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18──自分を取り巻く環境【実弟】
1 そのままでいいよ
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「あれ? 兄さん、帰ってたんだ」
「おかえり」
和宏よりも自分が先に帰宅したと思っていた優人はドアを開け、明かりがついていることに驚く。そこへ脱衣所から出た兄と出くした。
「言ってくれたらもっと早く帰ったのに」
靴をに脱ぎながら優人がそう零すと、
「俺も今帰ったところだから」
と和宏。
”そっか”と言って兄に近づくとちゅっと軽く口づけを交わす。
「風呂、入っちゃえよ」
と言われ、
「一緒に入りたかった」
と返せば、
「俺はお前と違って、理性が持たないよ」
と笑われる。
「え、何。俺見て興奮するの?」
「え? するだろ?」
”何言ってんだ、お前”と言うような視線を向けられ優人は困った。
「うーん?」
ペラっとシャツをまくり腹を見せれば、
「何処で鍛えてんの、それ」
と優人の腹に触れる兄の手。
「夜の営みで」
「何言ってんだよ」
頬を赤らめる兄が可愛い。
「多少腹筋くらいはしているけど、これと言って何もしてない」
”無駄に肉がついてない男なら誰でも割れてるでしょ”と言えば嫌な顔をされた。
”俺も何かしようかな……”と呟きながら胸から腹にかけて手のひらで撫でおろす彼。男性としては身長が高い方とは言えない華奢な兄を見つめ、筋肉隆々でセクシーなのは欧米人だけだよと思った。
それなりに身長があって綺麗に筋肉がつくからセクシャルに感じるのだ。それにあの造形は日本人には真似できないだろう。
お世辞にも日本人顔には似合わないスタイルだ。せいぜい細マッチョくらいがちょうどいい。
「兄さんはそのままでいいよ。無駄な肉がついているというわけでもないし」
「でも」
「ガチガチになって抱き心地悪くなったら嫌だしさ」
「なっ……」
優人の性的な意味合いに頬を染める彼の腰を引き寄せて首筋に口づければ、ボディソープのいい匂いがした。
「そうは言っても。ふ、不健康はよくないだろ」
「そうだね。兄さんにはいつまでも元気でいて欲しいし」
同意を示せばぎゅっと抱き着かれる。
「ウオーキングでもしようかな。朝、三十分くらい日の光に当たりながらウオーキングするの良いらしいし」
「いいね。俺もつき合うよ」
兄は分類的には仕事のスタイルはデスクワーク。座ってばかりは身体によくないと言う。それは名案だと思った。
「ホント?」
「うん。兄さんを一人にするのは危険だし」
「遠江さんだってそんなに暇じゃないと思うけど」
誰が自分にとって危険なのか理解している兄は、そう言って眉を寄せる。
「あの人は暇人だと思うよ? わざわざ喫茶店まで来て兄さん宛ての書籍を俺に預けていくくらいだから」
マンションまで来て留守だったから優人たちが良く行く喫茶店を覗いてみたのだろう。ポストに入れていくこともできるはずなのに。
「暇と言うより、優人の点数稼ぎたいのかもね」
”よく分かっていらっしゃる”と思ったが、
「マイナス五万点くらいだからゼロになるまで生きてられるか怪しいけどね」
「そんな低いの」
”一回の点数どれくらい?”と続けて質問する兄。
「一回の点数は0.01点くらいかな」
「それは大変だね」
兄は”優人は面白いね”と笑う。この穏やかな日常が続けば良いと思った。
兄にまた後でと告げ風呂に向かった優人。
風呂から出てリビングへ向かうと兄がソファーの上で膝を抱え、TVモニターを見つめていた。どうやら借りてきた映画を観ているらしい。
「面白い?」
「うん、まあまあかな現時点では」
「ふうん」
優人は冷蔵庫向かいアイスティーを取り出すと、二つのグラスに注ぎながらTVモニターに視線を向ける。
「使われている曲は悪くないよ」
「なんでそんな良くも悪くもないもの観てるの」
「まあ、仕事だから」
和宏は毎月、遠江から報酬として多額の金を受け取っている。その為、仕事は世間体と言っても過言ではない。
現在は以前いた雑誌社の担当の求めるものを寄稿している。大した額にはならないと言ってはいたが、それでも仕事をしているのといないのでは気分的にも違うのだろう。
