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────6章『絆』
■2「愛しい人への提案」【微R】
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****♡Side・咲夜
「んんッ」
咲夜は久隆に甘いキスをされ、ぎゅっと彼に抱きついた。
「咲夜、可愛い」
優しく抱きしめてくれる腕。
その声、その姿。
その顔、その表情。
性格も全部好き。
久隆の全てが大好きッ。
「咲夜はなんでそんなに可愛いの?」
と彼はため息をつき、咲夜のうなじに口づける。
「そんなこと言うの、久隆だけだよ」
中性的な容姿の咲夜は、綺麗な子と形容されることはあったが、可愛いと言うのは彼だけだ。
可愛いだなんて。
久隆が可愛い子が好きだというのなら嬉しいけれど。
「何も準備がないから、舐めてあげるよ」
と彼に言われ、
「やッ」
咲夜は抱きつく腕に力を込める。
「うん?どうして?」
そんな咲夜に、彼は不思議そうに問う。
「キスいっぱい欲しい」
とおねだりをすると彼は、
「咲夜は、ほんともうッ」
可愛い、可愛いと言って、たくさんキスをくれた。
「じゃあ、手でしてあげるね」
「あッ..ん..」
咲夜は久隆に”汚れる”と言われ、下着ごとズボンを降ろされる。彼の指が咲夜自身に絡まると、
「久隆の手、大好きッ..あッ..はあッ..」
気持ちよさに声が漏れ、
「家帰ったらいっぱい愛してあげる」
「んんッ..久隆ッ」
咲夜は彼の、キスと愛撫に夢中になっていた。
「好きッ..んッ..久隆がっ」
「大好きだよ、咲夜」
**
「ねえ、久隆」
「うん?」
咲夜は後始末をしてくれている久隆に、自分の考えを話すことを決心し、話しかけた。
「俺は、葵と大里くんには話したほうが良いと思う」
過ちを繰り返してはいけないというのが咲夜の考えだった。
「え?」
「大里くんは前回、俺たちに黙って単独行動したことをすごく悔やんでいた。ねえ、俺たち仲間だよね?チームなんだよね?」
「咲夜..」
彼は咲夜の言葉に驚き、手を止める。
「俺が久隆にしたこと、二人は責めなかった。それどころか、葵は連帯責任とさえ言ったんだよ。これは二人じゃ解決できないよ、専門医に見てもらうべきだと思う」
久隆は黙って咲夜の話を聞きながら、再び手を動かし始めた。
「それが出来ないなら余計に、葵たちに助けを求めるべきだと思うんだ。久隆は信用してない?それとも、心配かけたくない?」
「後者かな」
「俺がもし二人の立場なら、頼って欲しいと思う。大里くんは、俺たちのために何かしたいと思って動いてくれたけれど、内緒にしたことが発端になってこうなってしまったと一番、後悔してる。」
「うん」
「彼にも、久隆の計画話すべきだよ。きっと力になってくれるよ、俺たちの」
「そうだね」
「だから、二人には言おう?俺が二人から何か言われることを心配しているのなら、平気だよ」
久隆がこうなってしまったこと、咲夜が久隆をこうしてしまったことで、葵と大里は自分に怒りをぶつけるかもしれない。二人にとって、久隆はとても大切な人だから。
「咲夜」
後始末を終えた久隆に、咲夜は抱きしめられる。
「咲夜は正しい。でも、もし」
「うん」
「世界中が俺たちの敵にまわってしまったら。俺と一緒に逃げてくれる?」
世界はそんなに厳しくはないと咲夜は思ったが、彼はずっと敵だらけのところにいたのだ。
「うん、世界の果てだって一緒にいくよ」
「俺はただ、咲夜と一緒にいたいだけなんだ」
「うん」
「この幸せを二度と誰にも奪われたくない」
