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────6話*狂いだした歯車と動き出す運命
2・塩田に執着する人々【微R】
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****♡Side・板井(同僚)
板井は浅く息をする唯野の肌を、手のひらでゆっくりと撫であげた。
彼は、奥を締め付けながら身を捩る。
「はあ……ッ」
初めてだと言っていたのに、板井はなかなか解放してあげられなかった。
「辛くないですか?」
股を両手で左右に大きく開き、ずいっと身を進めながら板井は唯野に問う。
「へい……きだ。好きにしていいから……もっと」
潤んだ瞳でこちらを見つめる彼。
何を思っているのだろうと、その瞳を覗き込む板井。
「どう……し」
彼が想うのはやはり塩田なのだろうか?
板井はその瞳を見つめて、少し不安になった。
──修二さんが見ているのは俺なのだろうか?
仮にまだ塩田のことを思っていたとしても。
いや。こんなこと考えてはいけない。
全て俺にくれると言ったじゃないか。
貪るように彼に口づけ雑念を払おうとしたが、唯野の手が頬に触れハッとする。時々影の差す彼を前に、板井は葛藤し続けていた。
「板井」
唇を離すと、唯野が不安そうな声を漏らす。
「どうしてそんな顔するんだよ」
「修二さん……俺……」
たった一言で良い。
「好きって言って欲しいです」
板井の言葉に驚いた顔をする、彼。
じっと見つめて返事を待っていると、唯野はほんのり頬を染め、目を泳がせる。
──え?
そんな反応?
板井はその反応を意外に感じていた。
「板井、あのな」
「はい」
「何か誤解してるだろ」
「誤解……」
それは自分が唯野から好かれているということをだろうか?
なんだか自分が間違ったことをしているのではないかと更に不安になる。
しかし、
「好きじゃなかったら、こんなことしない」
「え?」
「お前さ。俺が……いや、いい。好きだよ、板井」
何かを言いかけてやめる唯野。それが何かとても気になった。
「俺は、板井に愛されたい。気が変になるほど」
今度はちゃんと板井の目を真っすぐ見て告げる彼。
板井は軽く唯野に口づけると、
「愛してますよ」
と返答した。
唯野の奥がきゅぅっと締まり、板井は困った表情を浮かべる。
「もっと、愛されたい」
「だからって、そんなに締め付けられたら……」
「お前が変なこと……いうから」
唯野はぎゅっと板井に抱き着き、
「俺にはお前しかいないんだよ」
と震える声で言う。
板井はその言葉の意味を測り兼ねた。彼の背中に腕を回し、優しくその背中を撫でる。
「ずっと気づかないフリしてきたのに」
板井は唯野を慕っていたから常に傍にいただけ。しかしそのことが彼に影響を与えていたこと知った。
「お前に呆れられたら、俺はどうしたらいい?」
彼が自分に縋っているのだと気づく。それは彼にとって見たくない現実であり、失えないものであったことを。
「ずっと甘えてきたよ。知られたくないことを隠して。お前だけは傍に居てくれるんじゃないかって思っていたから」
やがて彼の涙が板井の肩を濡らす。
「全部知られていることを知って、背筋が凍る想いがしたよ。お前に嫌われるのが怖かった」
唯野の吐露に板井の心は締め付けられた。
「お前は俺にとって特別な存在だよ。どうしてこんなに怖くてたまらないのか、お前には分かるんだろう?」
”全部分かってるくせに”と彼は言う。
分かっていてなお、自信がないのか? と言っているのだ。
「確かに塩田のことは好きだったし、自分のものにしたいと思ってた。けれども、なぜ電車も副社長も塩田に執着するのか板井には分かっているはずだ」
──塩田に惹かれ、執着するその本質。
それは塩田が他人に興味を示さないから。
彼に愛されることは、唯一無二と同等だと思えるから。
塩田に惹かれるのは、恋をしたことがなかった者たちばかり。空虚な愛に虚しさを感じ、自分の代わりなどいくらでもいるという恋愛しかしたことがなかった。
そして、唯野もその一人。
だから塩田に惹かれ、その愛を求める。
板井は浅く息をする唯野の肌を、手のひらでゆっくりと撫であげた。
彼は、奥を締め付けながら身を捩る。
「はあ……ッ」
初めてだと言っていたのに、板井はなかなか解放してあげられなかった。
「辛くないですか?」
股を両手で左右に大きく開き、ずいっと身を進めながら板井は唯野に問う。
「へい……きだ。好きにしていいから……もっと」
潤んだ瞳でこちらを見つめる彼。
何を思っているのだろうと、その瞳を覗き込む板井。
「どう……し」
彼が想うのはやはり塩田なのだろうか?
