30 / 52
━1章【HAPPY ENDには程遠い】━
11.5 失わないようにと
しおりを挟む
****♡side・鶴城
鶴城はベッドに横たわる美崎に手を延ばした。
寝息を立てる、愛しい彼の衣服に。
──昼間あんなにしたのに。
どうして自分はこんなにも、優也が欲しくてたまらないのか。
脱がせてしまいたい。
鶴城は気が変になりそうだった。
明日は荷造りを終わらせ、荷物を運んでもらう。いよいよ同棲だ。後少し。
美崎の左の手を見つめる。そこにあるのは束縛の証であった。いまだに自分が何を恐れているのか定かではない。とてもじゃないが、美崎が浮気するとは考えられないのに。
では何故、こんなに独占欲を掻き立てられるのか?
やはり白石の存在か。彼女は強引ではないが、一途だ。そして美崎を理解してあげられなかった鶴城を蔑んでいる。
「うぅん……」
髪を撫でていると美崎は寝返りをうち、薄目をあける。
「ま……こと?まだ、寝ないのか?」
鶴城はなにも言わずに、ベッドに潜り込むと美崎を胸に抱き締めた。
「どうした?」
美崎の寝ぼけた声。
──愛しい。
俺の優也。
「眠れない?」
「優也、俺のこと好き?」
ぎゅっと抱き締めて鶴城は問いかける。
「うん」
確かな温もりがここにあり、胸が締め付けられてゆくようだ。
「大好きだよ。慎」
「!」
驚く鶴城に、すやすやと寝息をたてる彼。
「優也、愛してるよ」
鶴城は切なく呟き、美崎の温もりを感じていた。
決して、失わないようにと。
鶴城はベッドに横たわる美崎に手を延ばした。
寝息を立てる、愛しい彼の衣服に。
──昼間あんなにしたのに。
どうして自分はこんなにも、優也が欲しくてたまらないのか。
脱がせてしまいたい。
鶴城は気が変になりそうだった。
明日は荷造りを終わらせ、荷物を運んでもらう。いよいよ同棲だ。後少し。
美崎の左の手を見つめる。そこにあるのは束縛の証であった。いまだに自分が何を恐れているのか定かではない。とてもじゃないが、美崎が浮気するとは考えられないのに。
では何故、こんなに独占欲を掻き立てられるのか?
やはり白石の存在か。彼女は強引ではないが、一途だ。そして美崎を理解してあげられなかった鶴城を蔑んでいる。
「うぅん……」
髪を撫でていると美崎は寝返りをうち、薄目をあける。
「ま……こと?まだ、寝ないのか?」
鶴城はなにも言わずに、ベッドに潜り込むと美崎を胸に抱き締めた。
「どうした?」
美崎の寝ぼけた声。
──愛しい。
俺の優也。
「眠れない?」
「優也、俺のこと好き?」
ぎゅっと抱き締めて鶴城は問いかける。
「うん」
確かな温もりがここにあり、胸が締め付けられてゆくようだ。
「大好きだよ。慎」
「!」
驚く鶴城に、すやすやと寝息をたてる彼。
「優也、愛してるよ」
鶴城は切なく呟き、美崎の温もりを感じていた。
決して、失わないようにと。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
執着攻めと平凡受けの短編集
松本いさ
BL
執着攻めが平凡受けに執着し溺愛する、似たり寄ったりな話ばかり。
疲れたときに、さくっと読める安心安全のハッピーエンド設計です。
基本的に一話完結で、しばらくは毎週金曜の夜または土曜の朝に更新を予定しています(全20作)
エリート上司に完全に落とされるまで
琴音
BL
大手食品会社営業の楠木 智也(26)はある日会社の上司一ノ瀬 和樹(34)に告白されて付き合うことになった。
彼は会社ではよくわかんない、掴みどころのない不思議な人だった。スペックは申し分なく有能。いつもニコニコしててチームの空気はいい。俺はそんな彼が分からなくて距離を置いていたんだ。まあ、俺は問題児と会社では思われてるから、変にみんなと仲良くなりたいとも思ってはいなかった。その事情は一ノ瀬は知っている。なのに告白してくるとはいい度胸だと思う。
そんな彼と俺は上手くやれるのか不安の中スタート。俺は彼との付き合いの中で苦悩し、愛されて溺れていったんだ。
社会人同士の年の差カップルのお話です。智也は優柔不断で行き当たりばったり。自分の心すらよくわかってない。そんな智也を和樹は溺愛する。自分の男の本能をくすぐる智也が愛しくて堪らなくて、自分を知って欲しいが先行し過ぎていた。結果智也が不安に思っていることを見落とし、智也去ってしまう結果に。この後和樹は智也を取り戻せるのか。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる