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20話『運命を背負いし者と魂の番』
7 涙の再会
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****♡Side・Ω(レン)
「レン、大丈夫か?」
「うん」
屋敷に着くころには、すっかり発情の兆しはなくなり、落ち着きを取り戻していた。その事がレンに確信させる、先ほどの発情が特別なものであったことを。あれは意図的なものではなく、魂の番によるものなのだと。
「とりあえず、部屋に行こう」
カイルに促され、二階に上がるがクライスのことを思い不安になる。もしかしたら、彼は自分のせいで隔離されてしまうのではないか。
「カイル、クライスは? ねえ、クライスは大丈夫なの?」
珍しく取り乱すレンに、驚くカイル。
───お荷物になりたくない。カイルから大切なもの奪いたくない。
「大丈夫だよ、今こちらに向かってる」
カイルが安心させようと、ぎゅっと抱きしめてくれる。
レンは彼の背中に腕を回した。
「カイル、お願い。僕を捨てないで」
「何言ってるんだ。そんなことするわけないだろ」
彼はレンにちゅっと口づけ、更に強く抱きしめる。
「レンがいない世界なんて、考えられないよ。悲しいこと言わないで」
レンはそっと目を閉じた。
自分の居場所は、ちゃんとここにあるのだろうか。
───もう嫌だ。どうして、僕はΩなのだろう。
Ωになんて、生まれてきたくなった。
魂の番なんて知らない。僕はカイルの傍にいたいだけ。
「カイル」
「大丈夫、傍に居るよ。レンの傍に居る」
優しく背中を撫でる手。安心なんてできない。クライスがここに来るまでは、安心なんてできやしない。何ともないことを確かめるまでは。
その時、不意に玄関が騒がしくなる。
「!」
「クライスだ」
と、カイルはじっとレンを見つめた。
階段をのぼる音にドキドキする。なにごともなければいい。
足音が止まると、部屋のドアが躊躇いがちにノックされた。
「レン、何ともない?」
心配そうにこちらを覗き込むカイルに、レンは頷く。
「レン、カイル……入っても大丈夫?」
クライスの声に、レンは何かに弾かれたように動いた。
「レン?」
慌てるカイル。レンは思いっきりドアを引くとその胸に飛び込む。
「クライスッ」
「レン……ただいま」
「僕のせいで、ごめんね」
「俺は……大丈夫だよ」
震える声。きっと、凄く寂しかったのだろうと思った。カイルがゆっくりと近づくと、クライスをレンごと抱きしめる。
「おかえり、クライス」
「カイル」
何がそんなに悲しいのか分からない。しかし、涙が止まらなかった。
きっとクライスも同じだったのだろう。ハラハラと涙を溢しながら、カイルの肩に顔を埋める。
「二人とも、泣くなよ」
カイルが困った顔をして二人の頭を撫でたのだった。
「レン、大丈夫か?」
「うん」
屋敷に着くころには、すっかり発情の兆しはなくなり、落ち着きを取り戻していた。その事がレンに確信させる、先ほどの発情が特別なものであったことを。あれは意図的なものではなく、魂の番によるものなのだと。
「とりあえず、部屋に行こう」
カイルに促され、二階に上がるがクライスのことを思い不安になる。もしかしたら、彼は自分のせいで隔離されてしまうのではないか。
「カイル、クライスは? ねえ、クライスは大丈夫なの?」
珍しく取り乱すレンに、驚くカイル。
───お荷物になりたくない。カイルから大切なもの奪いたくない。
「大丈夫だよ、今こちらに向かってる」
カイルが安心させようと、ぎゅっと抱きしめてくれる。
レンは彼の背中に腕を回した。
「カイル、お願い。僕を捨てないで」
「何言ってるんだ。そんなことするわけないだろ」
彼はレンにちゅっと口づけ、更に強く抱きしめる。
「レンがいない世界なんて、考えられないよ。悲しいこと言わないで」
レンはそっと目を閉じた。
自分の居場所は、ちゃんとここにあるのだろうか。
───もう嫌だ。どうして、僕はΩなのだろう。
Ωになんて、生まれてきたくなった。
魂の番なんて知らない。僕はカイルの傍にいたいだけ。
「カイル」
「大丈夫、傍に居るよ。レンの傍に居る」
優しく背中を撫でる手。安心なんてできない。クライスがここに来るまでは、安心なんてできやしない。何ともないことを確かめるまでは。
その時、不意に玄関が騒がしくなる。
「!」
「クライスだ」
と、カイルはじっとレンを見つめた。
階段をのぼる音にドキドキする。なにごともなければいい。
足音が止まると、部屋のドアが躊躇いがちにノックされた。
「レン、何ともない?」
心配そうにこちらを覗き込むカイルに、レンは頷く。
「レン、カイル……入っても大丈夫?」
クライスの声に、レンは何かに弾かれたように動いた。
「レン?」
慌てるカイル。レンは思いっきりドアを引くとその胸に飛び込む。
「クライスッ」
「レン……ただいま」
「僕のせいで、ごめんね」
「俺は……大丈夫だよ」
震える声。きっと、凄く寂しかったのだろうと思った。カイルがゆっくりと近づくと、クライスをレンごと抱きしめる。
「おかえり、クライス」
「カイル」
何がそんなに悲しいのか分からない。しかし、涙が止まらなかった。
きっとクライスも同じだったのだろう。ハラハラと涙を溢しながら、カイルの肩に顔を埋める。
「二人とも、泣くなよ」
カイルが困った顔をして二人の頭を撫でたのだった。
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