「側にいるよ。久隆が嫌だと言っても離れないから」
咲夜がぎゅっと彼を抱きしめ返すと、
「安心した」
とやっと笑顔になる久隆に安心したのだった。
****
「おかえり」
久隆と手を繋いで席に戻ると、葵と大里が楽しそうに話をしていたのでホッとする。店に入ったばかりの時はまだ、どことなくぎこちなかったからだ。
「何話してたの?」
と久隆が二人に問いかけると、
「明日の花火大会、みんなで行かないか?って」
と大里から返答が帰ってくる。
「いいね」
「佐倉っちと和も誘わない?」
と、葵。
「楽しそう。みんなで浴衣着たいなー」
と咲夜が思わず口にすると、葵と久隆が顔を見合せ、
「咲夜、可愛い」
と、何故か二人は悶絶した。そんな二人に大里は肩を竦め、
「よし、じゃあ決定で」
と葵がニコニコしている。
「二人に話がある」
穏やかな空気になったところで、久隆が突如真面目な顔をし、先ほどのことを二人に打ち明けた。
**
「!」
「想定内」
驚く葵に、大里は冷静で。
「ホントに病院には行かないつもりなのか?久隆」
大里は長く一緒にいるだけあって、久隆の精神科の主治医のこともよく知っているようだ。
「親父に知られたくない」
「んー..とりあえず明日の昼間、みんなで図書館いこう。何か文献あるかもしれないし」
大里の提案に久隆が、少しだけ明るい顔になる。
「こういうのは、専門医に任せるべきだと思うけれど」
そういえばと、咲夜は思う。その間にも、久隆は自分たちの遂行している計画について大里に話始めた。
自分はいつの間に克服できたのだろうか?
義父から受けた強姦未遂。
久隆に初めて身体を開いた日は怖くて堪らなかったのに。
それなのに、今は久隆に求められるのが嬉しくて仕方がない。
未遂だったからなのだろうか?
「そうか、話してくれてありがとう。俺も協力するよ」
大里は、久隆の話を聞くと穏やかに微笑んだ。
「大里、そんなこと言って平気なの?」
と葵が口を挟む。
「まあ、あれだな。俺を仲間だと思ってくれることが嬉しい。片倉と霧島のことよく知らなかったうちは正直、恨んでたし、久隆を取り返したいと思ってた」
俺たちは初めて大里の本心を聞くこととなった。
「それが二人に近づいた初めの理由。でも、一緒に遊ぶうちに楽しいって思い始めてた」
葵は頬杖をつき、大里を見つめている。
「俺、今まで友達いなかったしさ。自分に近づく奴らは、なんらかの利益を求めてたし。彩都は違うけどな」
「黒川くん、いい子だよね」
久隆が相づちを打つ。
「二人と一緒にいるうちに、久隆の大切なその世界を守りたいって思い始めてた。だからパーティーの時、霧島が大変だって聞いて俺が一人でなんとかしなきゃって思った」
正直、咲夜は大里から敵意を向けられていることに気づいてはいた。しかし、あの日廊下で他の生徒から守ろうとしてくれたのを知り、彼が悪い人だとは思えなかったのだ。だからこそ、彼からの昼食の誘いを承諾したのだが。何故かあの時、誘った本人のほうが咲夜の反応に不思議そうな顔しており、そのことが印象に残った。
「みんなに話さず、一人で行動したからこういう結果になった。だから、久隆が辛いこと話してくれたのは嬉しい。片倉たちが仲間だと思ってくれることも」
「大里だけが悪いわけじゃない。当事者なのに、俺は何も知らなかった」
と葵が顔を歪め、
「これからは、一人で悩まないでみんなで解決してゆこうよ」
と続けた彼の提案にみな頷いた。
「よし、一旦帰ろ」
「あのさ」
立ち上がろうとした時、大里が切り出す。
「この間のオール楽しかった。また混ぜてよ」
その言葉に咲夜たち三人は顔を見合せ、
