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ミッション・優子のブラジャー姿を拝め!
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ミッション・優子のブラジャー姿を拝め!
―本日の朝早く、学校の中庭―
「今日はたいせつな話があるんだ」
そんな風に切り出したブルーは、ちょこっとエラそうに咳払する。
「そりゃぁたいせつな話でないと困る」
せっかちになりやすいレッドがさっそく口を挟んだ。いったい何事かといえば、前日においてブルーからレッドとグリーンの2人に申し入れがあったのだ。明日こと本日の体育をズル休みするようにと。そのためには朝から仮病を使い、連絡帳に体育を休むという親の承認を得るべしと。
「体育は好きなんだよ、それをサボってつまらない話だったら怒っちゃうよ?」
グリーンもレッドと同じ目をブルーに向ける。
「では話を始めよう。まずはこれを見てくれ!」
ここでブルーが動く。それまで勿体付けていた袋を開けて、中から必殺アイテムとかいうのを取り出した。
「じゃじゃーん! これが本日のスペシャルアイテム、FSX36だ」
思いっきり自慢! という顔のブルーが見せたのは一機のドローン。本人の便によれば数ヶ月前に親戚からもらったらしい。ウルトラハイスペックな性能なので操作がむずかしいから、練習している間は黙っていた。でも自信がついた今、このマシーンの出番だとブルーが吠える。
「ドローンで何するの?」
グリーンがキョトンとする。
「今どきドローンなんか別に大した事ないじゃん」
レッドも冷めた顔や声を浮かべる。
「甘い! 2人とも甘いぞ!」
いつもは冷静なキャラクターであるブルーが熱い。まるでレッドとキャラが入れ替わったかのごとく燃えている。
「2人ともよーく考えてみろ! 体育とはなんだ? 纏っている服を脱いで体操着に着替えるってことだろう? それは女子も同じだろう? だったらそれはクラスでというより……学年でというより……生徒だけなら学校で一番の巨乳女子である中野優子も同じだろう? ちがうか?」
ブルーのかっこういい問いかけに、レッドとグリーンはドキっとした。中野優子という巨乳女子と体育って言葉を引っ付けると、男子なら誰だってむふふ♪ とやってしまうもの。体操着のふくらみ具合とか、うっすらと透けて見える白いブラジャーにやわらかそうな谷間、あれは何回でも拝みたくなるモノ。しかしその姿になるため中野優子は着替えを必要とする。それは想像したら脳が破裂しちゃいそうにすごい。
「多分、体操着にチェンジするだけだろうから、ブラジャーを外して裸になるような事はないだろう。しかしブラジャー姿にはなるはずだ。中野だぞ、中野優子だぞ、巨乳女子のブラジャー姿だぞ? 一度くらいは拝んでみたいと思わないのか?」
本日のブルーはどこまでもかっこういい。力説する姿はヒーローのようにさえ見えてしまう。
「そりゃぁ、見たいよ。きっとぜいたく品みたいな物で、目にしたらガマンできなくなるかもしれない。だけどブルー、ひとつ忘れてない?」
グリーンはほんのり顔を赤らめつつ、とても悔しそうな顔で現実というモノを語り始めた。 中野優子が保健室まで行って着替えるんだったら追いかけられない。でも教室なら……と思いたいのだが、そこで邪魔になるのが他女子がこしらえる鉄壁のガード。つまりザコキャラがたくさん群がって巨乳のブラジャー姿を完全にシャットアウトする。
「あれは突破できないよなぁ……」
レッドも深いためいきをつく。その姿はとても切な気であり、超えられないカベに対する怒りや悲しみが溢れている。
「レッド、グリーン、あきらめたらおしまいだぞ! 人間は、とくに男はあきらめたらダメなんだ。最後までがんばった者だけが巨乳……じゃなくて、栄光をゲットできるんだ!」
