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第十八話密談の陰

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第十八話:密談の影

反乱軍の計画を暴くため、俺たちは急ぎ準備を進めていた。黒の将軍と第三皇子カイゼルが密談を行う予定の場所――それは帝都の郊外に位置する古びた館だった。そこは一見すれば廃墟のように見えるが、実際には帝国内の秘密裏の会合に使われる場所として知られていた。

「ここが奴らの密談の場所だと間違いないのか?」
サリナが地図を確認しながら尋ねる。

「間違いない。これまでの情報を総合すると、この館は重要な拠点の一つだ。」
俺は確信を込めて答えた。

「でも、敵も用心深いはずよ。迂闊に近づけば返り討ちにされる可能性もある。」

「そのために計画を練ったんだ。俺たちはただ突撃するわけじゃない。」

師匠が地図を指し示しながら、潜入ルートと脱出経路を説明する。

「まずは館周辺の警備状況を調査する。そして密談が始まる時間を見計らって突入するが、手早く証拠を確保する必要がある。敵が増援を呼ぶ前に撤退するんだ。」

館への潜入

夜が訪れ、俺たちは館へと向かった。暗闇の中、身を隠しながら進む。館の周辺は一見すると静かだったが、よく見ると巡回する兵士の姿が確認できた。

「意外と手薄だな……。」
俺が小声でつぶやく。

「逆に怪しいわね。」
サリナが鋭く指摘する。

確かに、これだけ重要な密談が行われる場所にしては、警備が薄すぎるように思える。何か罠が仕掛けられている可能性もあった。しかし、ここで引き下がるわけにはいかない。

「注意しながら進むぞ。何かあればすぐに退避する。」

俺たちは館の裏口から静かに侵入した。中は薄暗く、古びた家具が散乱している。微かな埃の匂いが漂い、何年も使われていないように見えた。だが、注意深く耳を澄ませば、奥の部屋から微かな話し声が聞こえてくる。

「間違いない。奴らだ。」

密談の現場

俺たちは物音を立てないよう慎重に奥へと進んだ。やがて、厚い扉の向こうから声がはっきりと聞こえるようになった。

「帝都内の兵士は手配済みだ。あとは陛下の動きを封じるだけだ。」
それは黒の将軍の声だった。低く、冷酷な響きが特徴的だ。

「ふん、皇帝の老いぼれがどれだけ抵抗しようと、我々の計画を阻むことはできん。」
カイゼルの声が続く。

俺は息を殺しながら、扉の隙間から中の様子を伺った。部屋の中央には黒の将軍とカイゼルが座っており、彼らを囲むように部下たちが控えている。テーブルの上には地図や文書が広げられ、彼らの計画が着々と進行していることが見て取れた。

「これだ……これが決定的な証拠になる。」
俺は小声でサリナに告げた。

「でも、どうやって確保する? あの人数を相手にするのは無理よ。」

「だから奇襲を仕掛けるんだ。」

俺たちは師匠の指示通り、小型の閃光弾を準備していた。それを使えば、一瞬の隙を作り出すことができる。

奇襲の開始

合図を交わし、俺たちは閃光弾を扉の隙間から放り込んだ。

「何だ!」
閃光と爆音により、室内は一時的に混乱に陥った。

俺たちはその隙に飛び込み、テーブルの上にあった文書を手早く回収する。

「こいつらを止めろ!」
黒の将軍の怒号が響くが、彼らはまだ視界が戻らないようだ。

「急げ!」
俺たちは回収した文書を抱え、素早く部屋を後にした。

追跡

しかし、館を出る頃には敵の部下たちが追跡を開始していた。

「逃がすな!」

怒声とともに矢が飛んでくる。俺たちは全力で駆け抜け、事前に確保していた馬車に飛び乗った。

「サリナ、合図だ!」

サリナが手にした火薬を道に放り投げる。次の瞬間、爆音とともに土煙が舞い上がり、追っ手の視界を遮った。

「これで少しは時間が稼げる!」

「まだ気を抜くな! 逃げ切るまでが勝負だ!」

文書の解析

無事に倉庫へ戻った俺たちは、回収した文書を確認し始めた。そこには、帝都の兵士の配置や黒の将軍たちの行動計画が詳細に記されていた。

「これなら、陛下も動かざるを得ないわね。」
サリナが安堵の表情を浮かべる。

「でも、敵もこの文書が奪われたことに気づいているだろう。反撃が来る前に、こちらも手を打たないと。」

俺たちは文書を整理し、翌朝には皇帝への報告に向かう準備を整えた。これが、反乱軍を止める最後の一手になる――そう信じて。
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