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special love『運命の恋人』
5:やるのか、やらないのか
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****♡Side・咲夜(義弟)
「久隆」
ご飯を食べお風呂に入ったあと、二人掛けのリクライニングチェアに腰かけ二人で水族館のパンフレットを覗き込む。
「楽しみだね」
と咲夜が言えば、とっても嬉しそうな顔をして頷く彼。
「咲夜は何が一番見たい?」
エンジェルフェイスの彼が微笑むと咲夜もなんだか嬉しくなる。
「僕はね、イルカショーも楽しみだし。ペンギンも見たいし……クラゲ! クラゲがみたいなあ」
「写真、いっぱい撮ろうね」
二人で顔を見合わせ、笑いあう。三つの頃から二人は、とても仲が良かった。
「ね、ねえ。咲夜」
「なあに?」
「こっちおいでよ、抱っこしてあげる」
自分よりほんの少しだけ背の低い彼。その事を気にしてアフロにするなどと突飛なことを言いだしたり、兄に反抗したり。彼の行動は全て”咲夜に良いところを見せたい”という気持ちからきている。
そんな彼を咲夜は可愛いなと思う。そして、そんな彼が大好きだ。咲夜は久隆の望む通り彼の膝の上に移動した。
「へへ、暖かいね」
むぎゅっと抱きしめてくれる彼の背中に、咲夜も腕を回す。互いの体温が心地いい。
「うん、そうだね」
「咲夜、あのさ」
「うん?」
久隆が口ごもる。そんな彼を咲夜は首を傾け見つめた。
「俺たち、恋人だよね?」
と確かめるように。
「うん、恋人」
「えっと、恋人っぽいこと……したいなって思うんだけど」
その言葉に、咲夜の心は踊った。
しかし彼はヘタレタチ代表とも言える父を持つ。
その上、咲夜の叔父である都筑と両想いのくせにまったく手を出さない兄、圭一の弟だ。
油断はできない。特に父の方はヘタレすぎて咲夜の父の方がしびれを切らし、タチネコが逆転してたという過去を持つ。結局ちゃんと繋がれたのは大学に入ってからだった、と父がぼやいていたことを思い出す。
息子に愚痴るくらいなのだから、よっぽどであろう。
──ここは、察してあげるべきか。清純ぶるべきか。
久隆の手前いつも何も知らないフリをしてはいるが、父の運命の相手である久隆の父、奏があまりにも酷い惨状だった為、咲夜の父、真咲は咲夜にいろんな手ほどきをしてくれていた。
『最悪、相手がまごまごしていたら、襲えばいいから』
おおよそ、父が息子に言う事ではない。
『パパ。でも僕は久隆にリードして欲しい。久隆はプライド高いし』
『そんな暢気なこと言ってたら、いつ繋がれるか分からないだろ? 奏なんか、俺の上半身見ただけで鼻血出して卒倒してたんだから』
『え……』
『もう。やられなかったら、こっちがやるしかないから』
父の教えに、咲夜はあんぐりと口を開けたのだった。
───サバイバル過ぎる……。
「久隆」
ご飯を食べお風呂に入ったあと、二人掛けのリクライニングチェアに腰かけ二人で水族館のパンフレットを覗き込む。
「楽しみだね」
と咲夜が言えば、とっても嬉しそうな顔をして頷く彼。
「咲夜は何が一番見たい?」
エンジェルフェイスの彼が微笑むと咲夜もなんだか嬉しくなる。
「僕はね、イルカショーも楽しみだし。ペンギンも見たいし……クラゲ! クラゲがみたいなあ」
「写真、いっぱい撮ろうね」
二人で顔を見合わせ、笑いあう。三つの頃から二人は、とても仲が良かった。
「ね、ねえ。咲夜」
「なあに?」
「こっちおいでよ、抱っこしてあげる」
自分よりほんの少しだけ背の低い彼。その事を気にしてアフロにするなどと突飛なことを言いだしたり、兄に反抗したり。彼の行動は全て”咲夜に良いところを見せたい”という気持ちからきている。
そんな彼を咲夜は可愛いなと思う。そして、そんな彼が大好きだ。咲夜は久隆の望む通り彼の膝の上に移動した。
「へへ、暖かいね」
むぎゅっと抱きしめてくれる彼の背中に、咲夜も腕を回す。互いの体温が心地いい。
「うん、そうだね」
「咲夜、あのさ」
「うん?」
久隆が口ごもる。そんな彼を咲夜は首を傾け見つめた。
「俺たち、恋人だよね?」
と確かめるように。
「うん、恋人」
「えっと、恋人っぽいこと……したいなって思うんだけど」
その言葉に、咲夜の心は踊った。
しかし彼はヘタレタチ代表とも言える父を持つ。
その上、咲夜の叔父である都筑と両想いのくせにまったく手を出さない兄、圭一の弟だ。
油断はできない。特に父の方はヘタレすぎて咲夜の父の方がしびれを切らし、タチネコが逆転してたという過去を持つ。結局ちゃんと繋がれたのは大学に入ってからだった、と父がぼやいていたことを思い出す。
息子に愚痴るくらいなのだから、よっぽどであろう。
──ここは、察してあげるべきか。清純ぶるべきか。
久隆の手前いつも何も知らないフリをしてはいるが、父の運命の相手である久隆の父、奏があまりにも酷い惨状だった為、咲夜の父、真咲は咲夜にいろんな手ほどきをしてくれていた。
『最悪、相手がまごまごしていたら、襲えばいいから』
おおよそ、父が息子に言う事ではない。
『パパ。でも僕は久隆にリードして欲しい。久隆はプライド高いし』
『そんな暢気なこと言ってたら、いつ繋がれるか分からないだろ? 奏なんか、俺の上半身見ただけで鼻血出して卒倒してたんだから』
『え……』
『もう。やられなかったら、こっちがやるしかないから』
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───サバイバル過ぎる……。
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