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優子が人質になった2

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 優子が人質になった2


(うぅ……)

 全力でガクブルする優子がいた。目の前にあるのは郵便局の入り口。そこだけはいつもと変わらないような顔をしている。でも中身は非日常の戦場。銃と人質を手にした男がいて、金と巨乳女を要求している。そんな所にひとり放り込まれるのだから、怖いなんて表現じゃぁ済まされない。

ーうぃーんー

 自動扉が開いた。

「うん?」

 犯人の男が音のした方へ顔面を向ける。するとどうだ、思いもしないキャラクターがドキドキ怯えながら立っているではないか。

「なんだおまえは……」

 人質をがっちりホールドしながら男はまず優子の顔を見た。素早く思ってみる限りでは、小6か中1にしか見えない女子。全体的にはふっくらした輪郭で、大人の色気なんてモノは持ち合わせていない。男にしてみればフルーツ予備軍みたいなモノ。

 しかし!

「お、おぉ……」

 やってきた少女の胸を見たら、ちょっと顔がデレっとなった。纒っているTシャツのふくらみぐあい、その部分の豊かさは疑う余地なく巨乳。それも相当に立派でやわらかそうで、将来はSS級の爆乳になるであろうと予想させる。

「あーあー聞こえる?」

 外から女性刑事の声が飛んできた。彼女が言うには郵便局員を解放せよとのこと。そして爆乳女性を連れてくるまでの間、その魅力的な少女でガマンせよとのこと。

(それってケーサツの言う事?)

 優子は心底げんなりさせられた。ケーサツに対する不信感が一気に増大。

「あーあー一応言っておくわ。その子と会話するくらいならオーケーとしても、手を出すのは止めておきなさい。もし手を出したらそのときは問答無用に銃殺するから心しておくように」

(銃殺!)

 優子はギョッとした。犯人が銃殺されるってことは、自分も巻き添えを食らうかもしれない。こんなのあり? 本当にここは日本? とガチガチ震えてしまった。

ー一方こちらはケーサツ側ー

「爆乳の女性なんて要求されると簡単には見つけられない」

 女性刑事は焦っていた。事がスムーズに収まらなかったら自分のせいにされてしまう。なんとしても話を無事に終わらせるしかない。あの巨乳少女に何かあってはならないのだ。

「あん?」
 
 そのとき偶然ながら目に入った。たまたま郵便局の近くを通りかかった力士。その名は乳の里という名前の相撲取りだ。

「よし!」

 女性刑事は駆け出した。恋人を追いかけるようなスピードでダッシュして、のっしのっしと歩く者に声をかける。

「乳の里さん」

 そう言われて力士が振り返る。

「なんでゴワすか?」

 キョトンとしてみれば、突然にケーサツ手帳を突きつけられた。そうして少しばかりつき合ってちょうだいと強引に求められた。

「いや、おいどん今日は用事があって……」

「断ると逮捕するわよ?」

「な、何も悪いことはしていないでゴワす! どんな理由で逮捕されるのでゴワすか?」

「職務質問をぶち壊したとでも言えば逮捕できる。世間はケーサツと女の味方なのよ。一度でも逮捕されてごらんなさい、相撲取りとしての人生は終わるわよ?」

「わかったでゴワす……」

 乳の里がしぶしぶ承諾すると、ついてくるように指示した女刑事が歩き出す。ズンズン勢いよく歩いたと思ったら、突如として現れたランジェリーショップへ入ろうとする。

「どういうことでゴワすか?」

 戸惑う乳の里をムリヤリ店内に入れたら、女刑事は店員を掴まえて依頼した。乳の大きさと該当するブラをあてがって欲しいと。

「どういう事でゴワす? おいどんは男ですよ?」

「この際ゼータクは言っていられないのよ」

 てっとり早くって口調で刑事は説明した。要するに乳の里を爆乳女に仕立て上げようというのだ。それを差出し巨乳少女をたすける。そうして犯人が乳の里にデレデレしているところに突入し逮捕しようって作戦だ。

「そんな作戦困るでゴワす……」

「あのね、ただいまは小6の巨乳少女が人質になっているのよ? その事に胸が痛まないの?」

 女刑事に責め立てられると、気の優しい乳の里は拒めなくなった。そこに女店員がやって準備ができたとか言う。こうして乳の里は試着室に連れて行かれたら胸囲を測られることになった。

「胸囲は180cmなのですが……」

 女店員はそう言って女刑事の方を見る。

「どうしたの?」

 イラついた顔の女刑事が高ぴしゃな感じでつぶやく。

「そもそもチェストとバストは別種ですから……どのブラでも合うことはありません」

「チッ!」

 女刑事はより深くイラついた感じで腕を組んだ。しかしすぐ良いアイデアが浮かんだらしい。乳の里がなんとか着けるとすれば、そのブラは何カップになるのかと聞いた。

「Hカップくらいかなと……多分……」

「じゃぁIカップにして、海外製のモノがいいかな」

「え? で、でも……着けたって中身はスカスカになると思いますが……」

「足りない分は埋めればいいのよ」

 そう言った女刑事は海外製のIカップ(I100)というサイズを購入。それから急いで詰め物を買いに出かける。エセ盛りするためのモノを、良い子は立ち入れないお店で購入。それから大急ぎで女性衣服店にでかける。

