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最終章 君を探して
7・時の干渉
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「従うわ。形は優麻さんに一任します」
片織は、躊躇いなく家族になる決断を下した。
どのような形になるかは後ほど話し合うことにし、一族の秘密について話をを聞く流れとなったのだ。
「そんな簡単に決めて良いの?」
と優人。
一生雛本一族とつきあっていかねばならないのに、そんな数分で決めて良いのかと心配になったのである。
「うーん。落ち着く先がここなら、わたしも迷うけれど。ほら、知らない人ばかりだし。でも優人くんや和くんとは六年の付き合いでしょう? 二人のことはよく知っているし。優麻さんのこともこれから知っていけばいいじゃない?」
片織は言葉を選びながら自分の気持ちと考えを述べた。
ちゃんと考えてから決めたことならば、これ以上口を出すべきではないのかもしれないと思う。
意向が決まったところで、母が口を開く。
「ではわたしから一つ重大なことをお話します。優人と和宏はもう知っていることなのだけれど、わたしは『雛本優麻』であり……本当は『雛本佳奈』なの」
「!!」
曽祖父と片織が同時に驚く。
だが、曾祖父はすぐに納得がいったようだ。
『雛本優麻』の使命は『過去』に行き、もう一つの未来を創るための道を作ることだった。
そのためには和史と婚姻をし和宏と優人を出産し、未来から『時越え』をしてきたもう一人の『佳奈』を育てる必要がある。
「優麻は、同時に同じ時間に存在することのできる『特別』な存在」
同時に存在できるかどうか、本来は実験すらできない。
「そしてこれはまだ推測の域を越えないのだけれど、片織さんを一族に引き入れる未来が”雛本一族の未来”に重要な意味を持つのではないかと思うの」
これには優人も和宏も顔を見合わせる。
母は片織に『雛本一族の始祖』は未来にいることを伝えると、自分たちが『タイムトラベルすることができる時渡という能力を持つ一族』であることを説明した。
「そうなの。もちろんこのことは口外はしないわ」
曾祖父は片織に基本的な『時渡』の能力について説明を加える。
それは優人たちが以前聞いたような内容だった。
「つまり、雛本家の人々は事件自体には関わっていないのね?」
「そうじゃ」
責任を取るために時渡をした女性の話しなどを聞いた片織はどうして人々の記憶から婚姻の事実が消えたのか? 子の記憶が消えたのかなどを理解したようだった。
「どうして私たちは覚えているのかしら?」
片織は不思議だと言うように、首を傾げる。
「その事なんだけれど。初めは優人の推理通り、直接本人に会っておらず話にしか聞いていないからだと思っていたの。でもこうなってみると、もしかしたら『時の干渉』を受けない一族が存在するのではないか? と思ったのよ」
母の話しはこうだ。
雛本一族は未来から『時越え』をして過去に子孫を増やして来た。
それは『未来』で何か起きているからなのだろう。
しかし自分たちには何が起きているのか知ることはできない。
一族を増やし、未来に影響を及ぼすのが目的だと思われてきた『時越え』現象。
今回のことを踏まえると、『他の能力者』探しも目的の一つなのではないか? という結論に辿り着く。
その能力者の一人が『時の干渉』を受けない者なのではないだろうか?
