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19話『囚われたαと真実』

6 皇子の抱いた劣等感【R】

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****♡Side・β(カイル)

───やばい、にやける。

『カイル以外に誰が、僕を満足させるって?』
 彼のたった一言で、浮上する自分がいた。
 そうかと思う。自分はただ単にレンにとっての一番に、全ての一番になりたかった。一番であると言われたかったのだと。
 自分はβであることに誇りを持っている。いつ、どんな時でも任意で理性を保つことの出来るこの性に。
 そして同時に劣等感も持っているのだ。それは、レンがΩだから。愛しい人がΩな為に番になることが出来ず、発情期に気休めにしかならない自分に劣等感を抱いていた。

「カイル……早く達《い》って。俺も挿れたい」
 ぎゅぅっと抱きしめられながらレンにそう言われ、一瞬思考が停止する。
 発情期には確かに性欲の塊にはなるがレンに襲われたことは一度もない。 
 そっちもイケるのか? という純粋な、疑問。
「何、変な顔して」
「まッ……そんなに締め付けたら……ッ」
 レンの中は、クライスとは違う良さがある。クライスは、ちっとも慣れない初々しさ。レンにはテクニック。これがΩとαの違いなんだろうか、と思ってしまうほどに。
「はあッ……」
 レンに導かれ達ってしてしまったカイルは、ずるりと自分自身を彼から引き抜きベッドに横たわった。

 簡単に達してしまった自分が恥ずかしく、両手で顔を覆っていると蕾に濡れた感触。
「この態勢キツイ」
とカイルの蕾を弄っていたレンが、カイルの両腿に手をかけ腰を持ち上げるとぐいっと左右に開いた。
「あ……レン……」
「恥ずかしがってないで、早く挿れさせて」
 蕾を這う彼の舌。そこは散々、彼に快楽を植え付けられた場所。
「んんッ……」
「やっぱり、カイルは抱く方より抱かれる方がお似合いだよ」
 今日の彼はせっかちだ。
 早速ジェルを取り上げるとカイルの蕾に塗りこめていく。発情期には受け入れるだけの彼が今、自分に穿とうとしている。

「一回くらいじゃ満足しないと思うから、覚悟してね」
「えッ……」
 彼は一心にカイルの蕾を解した。指が抜き差しされるたび、甘く疼き腰を揺らしてしまう。恥ずかしいが、特別な夜だった。
「挿れるよ」
 充分ほぐれたことを確認すると、彼はカイルの返事も待たずに蕾に彼自身を押し当てる。
「んッ……」
 くぷぷっと飲み込んでいくカイルの蕾。
「ああ。良いね、最高」
 Ωを獣のように襲うαというイメージはあっても、Ωがが獣のように誰かを犯すというのは聞いたことがなかったし、想像もしたことがなかった。
「んッ……レンッ」
 自分の中でさらに膨張する彼自身を感じながら、Ωの発情期性欲は恐ろしい
とカイルは思い始めるのだった。
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