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2──解かれていく真実
♡10『瀬戸と聖』
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****♡Side・大里聖(幼馴染み)
『興味ねえ』
瀬戸遥は興味なさげに呟いた。
聖にとっては本心。そして久隆以外で初めて興味を持った相手でもある。できれば仲良くなりたいと思った。
『俺に何を望んでるわけ』
『一緒にご飯食べたりとか……遊びに行ったり?』
『俺と』
『瀬戸先輩と』
彼は少し考えている風だったが聖のマンションのリビングをぐるりと見渡して、『良いよ』と。
そして現在カウンターに並んで腰かけ、ピザをつつきながら雑談をしている状況だ。
「先輩ってどんな人がタイプなんです?」
「大崎圭一」
それは聖が想いを寄せる久隆の兄。あまりにピンポイント過ぎて紅茶を吹いた。
「でもつき合うなら、白石先輩がいい」
「大崎先輩のご友人の……なんでそんなピンポイント」
「俺が仲良くしている先輩が大学部にいるんだけどさ。たまに見かけるんだよね、大学部に行くと」
”カッコイイよな、あの人”と続けて。
てっきりK学園の裏掲示板に入り浸っているのかと思ったら違ったようだ。
「先輩は、年上のカッコイイ男性が好きなんですか?」
自分を磨くことはできる。しかし歳は変えられない。残念なことに。
「いや。圭一先輩も白石先輩も恋人になったら大事にしてくれそうじゃん?」
頬杖をついていた瀬戸がチラリとこちらに視線を移して。
「それは俺と比べてるんですか?」
「大里は……遊んでそうだしな。友達はいなさそうだけど」
瀬戸の言葉に”失敬な……”と言葉を漏らす聖。
「いいじゃん。”上手そう”ってことだろ」
言って小さくため息をつく彼。聖はムッとした。偏見が過ぎる。
「だったら、試してみますか?」
「何言ってんの、お前」
瀬戸は呆れ顔だ。
「そもそも何を見て友達いなさそうとか言うんですか」
「部屋。シンプルで余計な物ないし、生活感もない」
”友人が来ている感じはしない”と付け足して。
確かに聖のマンションは常に綺麗に片付いているし、久隆以外が来ることは無い。しかしそれは呼ばないからだ。遊ぶ時はいつも外。
「俺は大里がぞろぞろ取り巻き連れているのを見たことがあるが、あれは友達じゃないだろ?」
確かに友人なのかと問われたらうんとは言えないかも知れない。だが友人くらい自分にもいると言いたかった。
「理由があってあえてそうしているんだろうなとは思うが、本当によく遊ぶ友人がいるなら俺と友達になりたいなんて言わないはずだ」
「それは……」
瀬戸は聖の痛いところを的確に突いてくる。
「ま、俺も似たようなもんだけどな。二個上の先輩たち以外とは仲良くないし」
瀬戸は”痛いこと言って悪い”とでも言うように、自分よりずっと背の高い聖の頭をポンポンと撫でた。
「瀬戸先輩はなぜ友達がいないんですか?」
「ゲームばかりやっていたらいつの間にかそうなってた」
「引きこもり?」
「学校にはちゃんと行ってる」
「ヲタク?」
「どうかな……俺はAGというゲーム内で兄を捜しているんだ」
別にゲームが好きなわけではないと彼は言う。
「お兄さんを?」
「四年前に失踪したんだ」
じっと前を見つめる彼の瞳はきっと過去を映しているに違いない。
「兄弟仲は普通に良かったと思ってる。事件に巻き込まれた可能性も否定はできないが」
”父の態度から、自分の意思でいなくなった可能性が高い”と。
「憶測に過ぎないけどさ。父は教えてくれないんだ。何があったのか」
「それ、俺も手伝っちゃ駄目ですか?」
聖の言葉に驚いたようにこちらに表を向ける瀬戸。
「現実世界でも仮想世界でも。俺が力になります」
「あ……いや、嬉しいけど。お前さ、ゲーム苦手じゃなかった? 確か久隆がそう言っていたような気がする」
「手で操作するものは苦手です。でもそのゲームは意識を飛ばすんでしょう?」
