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────2話*俺のものでしょ?
8・彼が陰謀に気づくとき
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****♡Side・副社長(皇)
『やめろッ……』
自分はきっと世間知らずだったんだ。
自分自身に言い聞かせ、あの日の記憶をずっと心の奥底にしまい込んできた。
『嫌だッ!』
『うわ、泣いてやんの。可愛いじゃん、皇』
『生意気だけど、顔は可愛いんだよな』
数人の先輩に連れ込まれた休憩室で、絶体絶命としか言いようのない状況。
社長に気に入られ入社したということ。態度が尊大なこと。それに加えてデキも良かったこと。
皇のなにもかもが、配属された営業部の先輩たちにとって気に入らなかったようだ。
『社長に気に入られてるなら、こういうこともしたことあるんだろ?』
『な……に?』
涙目で相手を見上げると、彼は少し驚いた顔をする。
『へえ、初めてなんだ』
『ひあッ……どこ触ってるんだよ』
皇は服の上から中心部を撫で上げられ、真っ赤になった。
──こんな屈辱的なことをされるなんて!
当時の皇は男どころかまだ、女も知らない。
『遊んでそうに見えて、意外と真面目なんだな』
ネクタイを引き抜かれ、これから行われることに身の毛がよだつ。父に認められることに必死だった皇は、性的なことには興味を持っていなかった。そんな自分を変えた出来事。
「大丈夫か? 顔色悪いぞ?」
総括に声をかけられ、皇は現実に引き戻される。
「大丈夫だ」
実際に皇に性的なことを教えたのは、彼らではなかった。
今まで誰にも話せなかったことをこの男に話せば弱みを握られることにはなるだろうが、少しは楽になるのかもしれない。
だがこの男は、皇の弱みを握ってどうこうしようとするようなヤツではないことくらい、自分が一番よく知っていた。
入社当時、先輩たちから嫌がらせされていた自分に普通に声をかけてくれたのも、この現総括の黒岩と苦情係の課長唯野なのだから。
「俺は別に社長と寝たから出世したわけじゃない」
思い切って言葉にすると、悔しさから涙が溢れた。
「お前……まさか」
****♡Side・総括(黒岩)
皇から入社当時に遭ったことを聞いた黒岩は青ざめる。
皇は部署の先輩たちに休憩室に連れ込まれ輪姦されそうになっていたいたところを、社長に助け出された。
しかしそれだけでは済まなかった。
結果、皇は社長のいいようにされたのだ。一度だけとはいうが、そこには陰謀の匂いがした。偶然ではない。社長は初めからそのつもりだったのだと思う。
『皇、このことは誰にも言わないから。安心しろ』
黒岩が調べてみると、皇に悪さをしようとしたやつらは全員、本社から左遷されていた。しかも栄転と言う名の左遷。
気になるのは社長の目的だ。もし皇の身体が目的だったなら、その後も脅して関係を迫ったはず。
どうやら皇に異例の昇進をさせたのも、口留めではないようだ。
「社長に直接聞くしかないのか……」
この選択が後の自分の運命を変えるとも思わずに。
『やめろッ……』
自分はきっと世間知らずだったんだ。
自分自身に言い聞かせ、あの日の記憶をずっと心の奥底にしまい込んできた。
『嫌だッ!』
『うわ、泣いてやんの。可愛いじゃん、皇』
『生意気だけど、顔は可愛いんだよな』
数人の先輩に連れ込まれた休憩室で、絶体絶命としか言いようのない状況。
社長に気に入られ入社したということ。態度が尊大なこと。それに加えてデキも良かったこと。
皇のなにもかもが、配属された営業部の先輩たちにとって気に入らなかったようだ。
『社長に気に入られてるなら、こういうこともしたことあるんだろ?』
『な……に?』
涙目で相手を見上げると、彼は少し驚いた顔をする。
『へえ、初めてなんだ』
『ひあッ……どこ触ってるんだよ』
皇は服の上から中心部を撫で上げられ、真っ赤になった。
──こんな屈辱的なことをされるなんて!
当時の皇は男どころかまだ、女も知らない。
『遊んでそうに見えて、意外と真面目なんだな』
ネクタイを引き抜かれ、これから行われることに身の毛がよだつ。父に認められることに必死だった皇は、性的なことには興味を持っていなかった。そんな自分を変えた出来事。
「大丈夫か? 顔色悪いぞ?」
総括に声をかけられ、皇は現実に引き戻される。
「大丈夫だ」
実際に皇に性的なことを教えたのは、彼らではなかった。
今まで誰にも話せなかったことをこの男に話せば弱みを握られることにはなるだろうが、少しは楽になるのかもしれない。
だがこの男は、皇の弱みを握ってどうこうしようとするようなヤツではないことくらい、自分が一番よく知っていた。
入社当時、先輩たちから嫌がらせされていた自分に普通に声をかけてくれたのも、この現総括の黒岩と苦情係の課長唯野なのだから。
「俺は別に社長と寝たから出世したわけじゃない」
思い切って言葉にすると、悔しさから涙が溢れた。
「お前……まさか」
****♡Side・総括(黒岩)
皇から入社当時に遭ったことを聞いた黒岩は青ざめる。
皇は部署の先輩たちに休憩室に連れ込まれ輪姦されそうになっていたいたところを、社長に助け出された。
しかしそれだけでは済まなかった。
結果、皇は社長のいいようにされたのだ。一度だけとはいうが、そこには陰謀の匂いがした。偶然ではない。社長は初めからそのつもりだったのだと思う。
『皇、このことは誰にも言わないから。安心しろ』
黒岩が調べてみると、皇に悪さをしようとしたやつらは全員、本社から左遷されていた。しかも栄転と言う名の左遷。
気になるのは社長の目的だ。もし皇の身体が目的だったなら、その後も脅して関係を迫ったはず。
どうやら皇に異例の昇進をさせたのも、口留めではないようだ。
「社長に直接聞くしかないのか……」
この選択が後の自分の運命を変えるとも思わずに。
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