すばらしい名言を放ったブルーは続ける。体育の時間において、女子がつくるカベには穴があると。彼女たちは優子を守るわけであるが、それは反対側および廊下の方からは完全に見えない。優子を窓側の端っこに置いて正面と側面を固めているからだ。天井に張り付かない限りは優子を拝めない。
「でもな、窓の方はガードがないはず。校舎の2階という高さだから、そっち側は囲まなくても大丈夫って甘い考えがあるんだ。だからこそ、だからこそFSX36を使えば、ブラジャー姿の中野をばっちり拝めるんだ」
それは神の発言みたいだった。聞いていていたレッドとグリーンはぞわーっと鳥肌を立ててしまう。
「で、でもさぁ、窓に接近したらバレない?」
興奮したいのをガマンし、グリーンがブルーに問う。
「FSX36はハイパーマシーン。遠距離からの覗き見と撮影ができるのは常識。もう中野のブラジャー姿は丸裸も同然!」
ブルーの勝利宣言に匹敵するつよい言い切り。それは3人の間にとてつもない希望の光をもたらす。こういう事が昨日にあったのだ。だから本日は特別デーというキモチで3人は学校にきたのだ。
「ごほごほ、先生……きょうは体育を見学します」
「おれも……なんか朝からキブンが悪くて」
「偶然なんだけど、ぼくも本日の体育は休ませてもらいます」
グリーン・レッド・ブルーの3人が同時に親からもらった許可書を提出。3人いっしょに見学なんてすごい偶然だなぁ! と一応の演技を見せ、病人ぶりながらもいち早く教室を抜け出た。
「急げ! 中野がブラジャー姿になる前に」
いつもより足が速くなったような3人だった。学校から抜け出る事はできず、かつグランドの片隅に座るわけにもいかない。そこで裏庭にひっそり身を隠し、愛機ことFSX36を空高く舞い上がらせる。自分たちのところにはタブレットのようなディスプレイが置かれ、それを見ながらブルーが操作する。
一方その頃、教室の中では女子たちが集まってガードを形成していた。彼女たちは友情によって優子を守っているわけであるが、優子の巨乳やEカップというブラジャー姿や谷間を拝みたいって願望も持っている。同性なら好きなだけ見られるし、優子にスキがあれば乳揉みだっていっぱいやってしまう。
「よし、ミッション開始だ」
ブルーは愛機を空中に停止させた。そうするとドローンの目は離れたところにある校舎の上階窓に目を向ける。
「早く、早くズーム! 中野のブラジャー姿が終わっちゃう!」
グリーンはコーフンしまくっているが、同時にすごい切実でもあった。なんせ中野優子はほんとうにバストが豊か。いつも横目でチラチラ見て、いつも触ってみたいと思っている心は、ピュアな初恋とまったく同類なモノだった。
「ちょっとはおちつけよ」
レッドがグリーンをなだめる。ちょっと大人ぶっているが、内心のあせりはグリーンと同レベル。いつだって中野優子を見れば時間を止めたいとか考えてしまう。もし時間を止められたら、好きなだけあの乳に甘えてやる! なんて妄想してしまうのだから。
「よし、今からズームするぞ」
ブルーが言うと後ろに立つ2人が真剣にハッスル。息を切らしながらディスプレイを見つめる。ウィーン! という感じで画面が前方に進んでいく。空気の中を突き進み校舎に近づいていく。そうして窓ガラスという所へ大接近。
「あ、中野だ」
ブルーが言うとグリーンとレッドは画面に釘付け。もっとアップして! とか、中野だけ映せ、ザコキャラは除外! とうるさい。
「もっとと言っても……これでフルマックスだ」
ブルーが言うと画面全体に優子が映った。
「いい、それ、その大きさ!」
グリーンは闘牛のように息を切らした。いま画面に映る優子というのは、頭の天辺から上半身、つまり顔と上半身イコール豊満なバストだけが画面にがっちり映っている。
「そうそう、なんせ中野だからな、乳とかブラジャーだけ見えたらいいんだ。スカートとかパンツとか見ても何の価値もないしな」
さっくりと言ってのけるレッドだった。いや彼に限らず残りの2人も同じで、中野優子の豊かな乳やブラジャー姿さえ見れたらいいわけで、パンツとかそんなモノはタダでも要らないとする。それは3人が真っ当なおっぱい星人である事を示している。邪念など持たないうつくしい心のおっぱい星人であると。
