R18【同性恋愛】究極純愛♡僕日if 2＊First love『狂気なような愛で君を』

２──解かれていく真実

♡５『瀬戸と咲夜と妹』

　＊＊＊＊♡Side・咲夜

「また囲まれてたんですね」
　咲夜はため息をつきながら、去って行く人物たちを眺めていた。
「また、ね」
　瀬戸が囲まれているのは毎度のことだ。その美貌なら仕方ないとは思うが、彼は喧嘩も強い。ツンとした態度も堪らないらしく、ゲーム内でもリアルでも求愛ばかりされている。
「なあ、そんな事より飯行かない？」
　彼にとってモテることはどうでもいいようだ。
「奢ってくれるんですか」
　と咲夜。
　久隆は、困った顔をして彼を見ている。瀬戸が久隆に好意を寄せていることは、なんとなく気づいていた。
　で無ければ接点など見つけ出すのが難しいほどに、美人で無口で学区外。

「もちろん。駅前行こう」
　久隆はどう断っていいのか分からないという風で、そっと咲夜の手を握った。
　咲夜は彼の後に続きながら、
「何か、用事があったんじゃ？」
　と、問う。
　しかし、
「ただ、逢いたかっただけ」
　と言われ、困ってしまった。
　直球で言われてしまっては無理もないだろう。

　実は瀬戸と咲夜は不思議な縁で繋がっている。
　自分には今年七歳になる妹がいた。過去形なのは、母の離婚により離別したからだ。咲夜は五歳の時に実の父を交通事故でなくしており、妹とはだいぶ歳の離れた兄弟である。母は父の死後一度再婚し離婚していた。
　しかし、妹はその人の子供でないことを知る。

　誰が父親か分からないが妹は妹。兄弟はとても仲が良く、懐いてくれる妹を咲夜も溺愛していた。中学に上がる前、母は会社の社長と再婚。しかしそれも、ある事件により短い婚姻生活で終わってしまう。それが咲夜が中学二年の時であった。
　咲夜はその後、血の繋がらない父に引き取られ一人暮らしを余儀なくされる。咲夜の面倒を見るために初老の夫婦がマンションの隣に暮らしていたが、それが亡き実の父の両親であるという事を知ったのは高校に上がる前。

　そして、瀬戸から聞かされた衝撃の事実。
　彼の兄は四年前から行方をくらましているが、その兄が咲夜の妹の父の可能性が浮上したのだ。それが事実であるならば、瀬戸は恋のライバルであり、親戚という事になる。とても複雑な心境だ。
　妹とは昨年AGというゲーム内で再会した。そのゲームは小学六年生からしか登録できないものであったが、兄に逢いたいという気持ちを理解した新しい父が、彼女の為にアカウントを作ってくれたらしい。
　妹は年齢、見た目を大きく偽り、天才プレイヤーとして有名になった。色んな因果や運命が重なり再会に至ったのだ。妹の新しい父はとても理解があり、咲夜と妹がリアルで合う事も許してくれたのだった。