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2話『誤解と嫉妬』
2 誤解とすれ違い
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****♡Side・副社長(皇)
───なんだ?
どうかしたのか?
皇は一人、スープをすすりながら、帰ってこない塩田を心配していた。
先ほど玄関口で誰かと話している様な、ぼそぼそという声が聞こえてきたが今は静かだ。
時計を見上げると、あれから十分は経っている。さすがに変だと思い玄関に向かうと、誰かが玄関から出て行くところであった。
「修二ッ」
それを止めようとする塩田。彼は何処か痛めているのか、カベに寄りかかっている。
───修二って言ったか? 今。
どうやら、長が来ていたことを理解した皇は、玄関にあった塩田のサンダルを履き思わず彼を追いかけた。
「課長」
彼はエレベーターの前で片手を壁につき、もう片方の手で目元を覆っている。泣いているのだろうか。
「副社長……」
「何してるんだ。喧嘩か?」
皇は極めて、冷静に問いかける。
しかし彼は、眉を寄せ皇をにらみつけた。彼がそんな顔をするのが初めてだったので、さすがの皇もたじろく。
「白々しい。塩田を奪ったのは、副社長じゃないか」
「は?」
皇には何のことか分からなかった。
確かに自分は、塩田を奪いたいと思っている。しかし実際には、ただ彼とお喋りをしたり、一緒にご飯を食べるだけの仲。もし仮にそれで塩田が自分を好いてくれているのならば、もう少し進展しても良いはずだ。
「別れたんだよ」
「え、はああ?」
思わず声が大きくなり、口元を抑える。
「冗談言うなよ。塩田は承諾したのか?」
「承諾も糞もあるか。他の男と寝てるやつと付き合いきれるかよ」
彼らしくなかった。
───添い寝してるだけなんだが。
塩田はちゃんと説明したのか?
「とりあえず、戻ろう。ちゃんと話し合うべきだ」
「話すことなんてない」
「後悔しても知らないぞ。いいなら本気で奪うけど?」
皇の言葉に、彼は怪訝そうな表情をする。
「なあ、時間が経ったら、取り返しつかなくなることだってあるんだよ。今、塩田が好きなのは、紛れもなくあんただ。でも明日もそうとは限らない。だからさ、今を大切にしろよ」
応援する義理なんて、ほんとはないのだ。チャンスだと思って、塩田を奪えばいい。しかしそんな繋がり方をしたところで、心が離れていくのは時間の問題。
恋愛はちゃんと互いに向き合うところからが、スタートなのだ。
「こんなこと言うのもあれだけど。俺、塩田としたの一回だけだから」
「え?」
項垂れていた彼が、頭を上げた。
「課長に家庭があるって知った時、塩田があんたを傷つけたくて。裏切りたくて……だと思うけど」
正直あんなものはカウントすらしたくなかったのだ、皇は。
性交とは互いに愛し合って、求め合って、するものだと思っていたから。
───なんだ?
どうかしたのか?
皇は一人、スープをすすりながら、帰ってこない塩田を心配していた。
先ほど玄関口で誰かと話している様な、ぼそぼそという声が聞こえてきたが今は静かだ。
時計を見上げると、あれから十分は経っている。さすがに変だと思い玄関に向かうと、誰かが玄関から出て行くところであった。
「修二ッ」
それを止めようとする塩田。彼は何処か痛めているのか、カベに寄りかかっている。
───修二って言ったか? 今。
どうやら、長が来ていたことを理解した皇は、玄関にあった塩田のサンダルを履き思わず彼を追いかけた。
「課長」
彼はエレベーターの前で片手を壁につき、もう片方の手で目元を覆っている。泣いているのだろうか。
「副社長……」
「何してるんだ。喧嘩か?」
皇は極めて、冷静に問いかける。
しかし彼は、眉を寄せ皇をにらみつけた。彼がそんな顔をするのが初めてだったので、さすがの皇もたじろく。
「白々しい。塩田を奪ったのは、副社長じゃないか」
「は?」
皇には何のことか分からなかった。
確かに自分は、塩田を奪いたいと思っている。しかし実際には、ただ彼とお喋りをしたり、一緒にご飯を食べるだけの仲。もし仮にそれで塩田が自分を好いてくれているのならば、もう少し進展しても良いはずだ。
「別れたんだよ」
「え、はああ?」
思わず声が大きくなり、口元を抑える。
「冗談言うなよ。塩田は承諾したのか?」
「承諾も糞もあるか。他の男と寝てるやつと付き合いきれるかよ」
彼らしくなかった。
───添い寝してるだけなんだが。
塩田はちゃんと説明したのか?
「とりあえず、戻ろう。ちゃんと話し合うべきだ」
「話すことなんてない」
「後悔しても知らないぞ。いいなら本気で奪うけど?」
皇の言葉に、彼は怪訝そうな表情をする。
「なあ、時間が経ったら、取り返しつかなくなることだってあるんだよ。今、塩田が好きなのは、紛れもなくあんただ。でも明日もそうとは限らない。だからさ、今を大切にしろよ」
応援する義理なんて、ほんとはないのだ。チャンスだと思って、塩田を奪えばいい。しかしそんな繋がり方をしたところで、心が離れていくのは時間の問題。
恋愛はちゃんと互いに向き合うところからが、スタートなのだ。
「こんなこと言うのもあれだけど。俺、塩田としたの一回だけだから」
「え?」
項垂れていた彼が、頭を上げた。
「課長に家庭があるって知った時、塩田があんたを傷つけたくて。裏切りたくて……だと思うけど」
正直あんなものはカウントすらしたくなかったのだ、皇は。
性交とは互いに愛し合って、求め合って、するものだと思っていたから。
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