少女風呂(童話風)

アッシュ出版

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5)同じクラスで一緒に勉強している女の子

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 「みんな準備出来てるみたいだから、さっさと裸になってお風呂に入りなさい」

 お姉さんがダイゴ君に言ってきます。

 「ああ、うん」

 ここは脱衣所です。
 その脱衣所はとてもいい匂いがしていました。さっきまで女の子たちがここでお洋服を脱いだりしていたからです。
 彼女たちの身体の匂いや、熱気がまだ脱衣所に生々しく残っているのです。
 その事実をダイゴ君は知りませんが、彼の牡の本能は、女の子たちが残したムンムンとしたフェロモンに、静かに興奮していました。

 「わかった。脱ぐよ、でも姉ちゃんの前は恥ずかしいから、どっか行ってて」

 「何言ってるのよ、私も真っ裸で風呂に入らなくちゃいけないのに」

 「脱ぐの見られるのが嫌なんだよ」

 「ああ、わかったわ。じゃあ、外に出てる。でも出口の前で見張ってるから、絶対に逃げられないからね」

 「もう逃げないよ、宿題やってくれるんだろ?」

 「約束する。じゃあ、五分後にまた来るからね、それまでにお風呂に入ってなさい!」

 その言葉と共に、ダイゴ君のお姉ちゃんが更衣室を出ようとします。
 しかしそのとき、軽やかな足音が聞こえてきました。

 「すいません、遅れちゃって」

 更衣室に女の子が入ってきたのです。

 「あ!」

 それはあやかちゃんでした。なんと、ダイゴ君のクラスメート。

 「し、しまむらじゃねえかよ」

 しまむらあやかが彼女のフルネームです。

 「さ、佐々木君」

 はい、佐々木ダイゴというのが彼の名前です。
 それにしても、二人の狼狽振りは大変なものでした。たとえば、風俗の待合室で会社の上司と鉢合わせしたときのような、あるいはメイド喫茶でもえもえしているときに、会社の上司と鉢合わせるような・・・。
 まあ、上司と鉢合わせというのは、若い彼らにはまるで似つかわしくない喩えですけど、それくらいのバツの悪さなのです。

 「え? し、しまむらって、もしかしてここで?」

 ダイゴ君があやかちゃんに尋ねました。

 「そ、そうよ。佐々木さんってお姉さんだったんですか?」

 「へえ、あんたたちって知り合いなの? だったらあやかちゃん、ダイゴがちゃんと裸になってお風呂に入っていくか、見張っててね」

 「え? あっ、は、はい・・・、え?」

 ダイゴ君のお姉さんは、あやかちゃんの返事を聞く前に脱衣所から出て行きました。

 「え? ちょっとマジかよ・・・」

 ダイゴ君はますます脱ぎにくくなりました。当たり前です。いつも同じクラスで一緒に勉強している女の子の前で裸になれるわけがありません。

 「こ、困るなあ」

 あやかちゃんだってそうです。
 しかしあやかちゃんは学級委員長も勤める女の子。根はとても真面目でした。
 このとき彼女は、少女風呂で働くみんなの顔を思い出したのです。
 みんな、お客さんが来るのを楽しみにしていた。それなのに私が恥ずかしがっていたら、せっかくのお客さんを逃してしまうことになる。

 「脱いで、佐々木君!」

 あやかちゃんは言いました。

 「はあ?」

 「早く!」

 「そんなの無理だよ」

 「私も脱ぐから」

 「え? マジで」

 あやかちゃんもこの少女風呂で働いているのです。裸になるのは当然のことです。
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