10 / 52
━1章【HAPPY ENDには程遠い】━
4.5 がっかり
しおりを挟む
****♡side・鶴城
一緒に風呂に入りたいと言ったら拒否された。
「はぁ」
美崎が大崎 圭一と連絡を取ったことを知ってから、鶴城は気が気ではない。彼が圭一とどうこうなるとは思ってはいないが、不安を感じていた。
鶴城は美崎が年上受けが良いことを思い出す。彼が大学に行ったら、周りは年上ばかりなんだよなと改めて思う。
「ん?!」
その時、テーブルの上に置かれたスマホが震えた。
「げ、大崎先輩?」
なんだか嫌な予感しかしない。
鶴城は眉を寄せ、電話に出た。
『よう、鶴城』
「お久しぶりです」
怒られる。何故か鶴城はそう感じた。これは感覚的なもので、理由の説明は難しい。
『美崎に聞いたぞ?』
案の定、説教をされる。しかし内容は想像と少し違っていて、拍子抜けした。
『お前なぁ、レイプは犯罪だぞ? ちゃんと合意の上でやれよ』
怒られたのはそれだけだった。
それよりも……
『やっと前に進めたんだな』
と、自分のことのように喜んでくれたのである。
圭一自身ずっと引きずっている相手がいて、鶴城のことは高校在学中いつも心配してくれていた。
「先輩、どうしたら美崎とつき合えるんすかね」
『本気で好きなのか?』
そう聞くのは、鶴城の態度が以前好きだった相手へとはとはまったく違うせいなのだと感じて。
「本気です。凄い好きで……。来年のこと考えると不安で頭おかしくなりそうなんです」
こんなにも美崎を求めてしまうのは、”好き”だとしか思えないし他にいいようが無い。
『大丈夫だよ、貫け』
圭一は言葉は少ないが余計なことを言わない分、安心できた。
『諦めるから届かない、美崎を安心させてやれ』
自分自身の体験談なのだろうか? 圭一はまるで自分自身に言い聞かせるかのような声のトーンでそう言った。
彼の初恋は長い。
八つの時に一目ぼれをした相手を未だに思い続けている。もう十年も。
相手は年上で可愛い人なんだと言っていたのを思い出す。一度一緒にいるところを見かけたことがあるが、可愛いというよりは美人であった。
『性格が可愛いのかな?』
と思ったほど。
『鶴城』
「はい?」
『美崎、可愛いよな』
「え?」
『いや、なんでもない』
圭一は在学中、やたら美崎を贔屓し友人とバトルしていたことを思い出す。しかも一方的に。確かその相手とは大学も一緒だ。
「古川先輩、元気ですか?」
ふと、その先輩のことが気になる。
自分が一年の時、古川は生徒会長だったが圭一の理不尽な態度にもまったく動じない人。
『古川に気があるのか? アイツはダメだぞ』
何故か凄く嫌そうに言う。二人は親友というが圭一が溺愛している弟が古川に懐いたことが気に入らないらしく、しょっちゅう遣り合っていたのである。
「いや、そんなんじゃ」
『あの野郎、誰にでも愛想を振りまきやがって』
「そんなんじゃないと思いますが。というか、親友なんですよね?」
『そのようだ』
圭一が忌々しいというように返事をするので、鶴城は思わず吹いた。
──古川先輩、お気の毒。
一緒に風呂に入りたいと言ったら拒否された。
「はぁ」
美崎が大崎 圭一と連絡を取ったことを知ってから、鶴城は気が気ではない。彼が圭一とどうこうなるとは思ってはいないが、不安を感じていた。
鶴城は美崎が年上受けが良いことを思い出す。彼が大学に行ったら、周りは年上ばかりなんだよなと改めて思う。
「ん?!」
その時、テーブルの上に置かれたスマホが震えた。
「げ、大崎先輩?」
なんだか嫌な予感しかしない。
鶴城は眉を寄せ、電話に出た。
『よう、鶴城』
「お久しぶりです」
怒られる。何故か鶴城はそう感じた。これは感覚的なもので、理由の説明は難しい。
『美崎に聞いたぞ?』
案の定、説教をされる。しかし内容は想像と少し違っていて、拍子抜けした。
『お前なぁ、レイプは犯罪だぞ? ちゃんと合意の上でやれよ』
怒られたのはそれだけだった。
それよりも……
『やっと前に進めたんだな』
と、自分のことのように喜んでくれたのである。
圭一自身ずっと引きずっている相手がいて、鶴城のことは高校在学中いつも心配してくれていた。
「先輩、どうしたら美崎とつき合えるんすかね」
『本気で好きなのか?』
そう聞くのは、鶴城の態度が以前好きだった相手へとはとはまったく違うせいなのだと感じて。
「本気です。凄い好きで……。来年のこと考えると不安で頭おかしくなりそうなんです」
こんなにも美崎を求めてしまうのは、”好き”だとしか思えないし他にいいようが無い。
『大丈夫だよ、貫け』
圭一は言葉は少ないが余計なことを言わない分、安心できた。
『諦めるから届かない、美崎を安心させてやれ』