優人は一緒に観ようよと兄に誘われ、微妙な映画を素直に隣で観ることにしたのだった。
「おかえり」
和宏よりも自分が先に帰宅したと思っていた優人はドアを開け、明かりがついていることに驚く。そこへ脱衣所から出た兄と出くした。
「言ってくれたらもっと早く帰ったのに」
靴をに脱ぎながら優人がそう零すと、
「俺も今帰ったところだから」
と和宏。
”そっか”と言って兄に近づくとちゅっと軽く口づけを交わす。
「風呂、入っちゃえよ」
と言われ、
「一緒に入りたかった」
と返せば、
「俺はお前と違って、理性が持たないよ」
と笑われる。
「え、何。俺見て興奮するの?」
「え? するだろ?」
”何言ってんだ、お前”と言うような視線を向けられ優人は困った。
「うーん?」
ペラっとシャツをまくり腹を見せれば、
「何処で鍛えてんの、それ」
と優人の腹に触れる兄の手。
「夜の営みで」
「何言ってんだよ」
頬を赤らめる兄が可愛い。
「多少腹筋くらいはしているけど、これと言って何もしてない」
”無駄に肉がついてない男なら誰でも割れてるでしょ”と言えば嫌な顔をされた。
”俺も何かしようかな……”と呟きながら胸から腹にかけて手のひらで撫でおろす彼。男性としては身長が高い方とは言えない華奢な兄を見つめ、筋肉隆々でセクシーなのは欧米人だけだよと思った。
それなりに身長があって綺麗に筋肉がつくからセクシャルに感じるのだ。それにあの造形は日本人には真似できないだろう。
お世辞にも日本人顔には似合わないスタイルだ。せいぜい細マッチョくらいがちょうどいい。
「兄さんはそのままでいいよ。無駄な肉がついているというわけでもないし」
「でも」
「ガチガチになって抱き心地悪くなったら嫌だしさ」
「なっ……」
優人の性的な意味合いに頬を染める彼の腰を引き寄せて首筋に口づければ、ボディソープのいい匂いがした。
「そうは言っても。ふ、不健康はよくないだろ」
「そうだね。兄さんにはいつまでも元気でいて欲しいし」
同意を示せばぎゅっと抱き着かれる。
「ウオーキングでもしようかな。朝、三十分くらい日の光に当たりながらウオーキングするの良いらしいし」
「いいね。俺もつき合うよ」
兄は分類的には仕事のスタイルはデスクワーク。座ってばかりは身体によくないと言う。それは名案だと思った。
「ホント?」
「うん。兄さんを一人にするのは危険だし」
「遠江さんだってそんなに暇じゃないと思うけど」
誰が自分にとって危険なのか理解している兄は、そう言って眉を寄せる。
「あの人は暇人だと思うよ? わざわざ喫茶店まで来て兄さん宛ての書籍を俺に預けていくくらいだから」
マンションまで来て留守だったから優人たちが良く行く喫茶店を覗いてみたのだろう。ポストに入れていくこともできるはずなのに。
「暇と言うより、優人の点数稼ぎたいのかもね」
”よく分かっていらっしゃる”と思ったが、
「マイナス五万点くらいだからゼロになるまで生きてられるか怪しいけどね」
「そんな低いの」
”一回の点数どれくらい?”と続けて質問する兄。
「一回の点数は0.01点くらいかな」
「それは大変だね」
兄は”優人は面白いね”と笑う。この穏やかな日常が続けば良いと思った。
兄にまた後でと告げ風呂に向かった優人。
風呂から出てリビングへ向かうと兄がソファーの上で膝を抱え、TVモニターを見つめていた。どうやら借りてきた映画を観ているらしい。
「面白い?」
「うん、まあまあかな現時点では」
「ふうん」
優人は冷蔵庫向かいアイスティーを取り出すと、二つのグラスに注ぎながらTVモニターに視線を向ける。
「使われている曲は悪くないよ」
「なんでそんな良くも悪くもないもの観てるの」
「まあ、仕事だから」
和宏は毎月、遠江から報酬として多額の金を受け取っている。その為、仕事は世間体と言っても過言ではない。
現在は以前いた雑誌社の担当の求めるものを寄稿している。大した額にはならないと言ってはいたが、それでも仕事をしているのといないのでは気分的にも違うのだろう。
優人は一緒に観ようよと兄に誘われ、微妙な映画を素直に隣で観ることにしたのだった。
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