「早く……早くシャツのボタンを外せよ!」
ハァハァしながら待っている時、たまらずレッドが怒りの声をぶちまける。それは残る2人の言いたい事でもあった。
本日の優子は上半身をチェックのシャツで纏っている。白い無地であれば下のブラジャーが透けて見えるのに、なぜそういう事をするんだ! と男子に突っ込まれて当然のけしからん格好だ。
さらに言うと優子が纏っているチェックのTシャツはゆったり気味のモノ。ふっくら豊かでやわらかそうっていうボリュームが浮かばない。Eカップという事実を魔法で消したように見える。それもまた男子に言わせれば、なんのために巨乳をやっているんだよ! という不届きな事だった。
「会話なんかしなくていいから早くボタン外せよぉ」
「ったく、早く谷間とかブラジャーを見せろってんだよ!」
女子のゆっくりというのは、こういう時の男子にとってはたまらない。人生を舐めてんのか! と怒りたくなるほどイライラさせられる。しかし、ここでやっと優子の手が動いた! おぉ! と3人の男子は食い入るように画面をガン見する。
「来た! 上からボタン外しにかかった。
「一番上……つぎ、つぎ……」
「中野は巨乳だからな、つぎくらいで谷間が見えるんじゃ……」
「早く! 早く! 谷間、谷間、ブラジャー、ブラジャー」
3人の真剣すぎる声が聞こえたというわけではないだろうが、止まることなく裕子がつぎのボタンを外した。
「おぉ!」
異口同音が発生。なぜなら3人の目は同時に見たのだ。色白な優子ボディーにおいて、一番やわらかい部分の一部、谷間という名の表情を。
「うぉ、色白で豊か!」
「すごくやわらかそう……一回でいいから触りたい……」
「まだまだ、まだまだこれから!」
そんな風に3人の男子が見つめている中、そんな事を知らない優子がもう一つボタンを外す。
「うぉ! 出た、白いブラジャー!」
「うわ、うわ、うわ……」
「おぉ……」
ほんのり見え始めたフルカップと谷間の協奏曲に、3人の男子が心うばわれる。
「あ、こら!」
うっとりしていたグリーンが顔をしかめる。なぜなら優子がつぎのボタンを外せばブラのふくらみが丸ごと見えるというのに、そこでひとりの女子が邪魔にはいった。優子の谷間を覗き込むため正面に立ったのだが、それがカメラを塞ぐことになる。
「どけよザコキャラ!」
「女のくせに女の乳に惹かれるとか頭おかしいんじゃないのか?」
「こういう腐れな女が男を不幸にするんだよ」
3人は口々に文句を垂れまくった。そうして3人同時に同じことを思うのだった。もしドローンに戦闘能力があった、あのザコキャラを始末するのに……と。
さてさてこの時……実はとある小さな、人間から見ればラジコンみたいな大きさの戦闘機が学校の近くを飛んでいた。
「特に異常なし……と思ったらなんかある?」
カエルーノ部隊の一員であるカエル303号が、レーダーにて不審なモノを発見した。中野優子が通う学校というのは、カエルーノの命によりパトロールがされていた。表向きは地球の平和を守るため。実のところはお気に入り女子である優子を守りたいというカエルーノの男心。
「なんだ? ドローン?」
303号は即座に撃墜するべきだと思いカエルーノに連絡する。
「あやしいドローンを発見、これよりミサイルでドローンを撃墜します」
それを聞いたカエルーノがオーケーを出す。
「ちょっと待った、なんだ……なんだ……」
優子のブラジャー姿を拝みたいと熱望していた時、ブルーが突然の異変に気づく。
「こ、これってミサイルか?」
驚いた彼はFSX36を動かす。するとどうだろう、間一髪! って感じでミサイルが通り抜けていった。それはずいぶんと離れたところまで飛んでいき、どこぞのビルに直撃する。
「避けたか……やるな」
303号はもう一発放とうとするのだが、同時に思った。あのドローンは一体なにをしているんだと?
