60 / 218
────2話*俺のものでしょ?
10・本当の目的はどこに
しおりを挟む
****♡Side・総括(黒岩)
「おま……」
固まっていた皇副社長がやっと言葉を発したと思ったら、どう見ても軽蔑の眼差し。覚悟はしていたが……。
──そういう目、向けられると傷つくんだよな。
俺が盗撮したとでも思っているんだろうか?
どんな言葉で罵倒されるんだろうかと肩を竦めていると、意外な言葉をかけられる。
「これ観て、そんなにしてるのか?」
眉を寄せ、彼は顎で黒岩の股間のほうを差す。どうやら彼、皇と黒岩が考えていることは全然違うようだ。
「悪いか?」
ここまで来たらごまかしても無駄だと判断し、正直に答える。
「これ、誰だかわかってるんだろ?」
「それは、まあ」
「変態!」
黒岩はそこでやっと、彼の軽蔑の意味を理解した。
「変態は俺じゃないだろ?」
「はあ?」
彼の手元からノートPCを取り上げると、テーブルの上に置く。彼は不服そうだ。
「社長とのいきさつは話したろ? 俺を変態扱いする気か?」
皇はとても不服そうにこちらを見つめている。
黒岩はそんな彼に疑問を抱いていた。
──皇は何故、これ自体には怒らない?
出所を聞こうとしないんだ?
社長との情事が収められたUSBについて彼は、何も言わない。そのことがとても引っ掛かっている。
「これ、社長が寄こしたんだが」
思い切って彼に聞いてみることにした。
「だろうな」
「だろうなって……」
「行為の最中、社長が録画してたし」
皇は当時のことを思い出しているのか、床に視線を落とす。
****♡Side・副社長(皇)
『君は君のままでいればいい。僕が守ってあげるから』
──あの人はベッドの上で囁くように優しい言葉をくれた。
『皇くんは頑張ってるよ。僕はちゃんと見てる』
──優しい言葉に溺れて、気づけばあの人に抱かれてた。
『君はいい子だよ』
父に認められたいと、がむしゃらに頑張ってきた自分。どこまで行っても満たされない自分を、あの人は芯から融かした。頑張れば報われるんだということを教えるために、頑張ったら頑張った分だけ色んなモノを与えてくれたのだ。その代償が、例えこれであっても。
──社長が何故、黒岩さんに行為の一部を見せようとしたのかはわからない。
皇は、社長が自分と身体の関係を持ったのは会社に留めておくためだと思っていた。会社の成長のために自分を駒として手元に置くためだと。
その証拠に、行為の一部始終を撮影したUSBは、身体の関係を続けるための道具として使われたことはない。皇が自ら退職を申し出た時に使われる材料なのだと思っていた。
──社長の考えていることがわからない。
しかしその答えは、すぐそこまで近づいていたのだ。黒岩という駒を動かし、ホントに欲しいものを手に入れるために。
「おま……」
固まっていた皇副社長がやっと言葉を発したと思ったら、どう見ても軽蔑の眼差し。覚悟はしていたが……。
──そういう目、向けられると傷つくんだよな。
俺が盗撮したとでも思っているんだろうか?
どんな言葉で罵倒されるんだろうかと肩を竦めていると、意外な言葉をかけられる。
「これ観て、そんなにしてるのか?」
眉を寄せ、彼は顎で黒岩の股間のほうを差す。どうやら彼、皇と黒岩が考えていることは全然違うようだ。
「悪いか?」
ここまで来たらごまかしても無駄だと判断し、正直に答える。
「これ、誰だかわかってるんだろ?」
「それは、まあ」
「変態!」
黒岩はそこでやっと、彼の軽蔑の意味を理解した。
「変態は俺じゃないだろ?」
「はあ?」
彼の手元からノートPCを取り上げると、テーブルの上に置く。彼は不服そうだ。
「社長とのいきさつは話したろ? 俺を変態扱いする気か?」
皇はとても不服そうにこちらを見つめている。
黒岩はそんな彼に疑問を抱いていた。
──皇は何故、これ自体には怒らない?
出所を聞こうとしないんだ?
社長との情事が収められたUSBについて彼は、何も言わない。そのことがとても引っ掛かっている。
「これ、社長が寄こしたんだが」
思い切って彼に聞いてみることにした。
「だろうな」
「だろうなって……」
「行為の最中、社長が録画してたし」
皇は当時のことを思い出しているのか、床に視線を落とす。
****♡Side・副社長(皇)
『君は君のままでいればいい。僕が守ってあげるから』
──あの人はベッドの上で囁くように優しい言葉をくれた。
『皇くんは頑張ってるよ。僕はちゃんと見てる』
──優しい言葉に溺れて、気づけばあの人に抱かれてた。
『君はいい子だよ』
父に認められたいと、がむしゃらに頑張ってきた自分。どこまで行っても満たされない自分を、あの人は芯から融かした。頑張れば報われるんだということを教えるために、頑張ったら頑張った分だけ色んなモノを与えてくれたのだ。その代償が、例えこれであっても。
──社長が何故、黒岩さんに行為の一部を見せようとしたのかはわからない。
皇は、社長が自分と身体の関係を持ったのは会社に留めておくためだと思っていた。会社の成長のために自分を駒として手元に置くためだと。
その証拠に、行為の一部始終を撮影したUSBは、身体の関係を続けるための道具として使われたことはない。皇が自ら退職を申し出た時に使われる材料なのだと思っていた。
──社長の考えていることがわからない。
しかしその答えは、すぐそこまで近づいていたのだ。黒岩という駒を動かし、ホントに欲しいものを手に入れるために。
0
お気に入りに追加
17
あなたにおすすめの小説
【完結】側妃は愛されるのをやめました
なか
恋愛
「君ではなく、彼女を正妃とする」
私は、貴方のためにこの国へと貢献してきた自負がある。
なのに……彼は。
「だが僕は、ラテシアを見捨てはしない。これから君には側妃になってもらうよ」
私のため。
そんな建前で……側妃へと下げる宣言をするのだ。
このような侮辱、恥を受けてなお……正妃を求めて抗議するか?
否。
そのような恥を晒す気は無い。
「承知いたしました。セリム陛下……私は側妃を受け入れます」
側妃を受けいれた私は、呼吸を挟まずに言葉を続ける。
今しがた決めた、たった一つの決意を込めて。
「ですが陛下。私はもう貴方を支える気はありません」
これから私は、『捨てられた妃』という汚名でなく、彼を『捨てた妃』となるために。
華々しく、私の人生を謳歌しよう。
全ては、廃妃となるために。
◇◇◇
設定はゆるめです。
読んでくださると嬉しいです!
転生幼女はお詫びチートで異世界ごーいんぐまいうぇい
高木コン
ファンタジー
第一巻が発売されました!
レンタル実装されました。
初めて読もうとしてくれている方、読み返そうとしてくれている方、大変お待たせ致しました。
書籍化にあたり、内容に一部齟齬が生じておりますことをご了承ください。
改題で〝で〟が取れたとお知らせしましたが、さらに改題となりました。
〝で〟は抜かれたまま、〝お詫びチートで〟と〝転生幼女は〟が入れ替わっております。
初期:【お詫びチートで転生幼女は異世界でごーいんぐまいうぇい】
↓
旧:【お詫びチートで転生幼女は異世界ごーいんぐまいうぇい】
↓
最新:【転生幼女はお詫びチートで異世界ごーいんぐまいうぇい】
読者の皆様、混乱させてしまい大変申し訳ありません。
✂︎- - - - - - - -キリトリ- - - - - - - - - - -
――神様達の見栄の張り合いに巻き込まれて異世界へ
どっちが仕事出来るとかどうでもいい!
お詫びにいっぱいチートを貰ってオタクの夢溢れる異世界で楽しむことに。
グータラ三十路干物女から幼女へ転生。
だが目覚めた時状況がおかしい!。
神に会ったなんて記憶はないし、場所は……「森!?」
記憶を取り戻しチート使いつつ権力は拒否!(希望)
過保護な周りに見守られ、お世話されたりしてあげたり……
自ら面倒事に突っ込んでいったり、巻き込まれたり、流されたりといろいろやらかしつつも我が道をひた走る!
異世界で好きに生きていいと神様達から言質ももらい、冒険者を楽しみながらごーいんぐまいうぇい!
____________________
1/6 hotに取り上げて頂きました!
ありがとうございます!
*お知らせは近況ボードにて。
*第一部完結済み。
異世界あるあるのよく有るチート物です。
携帯で書いていて、作者も携帯でヨコ読みで見ているため、改行など読みやすくするために頻繁に使っています。
逆に読みにくかったらごめんなさい。
ストーリーはゆっくりめです。
温かい目で見守っていただけると嬉しいです。
憧れの剣士とセフレになったけど俺は本気で恋してます!
藤間背骨
BL
若い傭兵・クエルチアは、凄腕の傭兵・ディヒトバイと戦って負け、その強さに憧れた。
クエルチアは戦場から姿を消したディヒトバイを探し続け、数年後に見つけた彼は闘技場の剣闘士になっていた。
初めてディヒトバイの素顔を見たクエルチアは一目惚れし、彼と戦うために剣闘士になる。
そして、勢いで体を重ねてしまう。
それ以来戦いのあとはディヒトバイと寝ることになったが、自分の気持ちを伝えるのが怖くて体だけの関係を続けていた。
このままでいいのかと悩むクエルチアは護衛の依頼を持ちかけられる。これを機にクエルチアは勇気を出してディヒトバイと想いを伝えようとするが――。
※2人の関係ではありませんが、近親相姦描写が含まれるため苦手な方はご注意ください。
※年下わんこ攻め×人生に疲れたおじさん受け
※毎日更新・午後8時投稿・全32話
あなたには、この程度のこと、だったのかもしれませんが。
ふまさ
恋愛
楽しみにしていた、パーティー。けれどその場は、信じられないほどに凍り付いていた。
でも。
愉快そうに声を上げて笑う者が、一人、いた。
公開凌辱される話まとめ
たみしげ
BL
BLすけべ小説です。
・性奴隷を飼う街
元敵兵を性奴隷として飼っている街の話です。
・玩具でアナルを焦らされる話
猫じゃらし型の玩具を開発済アナルに挿れられて啼かされる話です。
私の婚約者はお姉さまが好きなようです~私は国王陛下に愛でられました~
安奈
恋愛
「マリア、私との婚約はなかったことにしてくれ。私はお前の姉のユリカと婚約したのでな」
「マリア、そういうことだから。ごめんなさいね」
伯爵令嬢マリア・テオドアは婚約者のカンザス、姉のユリカの両方に裏切られた。突然の婚約破棄も含めて彼女は泣き崩れる。今後、屋敷でどんな顔をすればいいのかわからない……。
そこへ現れたのはなんと、王国の最高権力者であるヨハン・クラウド国王陛下であった。彼の救済を受け、マリアは元気づけられていく。そして、側室という話も出て来て……どうやらマリアの人生は幸せな方向へと進みそうだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる