかなり大変なのだなぁと思わずにいられないかな」
「おぉ……伊吹が女を理解し愛する展開の始まりだ」
「いやまぁ、理解でも愛でもいいんだけどな、やっぱり元に戻してくれよ。目の前にいる自分と会話するのは奇妙すぎて気が変になりそうだ」
「戻してもいいけど……それには確約が必要だな」
「確約?」
「わたしを抱く、わたしとセックスをし結ばれるという確約」
「またそれかよ……」
「当然だ、結局生きている喜びは愛し合うに集約されるからな。気に入った者と体を交え結ばれること以上の快楽などない」
今や伊吹の閻美が刀を持って身構える。 それはつまり何がどうあれセックスというカタチに持ち込み、劇的な始まりと同時に双方の中身を元に戻すという作戦。挿入という段階になったところで元に戻せば、伊吹という男が閻美という女に溶け落ちるという算段。
「何がなんでもセックスしたい!」
刀を持った伊吹が閻美に斬りかかる。
「そんなセックスはしたくない!」
閻美の刀が向かってきた相手のモノを受け止める。しかし最初こそギリギリっと互角に押し合っていると思われたが、次第に確実に伊吹の刀が閻美を押していく。
「伊吹、おたがい体が入れ替わってまだ不慣れ。しかし伊吹の体になったわたしの方が有利だ。なぜって? あぁ、わたしは伊吹の体になって感動せざるを得ない。この爽快な身軽さとパワーの融合、たしかにこれは女の体では味わえないモノだ。興奮するねぇ、思いっきりあばれたいと疼くねぇ、大人が子供になったみたいにさ、とてもジッとしていられない。それくらい体が軽く力が湧いてくるんだ」
フフっと笑う伊吹の刀が相手の刀をさらに強く押し込む。それは受ける側の刀身が折れるのではないかと心配になってしまう勢い。よって内側の伊吹が焦り、それは表の閻美って顔に汗を浮かばせる。それを見た伊吹こと閻美がうれしそうにたのしそうに吠える。
「伊吹、おまえはどうだ? わたしの体になってさぞやりにくいだろう? わたしは生まれた時から女だからそれに慣れている。だがいきなりそうなったお前は順応なんかできまいて。男の体なら速く強い者でも、わたしみたいな魅力的な爆乳って女の体になると鈍る。そうだろう? 女の体は重いだろう? 色々とやりにくいだろう? 伊吹、女はそういう中で戦うモノなんだよ!」
勝てる! そう思う閻美に余裕のオーラが立ち始めた。2人が愛し合い結ばれる時間はすぐそこだ! という、ふしだらな感情が戦いって緊張感の中に紛れ込む。
「ふん!」
閻美こと伊吹の気合がふしだらって言葉におぼれた者の刀をつよく押し返す。それは一瞬の油断から生まれた展開であったゆえ、勢いよく押し返された刀が手から離れ宙に舞い上がった。
「チッ!」
伊吹の体で勝利を確信していた閻美、ちょっと油断したとばかり表情をゆがめ、宙に舞い上がった刀を取るため華麗にジャンプ。それはやっている本人に言わせると、女体では味わえない爽快感に満ちるアクション。
「ん!?」
刀をにぎって着地すると……白い着物って女の姿がない。ほんの一瞬目を離した過ぎに見失った。
(後ろか?)
そう思って振り返ろうとしたら、先に声がした。
「遅い」
伊吹の背中に閻美の蹴りが入る。だから食らった男は不本意なダウンに甘んじてしまう。
「おぉ、伊吹……わたしの体になってそんなに時間は経っていないのに速く動けるようになってきたか」
立ち上がる閻美、やはりそう簡単にセックスはできないのかと気合を入れ直す。
「閻美、ひとつ言ってやろうか?」
白い着物の女は立ち上がった男を見ながら、刀を持たない右手の平を前に突き出しつぶやく。
「女は詰めが甘いな」
その皮肉っぽい口調というのは、本来であれば閻美のプライドを刺激し怒りへ誘うモノ。だが言われた者は怒るより先に気になる事を口にする。それは黙っていられない事らしい。
「なぁ伊吹……」
「なんだ?」
「一応聞きたいのだが……」
「だからなんだ?」
「まさかとは思うが……とても魅力的な爆乳女性という、そういうわたしの体になって、男よりこの方が断然いい! とか、この方がたのしめる! とか、このまま女でい続け男に抱かれたいとか……と考えたりはしないよな?」
「するか……おれはそういう話を好まない」
「そうか、よかった……それを聞いてホッと一安心。だったらもう少しこのカタチで戦いを続けよう。そして最後はわたしと結ばれるって物語にしよう」
閻美こと伊吹がニヤッといやらしく微笑むと、天空の空模様も腹黒さを演出するみたいにグレーに染まっていく。ゴロゴロっと小さくうなっているが、それは閻美の情欲を歌っているように聞こえなくもなかった。
「やっとこさ〇〇山にたどり着いた」
閻美になっているとはいえ、抑え込んでいた感じが吹き上がってきた。先ほどの火事現場においての救出劇により、閻美のすごいグラマーという体にもちょっと慣れてきた。どうせならここでしっかり脳と体のフィット感を充実させねばと、伊吹は前方へ突進のごとくダッシュを開始。
(う……)
いかんせん白い着物に包まれしすごいグラマーなボディーゆえ、不慣れな内は集中するのが大変にむずかしい。どうしても要らぬことに気を奪われてしまう。
「集中あるのみ!」