板井はその瞳を見つめて、少し不安になった。
──修二さんが見ているのは俺なのだろうか?
仮にまだ塩田のことを思っていたとしても。
いや。こんなこと考えてはいけない。
全て俺にくれると言ったじゃないか。
貪るように彼に口づけ雑念を払おうとしたが、唯野の手が頬に触れハッとする。時々影の差す彼を前に、板井は葛藤し続けていた。
「板井」
唇を離すと、唯野が不安そうな声を漏らす。
「どうしてそんな顔するんだよ」
「修二さん……俺……」
たった一言で良い。
「好きって言って欲しいです」
板井の言葉に驚いた顔をする、彼。
じっと見つめて返事を待っていると、唯野はほんのり頬を染め、目を泳がせる。
──え?
そんな反応?
板井はその反応を意外に感じていた。
「板井、あのな」
「はい」
「何か誤解してるだろ」
「誤解……」
それは自分が唯野から好かれているということをだろうか?
なんだか自分が間違ったことをしているのではないかと更に不安になる。
しかし、
「好きじゃなかったら、こんなことしない」
「え?」
「お前さ。俺が……いや、いい。好きだよ、板井」
何かを言いかけてやめる唯野。それが何かとても気になった。
「俺は、板井に愛されたい。気が変になるほど」
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板井は軽く唯野に口づけると、
「愛してますよ」
と返答した。
唯野の奥がきゅぅっと締まり、板井は困った表情を浮かべる。
「もっと、愛されたい」
「だからって、そんなに締め付けられたら……」
「お前が変なこと……いうから」
唯野はぎゅっと板井に抱き着き、
「俺にはお前しかいないんだよ」
と震える声で言う。
板井はその言葉の意味を測り兼ねた。彼の背中に腕を回し、優しくその背中を撫でる。
「ずっと気づかないフリしてきたのに」
板井は唯野を慕っていたから常に傍にいただけ。しかしそのことが彼に影響を与えていたこと知った。
「お前に呆れられたら、俺はどうしたらいい?」
彼が自分に縋っているのだと気づく。それは彼にとって見たくない現実であり、失えないものであったことを。
「ずっと甘えてきたよ。知られたくないことを隠して。お前だけは傍に居てくれるんじゃないかって思っていたから」
やがて彼の涙が板井の肩を濡らす。
「全部知られていることを知って、背筋が凍る想いがしたよ。お前に嫌われるのが怖かった」
唯野の吐露に板井の心は締め付けられた。
「お前は俺にとって特別な存在だよ。どうしてこんなに怖くてたまらないのか、お前には分かるんだろう?」
”全部分かってるくせに”と彼は言う。
分かっていてなお、自信がないのか? と言っているのだ。
「確かに塩田のことは好きだったし、自分のものにしたいと思ってた。けれども、なぜ電車も副社長も塩田に執着するのか板井には分かっているはずだ」
──塩田に惹かれ、執着するその本質。
それは塩田が他人に興味を示さないから。
彼に愛されることは、唯一無二と同等だと思えるから。
塩田に惹かれるのは、恋をしたことがなかった者たちばかり。空虚な愛に虚しさを感じ、自分の代わりなどいくらでもいるという恋愛しかしたことがなかった。
そして、唯野もその一人。
だから塩田に惹かれ、その愛を求める。
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