「中野優子が通う学校を見ていたのか? なんかあるのか?」
303号は画面をズームする。するとある教室の中で中野優子がブラジャー姿になろうとしている真っ最中がある。盗撮していたのか! ということで、さっそくカエルーノに報告。
「隊長、ドローンは中野優子の着替えを覗き見していました」
「なに? それはほんとうか?」
「もしかしたら録画とかしていたかもしれません。よってドローンを撃破いたします」
「ちょっと待て、ちょっと待った!」
「な、なにか?」
「優子さんのブラジャー姿を録画とはうらやましい……ではなく、けしからん! ドローンは撃破するな。今後の参考のため、レーザーロックで捕獲して持ち帰れ」
「参考? 参考とはなんの参考です?」
「そ、それは……たとえば敵のアジトを視察するとき録画ができるといいだろう? そのドローンを参考にして録画機能を戦闘機にもたせる」
「なるほど、地球平和のためですね!」
「そうだ、だからドローンは破壊せずに捕獲して連れてこい」
「了解! さすがです、カエルーノ隊長」
生真面目で融通の利かない303号はカンゲキし、移動しようとしているドローンに向かってレーザーロックをかけた。
「な、なんだ……」
ブルーは大いにおどろきショックを受ける。赤いレーザーが飛んできたと思ったら、FSX36の操作が不可能になった。そのあげく変な方向へ引っ張られていくではないか。
「お、おれのサブロク……おれのサブロクが……」
ブルーの嘆きにかまうことなく、勝手に飛ぶドローンは戦闘機の後についていく。そうして二度と……二度とブルーの手元には戻ってこなかった。
「おれのサブロクがぁぁぁぁぁぁぁ」
ブルーは大きな声で泣いた。たいせつな宝物を失ったのだから当然。それを気の毒って目で見るグリーンとレッドだったが、2人は心の中でこう思っていた。
(あぁ……中野のブラジャー姿がぁぁぁぁぁ)
こうして平和という名のさえない日常は守られたのであった。
―本日の朝早く、学校の中庭―
「今日はたいせつな話があるんだ」
そんな風に切り出したブルーは、ちょこっとエラそうに咳払する。
「そりゃぁたいせつな話でないと困る」
せっかちになりやすいレッドがさっそく口を挟んだ。いったい何事かといえば、前日においてブルーからレッドとグリーンの2人に申し入れがあったのだ。明日こと本日の体育をズル休みするようにと。そのためには朝から仮病を使い、連絡帳に体育を休むという親の承認を得るべしと。
「体育は好きなんだよ、それをサボってつまらない話だったら怒っちゃうよ?」
グリーンもレッドと同じ目をブルーに向ける。
「では話を始めよう。まずはこれを見てくれ!」
ここでブルーが動く。それまで勿体付けていた袋を開けて、中から必殺アイテムとかいうのを取り出した。
「じゃじゃーん! これが本日のスペシャルアイテム、FSX36だ」
思いっきり自慢! という顔のブルーが見せたのは一機のドローン。本人の便によれば数ヶ月前に親戚からもらったらしい。ウルトラハイスペックな性能なので操作がむずかしいから、練習している間は黙っていた。でも自信がついた今、このマシーンの出番だとブルーが吠える。
「ドローンで何するの?」
グリーンがキョトンとする。
「今どきドローンなんか別に大した事ないじゃん」
レッドも冷めた顔や声を浮かべる。
「甘い! 2人とも甘いぞ!」
いつもは冷静なキャラクターであるブルーが熱い。まるでレッドとキャラが入れ替わったかのごとく燃えている。
「2人ともよーく考えてみろ! 体育とはなんだ? 纏っている服を脱いで体操着に着替えるってことだろう? それは女子も同じだろう? だったらそれはクラスでというより……学年でというより……生徒だけなら学校で一番の巨乳女子である中野優子も同じだろう? ちがうか?」
ブルーのかっこういい問いかけに、レッドとグリーンはドキっとした。中野優子という巨乳女子と体育って言葉を引っ付けると、男子なら誰だってむふふ♪ とやってしまうもの。体操着のふくらみ具合とか、うっすらと透けて見える白いブラジャーにやわらかそうな谷間、あれは何回でも拝みたくなるモノ。しかしその姿になるため中野優子は着替えを必要とする。それは想像したら脳が破裂しちゃいそうにすごい。
「多分、体操着にチェンジするだけだろうから、ブラジャーを外して裸になるような事はないだろう。しかしブラジャー姿にはなるはずだ。中野だぞ、中野優子だぞ、巨乳女子のブラジャー姿だぞ? 一度くらいは拝んでみたいと思わないのか?」
本日のブルーはどこまでもかっこういい。力説する姿はヒーローのようにさえ見えてしまう。
「そりゃぁ、見たいよ。きっとぜいたく品みたいな物で、目にしたらガマンできなくなるかもしれない。だけどブルー、ひとつ忘れてない?」
グリーンはほんのり顔を赤らめつつ、とても悔しそうな顔で現実というモノを語り始めた。 中野優子が保健室まで行って着替えるんだったら追いかけられない。でも教室なら……と思いたいのだが、そこで邪魔になるのが他女子がこしらえる鉄壁のガード。つまりザコキャラがたくさん群がって巨乳のブラジャー姿を完全にシャットアウトする。
「あれは突破できないよなぁ……」
レッドも深いためいきをつく。その姿はとても切な気であり、超えられないカベに対する怒りや悲しみが溢れている。
「レッド、グリーン、あきらめたらおしまいだぞ! 人間は、とくに男はあきらめたらダメなんだ。最後までがんばった者だけが巨乳……じゃなくて、栄光をゲットできるんだ!」
すばらしい名言を放ったブルーは続ける。体育の時間において、女子がつくるカベには穴があると。彼女たちは優子を守るわけであるが、それは反対側および廊下の方からは完全に見えない。優子を窓側の端っこに置いて正面と側面を固めているからだ。天井に張り付かない限りは優子を拝めない。
「でもな、窓の方はガードがないはず。校舎の2階という高さだから、そっち側は囲まなくても大丈夫って甘い考えがあるんだ。だからこそ、だからこそFSX36を使えば、ブラジャー姿の中野をばっちり拝めるんだ」
それは神の発言みたいだった。聞いていていたレッドとグリーンはぞわーっと鳥肌を立ててしまう。
「で、でもさぁ、窓に接近したらバレない?」
興奮したいのをガマンし、グリーンがブルーに問う。
「FSX36はハイパーマシーン。遠距離からの覗き見と撮影ができるのは常識。もう中野のブラジャー姿は丸裸も同然!」
ブルーの勝利宣言に匹敵するつよい言い切り。それは3人の間にとてつもない希望の光をもたらす。こういう事が昨日にあったのだ。だから本日は特別デーというキモチで3人は学校にきたのだ。
「ごほごほ、先生……きょうは体育を見学します」
「おれも……なんか朝からキブンが悪くて」
「偶然なんだけど、ぼくも本日の体育は休ませてもらいます」
グリーン・レッド・ブルーの3人が同時に親からもらった許可書を提出。3人いっしょに見学なんてすごい偶然だなぁ! と一応の演技を見せ、病人ぶりながらもいち早く教室を抜け出た。
「急げ! 中野がブラジャー姿になる前に」
いつもより足が速くなったような3人だった。学校から抜け出る事はできず、かつグランドの片隅に座るわけにもいかない。そこで裏庭にひっそり身を隠し、愛機ことFSX36を空高く舞い上がらせる。自分たちのところにはタブレットのようなディスプレイが置かれ、それを見ながらブルーが操作する。
一方その頃、教室の中では女子たちが集まってガードを形成していた。彼女たちは友情によって優子を守っているわけであるが、優子の巨乳やEカップというブラジャー姿や谷間を拝みたいって願望も持っている。同性なら好きなだけ見られるし、優子にスキがあれば乳揉みだっていっぱいやってしまう。
「よし、ミッション開始だ」
ブルーは愛機を空中に停止させた。そうするとドローンの目は離れたところにある校舎の上階窓に目を向ける。