「か、カツラまでするでゴワすか?」

 試着室に押し込まれた乳の里がはげしく戸惑う。いわゆる女性向けのウイッグをかぶれとの事。でも女刑事に言わせれば、かぶるだけで女にしか見えない乳の里はレアな人。

「肌が色白ですごくきれい。おまけに髭剃り跡がまったくない。カツラをかぶるだけで女性になれるなんて、奇跡みたいなモノよ」

「で、でも……ぶ、ぶ、ブラジャーして詰め物までするでゴワすか?」

「そうすると着爆乳の出来上がりよ。誰が見たって揉んでみてぇ! って女が誕生するわけよ」

「し、しかし……」

「しかし? なに?」

「おいどんの力士としてのプライドが……」

「あなたのプライドのために、ひとりの女の子が犠牲になってもいいというの?」

「わ、わかったでゴワす。着替えるから少し時間が欲しいでゴワす」

「早くね、急いでよ」

 こんなところを親方に見られたらどうしよう……なんて思いながら、乳の里は指示通りに変身した。それはカーテンを開いた女刑事に言わせれば、大爆乳のグラマー女そのもの。郵便局で人質とされて巨乳少女なんて、もうザコキャラ以下でしかない。

「ちょ、ちょっと確認させてもらうわよ」

 女刑事は顔を赤くすると、大爆乳のふくらみをゆすったり揉んだりした。それはカンペキな嘘八百。見事すぎる弾力と形状は、恵まれ過ぎた女の乳以外には考えられない。

「は、恥ずかしいから止めて欲しいでゴワす」

 いくら作り物とはいえ、乳揉みされまくってはたまらない。妙な感じで赤面してしまう。

「あ、そうそう乳の里さん」

「な、なんでゴワす?」

「そのゴワすっていうのはダメよ。力を抜いた声で一音上げなさい。それで女の子口調でしゃべるようにする」

「それはどんな感じでゴワすか?」

「それはどんな感じなの? とか、わたし……恥ずかしいから困っちゃう……とか、乙女を意識するの」

「そんな、いきなり言われても」

「小6の女の子をたすけたくないの?」

「わかったでゴワす」

「ほら、さっそくダメ! 言い直し!」

「わ、わかったわ……がんばる!」

「そう! それ、めっちゃキュート! リピートプリーズ!」

「もう……リピートなんて恥ずかしくてイヤなんだからね」

「あーん! 乳の里イケてるぅ!」

 変な興奮におぼれた女刑事は踊るようにして天井までジャンプしたりする。こうしてこの世におニューな大爆乳女が誕生した。それはもう天才としか言い様のないすばらしい仕事だった。乳の里が歩くとユッサユッサとふくらみ具合が揺れ動く。タップンタップンと豊満な揺れは、行き交う人間の目線を思いっきりさらった。

「でっけぇ……」

「揉んでみてぇ……」

「あんな彼女が欲しい……」

 多くの男性がトロっとした目をする。恋焦がれるようなためいきを落としたりする。中にはとなりを歩く彼女や妻からビンタされる者もいる。それくらい乳の里は魅力的だったのだ。

ー一方こちらは郵便局の中ー

 巨乳や爆乳の女性とおつき合いしてみたいという犯人は、優子の扱いにちょっと困っていた。大人の爆乳を求めてはいるので、小6の優子には色気を感じない。乳の豊かさだだって、彼が求める領域には達していない。でも……決して悪くはないなと思うのだった。

「おい、おまえ何カップだ?」

 犯人に言われて優子は震えながら顔を赤くする。2人しかいない郵便局の中で、ほんのちょっとだけ犯人と距離を置いて立っている。

「言えよ、言わないと……ムリヤリ確認する事になるぞ?」

「い、Eカップ……」

「Eカップ? 小6でか? おまえほんとうに乳が豊かな女の子だなあ」

「ぅ……」

「じゃぁ、おっぱい90cmくらいか?」

「そ、そんな感じ……」

「くぅ! おまえと同じ年齢だったら、おまえみたいな女の子とつき合いたいのに!」

 不気味な静けさが漂う局内において、男は恵まれなかった青春時代を嘆いている。そうして優子の胸を露骨にジロジロ見ながら、おれみたいな男はどうだ? つき合ってくれるか? などと言い出す始末。

(い、いやだ……)

 心の声でつぶやいた。でもそういうモノは顔面に出てしまうのが人という生物。それを目にした男は、ソファーに腰かけ頭を抱える。そして哀しい生物って声で嘆き出す。

「くっそぉ! なんでだよ、おれは昔からずーっと巨乳な女の子が好きだと思って生きてきたんだ。それなのに一度だって相手にされた事がない。なぜなんだよ? どうして恋すれば恋するほど遠ざかって行くんだよ」

 犯人は左手を額に当てると、哀れな涙をポロポロ流し始める。優子が頼んだわけでもないのに過去のさみしい片想いストーリーを語りだす。だがそのとき、どんより暗くなっていたフンイキを壊すかのように、外から女刑事の呼びかけが発生。

「あーあー聞こえる? こちらケーサツ。その女の子には手を出すべからず! もっとすごい爆乳女性を連れてきたわ、だから交換。素直に応じた方が絶対にお得よ!」

「交換? もっとすごい爆乳女性?」

 男はドキドキしながら窓に近づく。カーテンをほんのちょっとだけ開けて外を見てみたら、女刑事の横にすごい爆乳女性が立っているではないか。見た感じの年齢は20代の前半くらいだろうか。色白のムチプリでめっちゃかわいい。そして超グラマーって大爆乳だ。あんなグレードは今まで見た事がないと、一気に胸の中がピンク色になった。

「あんなワンダフルな女がいるなんて……恋の逃亡劇をやるしかねぇじゃん!」

 ポロっとこぼれる切な気な声。恋に恵まれなかった男の悲しさが、ダシの取りすぎって濃厚スープみたいに放たれる。胸の左側にキューンって感覚が発生。今まで涙ポロポロやっていたくせに、そんな事をすっかり忘れて、恋に駆け出す子犬のように興奮していた。


ーさてさて一体どうなるというのか……次に続くー
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