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『猟奇的、美形兄は』

32:弟、般若につき

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 愛都は、気が気ではなかった。

 何故ならば、兄がSNSなどというものを始めてしまったからである。
「お兄ちゃん、周りの人に迷惑かけてないかな?」
 トチ狂った兄を、人の道へ戻すのが自分の使命だ。何せ、兄であり恋人でもあるのだから。
 愛都はとりあえず、兄の登録したサイトをスマホで検索してみる。

──まるでストーカーみたいだけど、ストーカーじゃないから!

 なんとか自分に言い訳し、登録を押すとこのURLにアクセスしてくださいというメールが送られてくる。
「うわ、どうしよう。このサイト年齢を入れなきゃいけないのか」
 十五歳から登録可能となっている為、愛都は登録できない。うーん、読むわけじゃないし誤魔化すか。
(良い子は真似してはいけません)
 仕方なく、愛都は十五で登録することにした。

「え、名前?」
 サイト登録にはハンドルネームが必要な様子。
「名前、名前かあ」
そう言えば、兄も名前を登録していたなと、思いながら。
「よし、これにしよう。モロ過ぎるかな?」
 愛都は不安を覚えつつも、監視カメラという名前でサイトに登録した。
「んー? 次はアイコン?」
 どうやら、好きなアイコンを登録できるようだ。
「やっぱりここは、カツをいれないといけないよね」
と、般若の画像をアップ。
 般若顔の監視カメラが完成。愛都はさっそく兄をフォローしてみることに。
 その直後のことだった。

「ぎやああああああ」
 ベッドに座っていた、兄の悲鳴が聞こえたのは。
「どうしたの? お兄ちゃん」
「こわ、こわ、怖い人に、フォローされたああああ」
「ん?」
と、お×××ん型クッションに寄り掛かっていた愛都は立ち上がると、兄のノートパソコンを覗き込む。
「か、監視カメラって名前なんだけど、画像が怖すぎるううう」
 ムンクのようなポーズをし、悶絶する兄。
「あ、お兄ちゃん。それ、僕だから」
「ㇷワッツ⁈」
「僕」
 愛都は自分自身を指さして。

「まなああああああ」
「うん」
「何かの、亡霊かと思ったよ」
「ほら、僕ぅ、お兄ちゃんが大好きだから、いつも一緒に居たいなと思って」
と、可愛いポーズを決めるが、名前にも画像にも目的がにじみ出ている。
「でも、なんでこんな怖い画像に……」
と、兄。
「お兄ちゃん、カッコいいから浮気したらイヤだなって思って」
と、もっともらしい理由を述べると、
「まな、お兄ちゃんの心はいつも、なまのお×××んと共にある」
(何言てんってんだ、この人は)
「浮気などしないと、おパンティに誓う」
(どういう状況?)
「あああああ。まな、まなの素敵なお兄ちゃんはな」
 兄がまた、演説をはじめ出す。
「まなのお×××んが見たくなってきた。見せてくれるね?」
 愛都の両手を掴み、懇願する兄に、愛都はさりげなくケリを入れたのだった。
「いてッ」
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