「早く、早くズーム! 中野のブラジャー姿が終わっちゃう!」
グリーンはコーフンしまくっているが、同時にすごい切実でもあった。なんせ中野優子はほんとうにバストが豊か。いつも横目でチラチラ見て、いつも触ってみたいと思っている心は、ピュアな初恋とまったく同類なモノだった。
「ちょっとはおちつけよ」
レッドがグリーンをなだめる。ちょっと大人ぶっているが、内心のあせりはグリーンと同レベル。いつだって中野優子を見れば時間を止めたいとか考えてしまう。もし時間を止められたら、好きなだけあの乳に甘えてやる! なんて妄想してしまうのだから。
「よし、今からズームするぞ」
ブルーが言うと後ろに立つ2人が真剣にハッスル。息を切らしながらディスプレイを見つめる。ウィーン! という感じで画面が前方に進んでいく。空気の中を突き進み校舎に近づいていく。そうして窓ガラスという所へ大接近。
「あ、中野だ」
ブルーが言うとグリーンとレッドは画面に釘付け。もっとアップして! とか、中野だけ映せ、ザコキャラは除外! とうるさい。
「もっとと言っても……これでフルマックスだ」
ブルーが言うと画面全体に優子が映った。
「いい、それ、その大きさ!」
グリーンは闘牛のように息を切らした。いま画面に映る優子というのは、頭の天辺から上半身、つまり顔と上半身イコール豊満なバストだけが画面にがっちり映っている。
「そうそう、なんせ中野だからな、乳とかブラジャーだけ見えたらいいんだ。スカートとかパンツとか見ても何の価値もないしな」
さっくりと言ってのけるレッドだった。いや彼に限らず残りの2人も同じで、中野優子の豊かな乳やブラジャー姿さえ見れたらいいわけで、パンツとかそんなモノはタダでも要らないとする。それは3人が真っ当なおっぱい星人である事を示している。邪念など持たないうつくしい心のおっぱい星人であると。
「早く……早くシャツのボタンを外せよ!」
ハァハァしながら待っている時、たまらずレッドが怒りの声をぶちまける。それは残る2人の言いたい事でもあった。
本日の優子は上半身をチェックのシャツで纏っている。白い無地であれば下のブラジャーが透けて見えるのに、なぜそういう事をするんだ! と男子に突っ込まれて当然のけしからん格好だ。
さらに言うと優子が纏っているチェックのTシャツはゆったり気味のモノ。ふっくら豊かでやわらかそうっていうボリュームが浮かばない。Eカップという事実を魔法で消したように見える。それもまた男子に言わせれば、なんのために巨乳をやっているんだよ! という不届きな事だった。
「会話なんかしなくていいから早くボタン外せよぉ」
「ったく、早く谷間とかブラジャーを見せろってんだよ!」
女子のゆっくりというのは、こういう時の男子にとってはたまらない。人生を舐めてんのか! と怒りたくなるほどイライラさせられる。しかし、ここでやっと優子の手が動いた! おぉ! と3人の男子は食い入るように画面をガン見する。
「来た! 上からボタン外しにかかった。
「一番上……つぎ、つぎ……」
「中野は巨乳だからな、つぎくらいで谷間が見えるんじゃ……」
「早く! 早く! 谷間、谷間、ブラジャー、ブラジャー」
3人の真剣すぎる声が聞こえたというわけではないだろうが、止まることなく裕子がつぎのボタンを外した。
「おぉ!」
異口同音が発生。なぜなら3人の目は同時に見たのだ。色白な優子ボディーにおいて、一番やわらかい部分の一部、谷間という名の表情を。
「うぉ、色白で豊か!」
「すごくやわらかそう……一回でいいから触りたい……」
「まだまだ、まだまだこれから!」
そんな風に3人の男子が見つめている中、そんな事を知らない優子がもう一つボタンを外す。
「うぉ! 出た、白いブラジャー!」
「うわ、うわ、うわ……」
「おぉ……」
ほんのり見え始めたフルカップと谷間の協奏曲に、3人の男子が心うばわれる。
「あ、こら!」