「そうだが……」
心配そうにこちらを見つめる瀬戸を聖はなんとか説き伏せたのだった。
『興味ねえ』
瀬戸遥は興味なさげに呟いた。
聖にとっては本心。そして久隆以外で初めて興味を持った相手でもある。できれば仲良くなりたいと思った。
『俺に何を望んでるわけ』
『一緒にご飯食べたりとか……遊びに行ったり?』
『俺と』
『瀬戸先輩と』
彼は少し考えている風だったが聖のマンションのリビングをぐるりと見渡して、『良いよ』と。
そして現在カウンターに並んで腰かけ、ピザをつつきながら雑談をしている状況だ。
「先輩ってどんな人がタイプなんです?」
「大崎圭一」
それは聖が想いを寄せる久隆の兄。あまりにピンポイント過ぎて紅茶を吹いた。
「でもつき合うなら、白石先輩がいい」
「大崎先輩のご友人の……なんでそんなピンポイント」
「俺が仲良くしている先輩が大学部にいるんだけどさ。たまに見かけるんだよね、大学部に行くと」
”カッコイイよな、あの人”と続けて。
てっきりK学園の裏掲示板に入り浸っているのかと思ったら違ったようだ。
「先輩は、年上のカッコイイ男性が好きなんですか?」
自分を磨くことはできる。しかし歳は変えられない。残念なことに。
「いや。圭一先輩も白石先輩も恋人になったら大事にしてくれそうじゃん?」
頬杖をついていた瀬戸がチラリとこちらに視線を移して。
「それは俺と比べてるんですか?」
「大里は……遊んでそうだしな。友達はいなさそうだけど」
瀬戸の言葉に”失敬な……”と言葉を漏らす聖。
「いいじゃん。”上手そう”ってことだろ」
言って小さくため息をつく彼。聖はムッとした。偏見が過ぎる。
「だったら、試してみますか?」
「何言ってんの、お前」
瀬戸は呆れ顔だ。
「そもそも何を見て友達いなさそうとか言うんですか」
「部屋。シンプルで余計な物ないし、生活感もない」
”友人が来ている感じはしない”と付け足して。
確かに聖のマンションは常に綺麗に片付いているし、久隆以外が来ることは無い。しかしそれは呼ばないからだ。遊ぶ時はいつも外。
「俺は大里がぞろぞろ取り巻き連れているのを見たことがあるが、あれは友達じゃないだろ?」
確かに友人なのかと問われたらうんとは言えないかも知れない。だが友人くらい自分にもいると言いたかった。
「理由があってあえてそうしているんだろうなとは思うが、本当によく遊ぶ友人がいるなら俺と友達になりたいなんて言わないはずだ」
「それは……」
瀬戸は聖の痛いところを的確に突いてくる。
「ま、俺も似たようなもんだけどな。二個上の先輩たち以外とは仲良くないし」
瀬戸は”痛いこと言って悪い”とでも言うように、自分よりずっと背の高い聖の頭をポンポンと撫でた。
「瀬戸先輩はなぜ友達がいないんですか?」
「ゲームばかりやっていたらいつの間にかそうなってた」
「引きこもり?」
「学校にはちゃんと行ってる」
「ヲタク?」
「どうかな……俺はAGというゲーム内で兄を捜しているんだ」
別にゲームが好きなわけではないと彼は言う。
「お兄さんを?」
「四年前に失踪したんだ」
じっと前を見つめる彼の瞳はきっと過去を映しているに違いない。
「兄弟仲は普通に良かったと思ってる。事件に巻き込まれた可能性も否定はできないが」
”父の態度から、自分の意思でいなくなった可能性が高い”と。
「憶測に過ぎないけどさ。父は教えてくれないんだ。何があったのか」
「それ、俺も手伝っちゃ駄目ですか?」
聖の言葉に驚いたようにこちらに表を向ける瀬戸。
「現実世界でも仮想世界でも。俺が力になります」
「あ……いや、嬉しいけど。お前さ、ゲーム苦手じゃなかった? 確か久隆がそう言っていたような気がする」
「手で操作するものは苦手です。でもそのゲームは意識を飛ばすんでしょう?」
「そうだが……」
心配そうにこちらを見つめる瀬戸を聖はなんとか説き伏せたのだった。
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