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27・縁日デートしよう(女子力の補充)1
しおりを挟む「望、ちょっといい?」
午後3時過ぎ、学校帰りの何気に熱いラブ共歩きをやっていたら、翠名がつぶやきチラッと隣に目を向ける。
「なに?」
ほんの一瞬、彼女から伝えられたモノ、それは男子の心にそっと伸びてきたやさしい手がハートに触れるような感覚。
「望、今日の午後5時から9時くらいまでって名にして過ごす」
「なにって……ん……夕飯食べたらひたすらゲーム、レースのテクを磨いて上から目線が出来るプレーヤーになること目指す!」
「ま、まぁそうだよね、望には心を燃やす目的とか目標があるもんね」
翠名がここで軽く赤らめた顔をちょっとだけ、横と正面の中間くらいってナナメに向ける。その何気ない感じの中に混じる女の子のかわいさとかいうそれ、目にする男子のハートをギュウゥっと握り絞るような威力と化す。
「え、なに? なんかあるの?」
望、いったい何を言われるのだろう……と、緊張+少しの甘い期待みたいなモノが混じってドキドキが高まる。
「ん……ちょっと、あえて恥ずかしい言い方としてもいい?」
「え? い、いいけれど……」
「最近ちょっとね、恋の栄養不足かなぁと思って。別の言い方をすれば、女子力の補充をしたいなぁと思って」
言ってチラッと左横の望をチラッと見る翠名、その顔がほんのり赤らんでいると、望の顔も当たり前のように顔の色を同じにさせられてしまう。
「あっと、ちがうよ、何も望のジャマをしようとか思っていないよ? たださ、ここ最近は望といっしょに会話する時間がちょっと少ないかなぁって……」
こんな事を言った翠名が恥じらい持って左手の平をクッとブレザーに浮かぶ豊かでやわらかそうってふくらみ部分に当てたりする。それを横目にする望のハートは恋汁をポタポタ落とさずにいられない。と同時に、彼女にそう言わせたという自分が軽犯罪者みたいな気がして胸にズキっと痛みが生じたりもする。
「夕方5時から9時くらいになんかあるの?」
「あ、やっぱりゲームに燃えているから意識しないか、今日は恋丸神社で縁日なんだよ。望といっしょに行きたいとか、そんな事を考えちゃったんだよ」
そうだった……と、言われてやっと望は気づいたというか思い出す。そして急に自分が信じられないという気がしてきた。佐藤翠名という、かわいくてすごい巨乳っておっぱいが豊かって魅力的な彼女がいるのに、なぜデートしたいなぁって思うよりもゲームなんぞに浸っていたのか、それっておかしいだろう! と突然マイナスの感情が内に湧き上がる。
「そ、そうだった、今日は縁日だった。うん、その……佐藤に時間があるんだったら、行きたい、いっしょに縁日に行きたい」
望がテレ隠しにおほん! とひとつやったら、パーっと翠名の顔が笑顔モードになる。でもすぐ慎重って面持ちになり、ムリしなくていいんだよ? と気遣う。
「だって、やりたいとかやらなきゃいけない事を望から奪ったみたいになりたくないから。そういう女にはなりたくないから」
翠名が赤らめた顔に乙女の悩み! 的な色を混ぜた。あぁもうなんと愛しくてせつない。望にとってみれば、この世で一番尊いモノとしか見えない。
「ち、ちがうよ、そうじゃないんだよ」
「そうじゃないって?」
「ゲームばっかりやっているとさ、ずっと座りっぱなしで血流が悪くなって、体のあっちこっちが痛いみたいになって、絶対に運動不足だよなって自分でもわかっているし、ゲーム中のストレスで心は常に不健康色。それを思ったらさ、彼女と縁日に出向いて歩いていっしょに過ごす方が、その方がずっと人間らしくていいよなって、たまにはそういう時間をちゃんと味わうべきだよなって、今はほんとうにそう思ってる。うん、いっしょに行きたいです。佐藤といっしょに縁日に行きたいです!」
ふっと足を止めた望、赤い顔ながらまっすぐ翠名に目を向け2人でたのしく過ごしたいですという思いを伝えた。
「ん……」
望が立ち止まってまっすぐ見つめたりすれば、翠名も足を止めざるを得ない。そして体の向きを望の方に向け見つめ合う。ここは学校からの帰り道であり、他人様の目も一杯あるのだが、それでも2人は愛情を育み合う者として小さい恋フィールドを形成してその中で交流する。
「あは、自分から言い出したのに……うれしい」
えへっとやって左手で軽く頭をかく翠名。だったら5時に〇〇バス停で待ち合わせしようと言った後、女子力の小さな塊を飲み込んだような顔をして付け足した。
「浴衣で行くから」
「え?」
「ん……望には色々見て欲しいっていうか……見せたいっていうか、ま、まぁとにかく、今日は浴衣で行くから」
ドキ! っとする望のハート、一方の翠名は早く帰って変身したいと気持ちが高ぶる、だからして絡み合った温度の高い2つのハートが、一休みとばかり絡み解除となる。それは特に男子の方に小さなさみしさを与える。もっとイチャラブしたいって、数時間後が待てないような、まるで幼子に戻されてしまうような感じに襲われてしまう。
「佐藤の浴衣姿……浴衣姿の佐藤と縁日を歩くってか」
望、今は外だから小声でつぶやくだけにとどめている。だがもしここが自分の部屋だったら、両手をにぎり天井を見上げてこう叫ぶことだろう。
ーうぉぉぉぉぉぉ! おれはいまモーレツにカンドーしている!!ー
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