ジャンプ! 眼前にある大木に両足を当てると、そのまま反動で空高くに舞い上がる。
「閃光一線!」
シュパ! っと刀を振り下ろすと同時に着地。なかなかに重たくも軽快な一撃だったと言えようか。
「おぉ、いいねぇ」
そんな声がしたと同時に、パチパチって拍手も鳴る。だからそっちに顔を向けて見れば、閻美こと伊吹がそこに立っている。
「どうだ伊吹、わたしの体は悩め香しいだろう?」
「たしかにな、あっちこっちに意識を奪われて大変だ。女っていうのはかなり大変なのだなぁと思わずにいられないかな」
「おぉ……伊吹が女を理解し愛する展開の始まりだ」
「いやまぁ、理解でも愛でもいいんだけどな、やっぱり元に戻してくれよ。目の前にいる自分と会話するのは奇妙すぎて気が変になりそうだ」
「戻してもいいけど……それには確約が必要だな」
「確約?」
「わたしを抱く、わたしとセックスをし結ばれるという確約」
「またそれかよ……」
「当然だ、結局生きている喜びは愛し合うに集約されるからな。気に入った者と体を交え結ばれること以上の快楽などない」
今や伊吹の閻美が刀を持って身構える。 それはつまり何がどうあれセックスというカタチに持ち込み、劇的な始まりと同時に双方の中身を元に戻すという作戦。挿入という段階になったところで元に戻せば、伊吹という男が閻美という女に溶け落ちるという算段。
「何がなんでもセックスしたい!」
刀を持った伊吹が閻美に斬りかかる。
「そんなセックスはしたくない!」
閻美の刀が向かってきた相手のモノを受け止める。しかし最初こそギリギリっと互角に押し合っていると思われたが、次第に確実に伊吹の刀が閻美を押していく。
「伊吹、おたがい体が入れ替わってまだ不慣れ。しかし伊吹の体になったわたしの方が有利だ。なぜって? あぁ、わたしは伊吹の体になって感動せざるを得ない。この爽快な身軽さとパワーの融合、たしかにこれは女の体では味わえないモノだ。興奮するねぇ、思いっきりあばれたいと疼くねぇ、大人が子供になったみたいにさ、とてもジッとしていられない。それくらい体が軽く力が湧いてくるんだ」
フフっと笑う伊吹の刀が相手の刀をさらに強く押し込む。それは受ける側の刀身が折れるのではないかと心配になってしまう勢い。よって内側の伊吹が焦り、それは表の閻美って顔に汗を浮かばせる。それを見た伊吹こと閻美がうれしそうにたのしそうに吠える。
「伊吹、おまえはどうだ? わたしの体になってさぞやりにくいだろう? わたしは生まれた時から女だからそれに慣れている。だがいきなりそうなったお前は順応なんかできまいて。男の体なら速く強い者でも、わたしみたいな魅力的な爆乳って女の体になると鈍る。そうだろう? 女の体は重いだろう? 色々とやりにくいだろう? 伊吹、女はそういう中で戦うモノなんだよ!」
勝てる! そう思う閻美に余裕のオーラが立ち始めた。2人が愛し合い結ばれる時間はすぐそこだ! という、ふしだらな感情が戦いって緊張感の中に紛れ込む。
「ふん!」
閻美こと伊吹の気合がふしだらって言葉におぼれた者の刀をつよく押し返す。それは一瞬の油断から生まれた展開であったゆえ、勢いよく押し返された刀が手から離れ宙に舞い上がった。
「チッ!」
伊吹の体で勝利を確信していた閻美、ちょっと油断したとばかり表情をゆがめ、宙に舞い上がった刀を取るため華麗にジャンプ。それはやっている本人に言わせると、女体では味わえない爽快感に満ちるアクション。
「ん!?」
刀をにぎって着地すると……白い着物って女の姿がない。ほんの一瞬目を離した過ぎに見失った。
(後ろか?)
そう思って振り返ろうとしたら、先に声がした。
「遅い」
伊吹の背中に閻美の蹴りが入る。だから食らった男は不本意なダウンに甘んじてしまう。
「おぉ、伊吹……わたしの体になってそんなに時間は経っていないのに速く動けるようになってきたか」
立ち上がる閻美、やはりそう簡単にセックスはできないのかと気合を入れ直す。
「閻美、ひとつ言ってやろうか?」
白い着物の女は立ち上がった男を見ながら、刀を持たない右手の平を前に突き出しつぶやく。
「女は詰めが甘いな」
その皮肉っぽい口調というのは、本来であれば閻美のプライドを刺激し怒りへ誘うモノ。だが言われた者は怒るより先に気になる事を口にする。それは黙っていられない事らしい。
「なぁ伊吹……」
「なんだ?」
「一応聞きたいのだが……」
「だからなんだ?」
「まさかとは思うが……とても魅力的な爆乳女性という、そういうわたしの体になって、男よりこの方が断然いい! とか、この方がたのしめる! とか、このまま女でい続け男に抱かれたいとか……と考えたりはしないよな?」
「するか……おれはそういう話を好まない」
「そうか、よかった……それを聞いてホッと一安心。だったらもう少しこのカタチで戦いを続けよう。そして最後はわたしと結ばれるって物語にしよう」
閻美こと伊吹がニヤッといやらしく微笑むと、天空の空模様も腹黒さを演出するみたいにグレーに染まっていく。ゴロゴロっと小さくうなっているが、それは閻美の情欲を歌っているように聞こえなくもなかった。
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