上 下
28 / 39
『猟奇的、美形兄は』

25:兄、印刷につき

しおりを挟む
 どうにか変なキャップを被ることは阻止できたものの。
 家を出、車に向かう兄の背中にはデカデカと”桃尻”という文字がプリントされている。
 灰色系統の布地に、ショッキングピンクで。

──どこで買ってくるの、そんなTシャツ。
 どこに売ってるんだあああああ!

 愛都は頭を打ち付けたい気分になる。
 兄の膝丈のズボンはよく見るとパンツ模様。頭痛がした。
「んっんっ。まな、早く乗って」
 クッションだか、枕だか、ぬいぐるみだか定かではないが変な形の代物をこれから買いに行く。
 無事に部屋まで持って帰れればいいが、うちには最強の門番がいる。そう、母だ。
 お×××ん型の塊が無事に審査に通るだろうか?

──まあ、部屋にはお×××ん型の石膏もあるしね。

 兄の車に乗り込むと、兄はカーナビに手を伸ばす。
 お気に入りの曲を流しつつ、アクセルを踏んだ。
「今日行くところは、(株)原始人の本店なんだよ。日用品雑貨部門の。楽しみだね」
「それって十八歳未満は入店禁止とかじゃないの?」
「大丈夫、お腹に入っているときから、お墓に入った後までOKだよ」

──それ、どっちも商品見えなくない?

 愛都の心のツッコミをよそに、兄は鼻歌ルンルンである。
 車が駅付近の大通りまで来た頃、
「ここが株原の本社」
と、大きなガラス張りの高層ビルを指す、兄。
「でかっ!」

 本社の正面玄関前を車で通りかかった時、数人のサラリーマンが玄関から出てきた。一人は全身ブランドで綺麗な色の髪をした男性。明らかに周りから浮いている。
『ねえ、いいじゃん。呑み行こうよ』
 後ろからやって来た男性に呑みに誘われているようだ。
 と、そこへ、
『君たち呑みに行くの?もちろん僕も連れてくよね?』
と、バーコードの恰幅の良い男性が大股で彼らに近づいた。
 途端に彼らの様子が変わる。
 満面に笑みを浮かべ、
『ごちになります! 部長』
と、それぞれポーズを決める。
 どうやら、部長らしい。彼らはお喋りをしながら飲み屋がある通りのほうへ歩き出した。

──いいなあ、楽しそうな会社。

「そう言えば、お兄ちゃんは将来どんな職に就くの?」
「それはなってみないと分からんが、あの会社に就職を希望している」
 どうやら兄は、(株)原始人で働きたいらしい。
「おパンティ部門で活躍予定だ」
「え」
 まさか、食い破る気じゃ? と不安になる愛都。
「まなの素敵なお兄ちゃんはな。おパンティに囲まれていたいんだよ」
 家でも十分囲まれているが。
「そしてこの兄の棺には、一緒におパンティをぎゅうぎゅうに詰めておくれ」
 そんなもん棺に詰めるなんて話は聞いたことがない。その前に、母が発狂しそうである。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

大学生はバックヤードで

リリーブルー
BL
大学生がクラブのバックヤードにつれこまれ初体験にあえぐ。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

完成した犬は新たな地獄が待つ飼育部屋へと連れ戻される

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

同僚に密室に連れ込まれてイケナイ状況です

暗黒神ゼブラ
BL
今日僕は同僚にごはんに誘われました

生意気な少年は男の遊び道具にされる

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

処理中です...