自分自身の体験談なのだろうか? 圭一はまるで自分自身に言い聞かせるかのような声のトーンでそう言った。
彼の初恋は長い。
八つの時に一目ぼれをした相手を未だに思い続けている。もう十年も。
相手は年上で可愛い人なんだと言っていたのを思い出す。一度一緒にいるところを見かけたことがあるが、可愛いというよりは美人であった。
『性格が可愛いのかな?』
と思ったほど。
『鶴城』
「はい?」
『美崎、可愛いよな』
「え?」
『いや、なんでもない』
圭一は在学中、やたら美崎を贔屓し友人とバトルしていたことを思い出す。しかも一方的に。確かその相手とは大学も一緒だ。
「古川先輩、元気ですか?」
ふと、その先輩のことが気になる。
自分が一年の時、古川は生徒会長だったが圭一の理不尽な態度にもまったく動じない人。
『古川に気があるのか? アイツはダメだぞ』
何故か凄く嫌そうに言う。二人は親友というが圭一が溺愛している弟が古川に懐いたことが気に入らないらしく、しょっちゅう遣り合っていたのである。
「いや、そんなんじゃ」
『あの野郎、誰にでも愛想を振りまきやがって』
「そんなんじゃないと思いますが。というか、親友なんですよね?」
『そのようだ』
圭一が忌々しいというように返事をするので、鶴城は思わず吹いた。
──古川先輩、お気の毒。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
狂愛的ロマンス〜孤高の若頭の狂気めいた執着愛〜
羽村美海
恋愛
古式ゆかしき華道の家元のお嬢様である美桜は、ある事情から、家をもりたてる駒となれるよう厳しく育てられてきた。
とうとうその日を迎え、見合いのため格式高い高級料亭の一室に赴いていた美桜は貞操の危機に見舞われる。
そこに現れた男により救われた美桜だったが、それがきっかけで思いがけない展開にーー
住む世界が違い、交わることのなかったはずの尊の不器用な優しさに触れ惹かれていく美桜の行き着く先は……?
✦・━・✦・━・✦・━・✦・━・✦・━・✦・━・✦
✧天澤美桜•20歳✧
古式ゆかしき華道の家元の世間知らずな鳥籠のお嬢様
✧九條 尊•30歳✧
誰もが知るIT企業の経営者だが、実は裏社会の皇帝として畏れられている日本最大の極道組織泣く子も黙る極心会の若頭
✦・━・✦・━・✦・━・✦・━・✦・━・✦・━・✦
*西雲ササメ様より素敵な表紙をご提供頂きました✨
※TL小説です。設定上強引な展開もあるので閲覧にはご注意ください。
※設定や登場する人物、団体、グループの名称等全てフィクションです。
※随時概要含め本文の改稿や修正等をしています。
✧
✧連載期間22.4.29〜22.7.7 ✧
✧22.3.14 エブリスタ様にて先行公開✧
【第15回らぶドロップス恋愛小説コンテスト一次選考通過作品です。コンテストの結果が出たので再公開しました。※エブリスタ様限定でヤス視点のSS公開中】
年上の恋人は優しい上司
木野葉ゆる
BL
小さな賃貸専門の不動産屋さんに勤める俺の恋人は、年上で優しい上司。
仕事のこととか、日常のこととか、デートのこととか、日記代わりに綴るSS連作。
基本は受け視点(一人称)です。
一日一花BL企画 参加作品も含まれています。
表紙は松下リサ様(@risa_m1012)に描いて頂きました!!ありがとうございます!!!!
完結済みにいたしました。
6月13日、同人誌を発売しました。
いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜
きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員
Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。
そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。
初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。
甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。
第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。
※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり)
※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り
初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる