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────2章【久隆と葵】
□7「浴衣と君」
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****♡Side・咲夜
咲夜は”今日は自分が久隆を慰めてあげるんだ”という可愛らしい想いを胸に、久隆の自室のリビングから寝室に続くドアを叩いた。あえてノックしたのは、ドアがぴたりと閉まっているからでも、今ここへ来たからでもなく、”着替えが終わったよ”という合図である。
皆で大崎邸へ帰宅し、久隆が先にシャワーをし終え、浴衣を取りに行っている間、咲夜は風呂を使った。大好きな久隆を想いながら、念入りに身体を洗う。昼間は、葵が部屋に来たため中断された“愛を育む時間”を自分がどれ程、心待ちにしていたことか。帰りの車で、寂しそうな顔をしていた彼を想うと、胸が締め付けられる。
彼が自分達の中でどれほど大人びていようが、まだ同じ子供なんだと思わざるを得なかった。たまにしか会えない兄が、今日は大崎邸に泊まるのだと思って期待していたのに、帰ってしまうと知った時の彼の表情が忘れられない。風呂を上がれば浴衣が用意されていて、彼が喜ぶならばと、咲夜は袖に腕を通した。
「咲夜、着替えたの?見せて」
大好きな彼の声。咲夜の胸がきゅんとする。あの声、あの髪、あの顔、彼の匂い。性格もスタイルも紡がれる言葉も、全て好きだ。
「早く、おいでよ」
ドアを遠慮気味に引くと、彼はにっこり微笑んで両腕を広げる。
「へへッ」
と照れ笑いをし、ベッドに腰かける彼に、咲夜がむぎゅッと抱きつけば、可愛いと腰を引き寄せられた。
「明日、早く帰って来てね?」
「うん」
「逐一報告してね?」
「うん」
独占したくてワガママを言っても久隆はただ、うんと返すだけ。
「久隆ッ」
「なあに?甘えん坊さん」
もっともっと構って欲しくてちょっぴりムッとすると、そんな言葉が返ってくる。
「やッ..」
いきなり尻を撫でる久隆に、そんなとこからじゃ嫌だと言おうとしたら、彼は立ったままの咲夜を見上げ、妙な表情を浮かべた。
尻に何かついてる?
お風呂で洗った時は、異常なかったけど。
エッチ出来なかったら泣く。
「何で、下着つけてんの?」
「えっ?」
彼は尻を撫でているわけではなく、浴衣の上から下着の線を確認していたらしい。
「咲夜は浴衣プレイの最大の萌えを理解していない 」
「萌え?」
いつからそんな変態染みたことを言うようになったんだと、咲夜は怪訝な顔をするも、彼は口に出さないだけで、そこそこ人並みに変態である。
「脱いで」
「え、ここで?」
彼の肩に両手を置き身を反らすと“久隆の目の前で?”と言い直す。
「当然」
と、彼。
いや、待って。
浴衣は裾を捲ると間から見えちゃうよね?
どうやって脱ぐ?
脱ぐ時、見えちゃう..。
いや、どのみち見えるけど恥ずかしい。
ど、どうしよう?
咲夜は困惑したのだった。
咲夜は”今日は自分が久隆を慰めてあげるんだ”という可愛らしい想いを胸に、久隆の自室のリビングから寝室に続くドアを叩いた。あえてノックしたのは、ドアがぴたりと閉まっているからでも、今ここへ来たからでもなく、”着替えが終わったよ”という合図である。
皆で大崎邸へ帰宅し、久隆が先にシャワーをし終え、浴衣を取りに行っている間、咲夜は風呂を使った。大好きな久隆を想いながら、念入りに身体を洗う。昼間は、葵が部屋に来たため中断された“愛を育む時間”を自分がどれ程、心待ちにしていたことか。帰りの車で、寂しそうな顔をしていた彼を想うと、胸が締め付けられる。
彼が自分達の中でどれほど大人びていようが、まだ同じ子供なんだと思わざるを得なかった。たまにしか会えない兄が、今日は大崎邸に泊まるのだと思って期待していたのに、帰ってしまうと知った時の彼の表情が忘れられない。風呂を上がれば浴衣が用意されていて、彼が喜ぶならばと、咲夜は袖に腕を通した。
「咲夜、着替えたの?見せて」
大好きな彼の声。咲夜の胸がきゅんとする。あの声、あの髪、あの顔、彼の匂い。性格もスタイルも紡がれる言葉も、全て好きだ。
「早く、おいでよ」
ドアを遠慮気味に引くと、彼はにっこり微笑んで両腕を広げる。
「へへッ」
と照れ笑いをし、ベッドに腰かける彼に、咲夜がむぎゅッと抱きつけば、可愛いと腰を引き寄せられた。
「明日、早く帰って来てね?」
「うん」
「逐一報告してね?」
「うん」
独占したくてワガママを言っても久隆はただ、うんと返すだけ。
「久隆ッ」
「なあに?甘えん坊さん」
もっともっと構って欲しくてちょっぴりムッとすると、そんな言葉が返ってくる。
「やッ..」
いきなり尻を撫でる久隆に、そんなとこからじゃ嫌だと言おうとしたら、彼は立ったままの咲夜を見上げ、妙な表情を浮かべた。
尻に何かついてる?
お風呂で洗った時は、異常なかったけど。
エッチ出来なかったら泣く。
「何で、下着つけてんの?」
「えっ?」
彼は尻を撫でているわけではなく、浴衣の上から下着の線を確認していたらしい。
「咲夜は浴衣プレイの最大の萌えを理解していない 」
「萌え?」
いつからそんな変態染みたことを言うようになったんだと、咲夜は怪訝な顔をするも、彼は口に出さないだけで、そこそこ人並みに変態である。
「脱いで」
「え、ここで?」
彼の肩に両手を置き身を反らすと“久隆の目の前で?”と言い直す。
「当然」
と、彼。
いや、待って。
浴衣は裾を捲ると間から見えちゃうよね?
どうやって脱ぐ?
脱ぐ時、見えちゃう..。
いや、どのみち見えるけど恥ずかしい。
ど、どうしよう?
咲夜は困惑したのだった。
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