「もちろん!」
と三人は同時にそう大里に返事をする。綺麗にハモった事にみなで笑い合った。
「んんッ」
咲夜は久隆に甘いキスをされ、ぎゅっと彼に抱きついた。
「咲夜、可愛い」
優しく抱きしめてくれる腕。
その声、その姿。
その顔、その表情。
性格も全部好き。
久隆の全てが大好きッ。
「咲夜はなんでそんなに可愛いの?」
と彼はため息をつき、咲夜のうなじに口づける。
「そんなこと言うの、久隆だけだよ」
中性的な容姿の咲夜は、綺麗な子と形容されることはあったが、可愛いと言うのは彼だけだ。
可愛いだなんて。
久隆が可愛い子が好きだというのなら嬉しいけれど。
「何も準備がないから、舐めてあげるよ」
と彼に言われ、
「やッ」
咲夜は抱きつく腕に力を込める。
「うん?どうして?」
そんな咲夜に、彼は不思議そうに問う。
「キスいっぱい欲しい」
とおねだりをすると彼は、
「咲夜は、ほんともうッ」
可愛い、可愛いと言って、たくさんキスをくれた。
「じゃあ、手でしてあげるね」
「あッ..ん..」
咲夜は久隆に”汚れる”と言われ、下着ごとズボンを降ろされる。彼の指が咲夜自身に絡まると、
「久隆の手、大好きッ..あッ..はあッ..」
気持ちよさに声が漏れ、
「家帰ったらいっぱい愛してあげる」
「んんッ..久隆ッ」
咲夜は彼の、キスと愛撫に夢中になっていた。
「好きッ..んッ..久隆がっ」
「大好きだよ、咲夜」
**
「ねえ、久隆」
「うん?」
咲夜は後始末をしてくれている久隆に、自分の考えを話すことを決心し、話しかけた。
「俺は、葵と大里くんには話したほうが良いと思う」
過ちを繰り返してはいけないというのが咲夜の考えだった。
「え?」
「大里くんは前回、俺たちに黙って単独行動したことをすごく悔やんでいた。ねえ、俺たち仲間だよね?チームなんだよね?」
「咲夜..」
彼は咲夜の言葉に驚き、手を止める。
「俺が久隆にしたこと、二人は責めなかった。それどころか、葵は連帯責任とさえ言ったんだよ。これは二人じゃ解決できないよ、専門医に見てもらうべきだと思う」
久隆は黙って咲夜の話を聞きながら、再び手を動かし始めた。
「それが出来ないなら余計に、葵たちに助けを求めるべきだと思うんだ。久隆は信用してない?それとも、心配かけたくない?」
「後者かな」
「俺がもし二人の立場なら、頼って欲しいと思う。大里くんは、俺たちのために何かしたいと思って動いてくれたけれど、内緒にしたことが発端になってこうなってしまったと一番、後悔してる。」
「うん」
「彼にも、久隆の計画話すべきだよ。きっと力になってくれるよ、俺たちの」
「そうだね」
「だから、二人には言おう?俺が二人から何か言われることを心配しているのなら、平気だよ」
久隆がこうなってしまったこと、咲夜が久隆をこうしてしまったことで、葵と大里は自分に怒りをぶつけるかもしれない。二人にとって、久隆はとても大切な人だから。
「咲夜」
後始末を終えた久隆に、咲夜は抱きしめられる。
「咲夜は正しい。でも、もし」
「うん」
「世界中が俺たちの敵にまわってしまったら。俺と一緒に逃げてくれる?」
世界はそんなに厳しくはないと咲夜は思ったが、彼はずっと敵だらけのところにいたのだ。
「うん、世界の果てだって一緒にいくよ」
「俺はただ、咲夜と一緒にいたいだけなんだ」
「うん」
「この幸せを二度と誰にも奪われたくない」
「側にいるよ。久隆が嫌だと言っても離れないから」
咲夜がぎゅっと彼を抱きしめ返すと、
「安心した」
とやっと笑顔になる久隆に安心したのだった。
****
「おかえり」
久隆と手を繋いで席に戻ると、葵と大里が楽しそうに話をしていたのでホッとする。店に入ったばかりの時はまだ、どことなくぎこちなかったからだ。
「何話してたの?」
と久隆が二人に問いかけると、
「明日の花火大会、みんなで行かないか?って」
と大里から返答が帰ってくる。
「いいね」
「佐倉っちと和も誘わない?」
と、葵。
「楽しそう。みんなで浴衣着たいなー」
と咲夜が思わず口にすると、葵と久隆が顔を見合せ、
「咲夜、可愛い」
と、何故か二人は悶絶した。そんな二人に大里は肩を竦め、
「よし、じゃあ決定で」
と葵がニコニコしている。
「二人に話がある」
穏やかな空気になったところで、久隆が突如真面目な顔をし、先ほどのことを二人に打ち明けた。
**
「!」
「想定内」
驚く葵に、大里は冷静で。
「ホントに病院には行かないつもりなのか?久隆」
大里は長く一緒にいるだけあって、久隆の精神科の主治医のこともよく知っているようだ。
「親父に知られたくない」
「んー..とりあえず明日の昼間、みんなで図書館いこう。何か文献あるかもしれないし」
大里の提案に久隆が、少しだけ明るい顔になる。
「こういうのは、専門医に任せるべきだと思うけれど」
そういえばと、咲夜は思う。その間にも、久隆は自分たちの遂行している計画について大里に話始めた。
自分はいつの間に克服できたのだろうか?
義父から受けた強姦未遂。
久隆に初めて身体を開いた日は怖くて堪らなかったのに。
それなのに、今は久隆に求められるのが嬉しくて仕方がない。
未遂だったからなのだろうか?
「そうか、話してくれてありがとう。俺も協力するよ」
大里は、久隆の話を聞くと穏やかに微笑んだ。
「大里、そんなこと言って平気なの?」
と葵が口を挟む。
「まあ、あれだな。俺を仲間だと思ってくれることが嬉しい。片倉と霧島のことよく知らなかったうちは正直、恨んでたし、久隆を取り返したいと思ってた」
俺たちは初めて大里の本心を聞くこととなった。
「それが二人に近づいた初めの理由。でも、一緒に遊ぶうちに楽しいって思い始めてた」
葵は頬杖をつき、大里を見つめている。
「俺、今まで友達いなかったしさ。自分に近づく奴らは、なんらかの利益を求めてたし。彩都は違うけどな」
「黒川くん、いい子だよね」
久隆が相づちを打つ。
「二人と一緒にいるうちに、久隆の大切なその世界を守りたいって思い始めてた。だからパーティーの時、霧島が大変だって聞いて俺が一人でなんとかしなきゃって思った」
正直、咲夜は大里から敵意を向けられていることに気づいてはいた。しかし、あの日廊下で他の生徒から守ろうとしてくれたのを知り、彼が悪い人だとは思えなかったのだ。だからこそ、彼からの昼食の誘いを承諾したのだが。何故かあの時、誘った本人のほうが咲夜の反応に不思議そうな顔しており、そのことが印象に残った。
「みんなに話さず、一人で行動したからこういう結果になった。だから、久隆が辛いこと話してくれたのは嬉しい。片倉たちが仲間だと思ってくれることも」
「大里だけが悪いわけじゃない。当事者なのに、俺は何も知らなかった」
と葵が顔を歪め、
「これからは、一人で悩まないでみんなで解決してゆこうよ」
と続けた彼の提案にみな頷いた。
「よし、一旦帰ろ」
「あのさ」
立ち上がろうとした時、大里が切り出す。
「この間のオール楽しかった。また混ぜてよ」
その言葉に咲夜たち三人は顔を見合せ、
「もちろん!」
と三人は同時にそう大里に返事をする。綺麗にハモった事にみなで笑い合った。
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