「そうなると、少し話が変わってくるのう」
と曾祖父。
「ここで片織さんの子孫を絶やすことは、未来に良い影響を与えないのではないのか? プライベートなことを尋ねるが、片織さんの親戚またはお子さんは?」
「親戚はいます。子供は……元妻の実家に」
言いづらそうにカミングアウトする片織。
今度は優人と和宏が驚く番だった。
「その子とコンタクトをとることは?」
「もちろんできます」
と強く頷く片織。
これから何が始まろうとしているのか、片織もなんとなく理解したようだ。
彼らが『時の干渉』を受けないのか調べる必要があるのだ。
もしそうならば、これから協力し合っていく必要があったからである。
片織は、躊躇いなく家族になる決断を下した。
どのような形になるかは後ほど話し合うことにし、一族の秘密について話をを聞く流れとなったのだ。
「そんな簡単に決めて良いの?」
と優人。
一生雛本一族とつきあっていかねばならないのに、そんな数分で決めて良いのかと心配になったのである。
「うーん。落ち着く先がここなら、わたしも迷うけれど。ほら、知らない人ばかりだし。でも優人くんや和くんとは六年の付き合いでしょう? 二人のことはよく知っているし。優麻さんのこともこれから知っていけばいいじゃない?」
片織は言葉を選びながら自分の気持ちと考えを述べた。
ちゃんと考えてから決めたことならば、これ以上口を出すべきではないのかもしれないと思う。
意向が決まったところで、母が口を開く。
「ではわたしから一つ重大なことをお話します。優人と和宏はもう知っていることなのだけれど、わたしは『雛本優麻』であり……本当は『雛本佳奈』なの」
「!!」
曽祖父と片織が同時に驚く。
だが、曾祖父はすぐに納得がいったようだ。
『雛本優麻』の使命は『過去』に行き、もう一つの未来を創るための道を作ることだった。
そのためには和史と婚姻をし和宏と優人を出産し、未来から『時越え』をしてきたもう一人の『佳奈』を育てる必要がある。
「優麻は、同時に同じ時間に存在することのできる『特別』な存在」
同時に存在できるかどうか、本来は実験すらできない。
「そしてこれはまだ推測の域を越えないのだけれど、片織さんを一族に引き入れる未来が”雛本一族の未来”に重要な意味を持つのではないかと思うの」
これには優人も和宏も顔を見合わせる。
母は片織に『雛本一族の始祖』は未来にいることを伝えると、自分たちが『タイムトラベルすることができる時渡という能力を持つ一族』であることを説明した。
「そうなの。もちろんこのことは口外はしないわ」
曾祖父は片織に基本的な『時渡』の能力について説明を加える。
それは優人たちが以前聞いたような内容だった。
「つまり、雛本家の人々は事件自体には関わっていないのね?」
「そうじゃ」
責任を取るために時渡をした女性の話しなどを聞いた片織はどうして人々の記憶から婚姻の事実が消えたのか? 子の記憶が消えたのかなどを理解したようだった。
「どうして私たちは覚えているのかしら?」
片織は不思議だと言うように、首を傾げる。
「その事なんだけれど。初めは優人の推理通り、直接本人に会っておらず話にしか聞いていないからだと思っていたの。でもこうなってみると、もしかしたら『時の干渉』を受けない一族が存在するのではないか? と思ったのよ」
母の話しはこうだ。
雛本一族は未来から『時越え』をして過去に子孫を増やして来た。
それは『未来』で何か起きているからなのだろう。
しかし自分たちには何が起きているのか知ることはできない。
一族を増やし、未来に影響を及ぼすのが目的だと思われてきた『時越え』現象。
今回のことを踏まえると、『他の能力者』探しも目的の一つなのではないか? という結論に辿り着く。
その能力者の一人が『時の干渉』を受けない者なのではないだろうか?
「そうなると、少し話が変わってくるのう」
と曾祖父。
「ここで片織さんの子孫を絶やすことは、未来に良い影響を与えないのではないのか? プライベートなことを尋ねるが、片織さんの親戚またはお子さんは?」
「親戚はいます。子供は……元妻の実家に」
言いづらそうにカミングアウトする片織。
今度は優人と和宏が驚く番だった。
「その子とコンタクトをとることは?」
「もちろんできます」
と強く頷く片織。
これから何が始まろうとしているのか、片織もなんとなく理解したようだ。
彼らが『時の干渉』を受けないのか調べる必要があるのだ。
もしそうならば、これから協力し合っていく必要があったからである。
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