うっとりしていたグリーンが顔をしかめる。なぜなら優子がつぎのボタンを外せばブラのふくらみが丸ごと見えるというのに、そこでひとりの女子が邪魔にはいった。優子の谷間を覗き込むため正面に立ったのだが、それがカメラを塞ぐことになる。
「どけよザコキャラ!」
「女のくせに女の乳に惹かれるとか頭おかしいんじゃないのか?」
「こういう腐れな女が男を不幸にするんだよ」
3人は口々に文句を垂れまくった。そうして3人同時に同じことを思うのだった。もしドローンに戦闘能力があった、あのザコキャラを始末するのに……と。
さてさてこの時……実はとある小さな、人間から見ればラジコンみたいな大きさの戦闘機が学校の近くを飛んでいた。
「特に異常なし……と思ったらなんかある?」
カエルーノ部隊の一員であるカエル303号が、レーダーにて不審なモノを発見した。中野優子が通う学校というのは、カエルーノの命によりパトロールがされていた。表向きは地球の平和を守るため。実のところはお気に入り女子である優子を守りたいというカエルーノの男心。
「なんだ? ドローン?」
303号は即座に撃墜するべきだと思いカエルーノに連絡する。
「あやしいドローンを発見、これよりミサイルでドローンを撃墜します」
それを聞いたカエルーノがオーケーを出す。
「ちょっと待った、なんだ……なんだ……」
優子のブラジャー姿を拝みたいと熱望していた時、ブルーが突然の異変に気づく。
「こ、これってミサイルか?」
驚いた彼はFSX36を動かす。するとどうだろう、間一髪! って感じでミサイルが通り抜けていった。それはずいぶんと離れたところまで飛んでいき、どこぞのビルに直撃する。
「避けたか……やるな」
303号はもう一発放とうとするのだが、同時に思った。あのドローンは一体なにをしているんだと?
「中野優子が通う学校を見ていたのか? なんかあるのか?」
303号は画面をズームする。するとある教室の中で中野優子がブラジャー姿になろうとしている真っ最中がある。盗撮していたのか! ということで、さっそくカエルーノに報告。
「隊長、ドローンは中野優子の着替えを覗き見していました」
「なに? それはほんとうか?」
「もしかしたら録画とかしていたかもしれません。よってドローンを撃破いたします」
「ちょっと待て、ちょっと待った!」
「な、なにか?」
「優子さんのブラジャー姿を録画とはうらやましい……ではなく、けしからん! ドローンは撃破するな。今後の参考のため、レーザーロックで捕獲して持ち帰れ」
「参考? 参考とはなんの参考です?」
「そ、それは……たとえば敵のアジトを視察するとき録画ができるといいだろう? そのドローンを参考にして録画機能を戦闘機にもたせる」
「なるほど、地球平和のためですね!」
「そうだ、だからドローンは破壊せずに捕獲して連れてこい」
「了解! さすがです、カエルーノ隊長」
生真面目で融通の利かない303号はカンゲキし、移動しようとしているドローンに向かってレーザーロックをかけた。
「な、なんだ……」
ブルーは大いにおどろきショックを受ける。赤いレーザーが飛んできたと思ったら、FSX36の操作が不可能になった。そのあげく変な方向へ引っ張られていくではないか。
「お、おれのサブロク……おれのサブロクが……」
ブルーの嘆きにかまうことなく、勝手に飛ぶドローンは戦闘機の後についていく。そうして二度と……二度とブルーの手元には戻ってこなかった。
「おれのサブロクがぁぁぁぁぁぁぁ」
ブルーは大きな声で泣いた。たいせつな宝物を失ったのだから当然。それを気の毒って目で見るグリーンとレッドだったが、2人は心の中でこう思っていた。
(あぁ……中野のブラジャー姿がぁぁぁぁぁ)
こうして平和という名のさえない日常は守られたのであった。
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