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第一章
第二話 転生
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「本当に何も気付いてなかったのね。バカみたい」
「ミティア…?」
目の前の黒髪の女を睨みつける。一方相手は本当に何が何だかわからないという顔。笑えるわ。私のことを愛していると何度も口にしたくせに、何年もの間私の憎しみを感じてすらいなかった。本当に口ばかりよ。次期女王様……いや、元次期女王ね。
「あははははは‼」
「ミティア落ち着け!ゴホッ…、きっとお前は疲れてるんだ、自分の部屋に戻りゆっくりと休め。私の部屋にいるとお前にまで病気がうつる可能性がある。私の侍女に送らせるから―」
「いいえお姉様。疲れてなんてないわ」
私が否定してもあなたは私の気が狂ったことを疑わないでしょう。だって、あなたは妹が何年も自分を恨んでいるなんて想像しない、いえ、できないでしょ?あなたは生まれた時からずっとお人好しの善人なのだから。私と違ってね。それにしてもやっぱり、なんて良い人なのかしら。病人の身でありながら様子がおかしい人間を気遣うなんて。本当に反吐が出るわ。
「お姉様、私はあなたが嫌い」
「……な」
「その人に優しいところも。美しく気高いところも。強く勇敢なところも」
全部全部、憎いわ。
――やっと言えた。
可哀そうに、可愛がっていた妹にこんなことを言われるなんて、思ってもいなかったでしょう。
「ねぇ、私があなたと比べられて、陰で何て言われてるか知ってた?天才と出来損ない。人としての価値が違うってね。才能を王妃の腹の中で一つ残さず取られたなんて、くだらない冗談を耳にしたこともあったわ。私から見てもそうだった。あなたはみんなの英雄。私は役立たずもいいところだわ」
「そんなことあるわけないだろ‼ッケホッケホッお前が魔法が使えないこと程度でそんなふうに蔑んでいる奴らがいるのなら、今すぐそいつらをぶん殴ってやる‼」
…まぁ、どうせそんな反応だろうと思ったけれど。それより、すぐに私が魔法を使えないせいで蔑まれていると思うなんて、やっぱりあなたも感じてたんじゃない。少なくとも、「魔法を使える姉」と「魔法を使えない妹」って程度には。
今更どうでもいいけどね。
「違うわ。人を殴って解決する問題じゃない。私はあなたといるのが辛かったの。毎日劣等感に押し潰されそうになっていたのよ。最初は我慢していたけれど、あなたが周りの目も気にせず私に近づいてくるものだから、今度は憎しみが強くなっていった」
「――ッ!……すまない。私は…ゴホッ…お前の気持ちを考えることが出来なかったのだな。だが、私は諦めない。もちろん、お前が苦しくならないよう、私からは近づかない。私は今すぐにでもお前が蔑まれないような王宮にして見せる。人の心も気にせず傷付けるような輩は、私が責任を持って排除する。だからミティア、ゆっくりでいい。もしお前の怒りが収まり、私を許せると思ったその時は…お前から私に近づいてくれないか?」
優しい声。苦しんでいるときに突然押しかけてきた私が放つ罵声の意味を理解しようとして、病気の自分より様子のおかしい妹を最優先にする。なんて自慢の姉。素敵だわ!
…でもね、やっぱりわかってないのね。それもしょうがないことだわ。あなたは善人。私は悪人。分かり合えないことがあるのは当たり前。
「排除されるべきはあなたの方よ」
だから、もう…。
「さようなら、エステルお姉様」
眠りなさい。
―――――
まぶたがゆっくり開く。なんだかまたやたらと疲れる夢を見たような気が――。
「ミティア‼大丈夫か⁉」
突如私の目の前に現れる美女。艶がいい黒髪に、少し吊り上がった目の中にある宝石のように輝くブルーアイ。私は思わずその美しさに息を呑んで固まってしまう。するとすかさず目の前の美女が私の肩をがっしりと掴み、激しく揺らし始めた。
「ミティア⁉へ、返事をしてくれ!」
「エ、エステル様!もう少しミティア様のお体を労わってください!」
「あ、ああ、すまないミティア。気を悪くしたか?」
二人が心配そうに私の顔を覗き込んでいるが、私はそれどころではなかった。
この黒髪の女性は…エステル・ノヴァ・ロワイヤル。私の姉。私がこの手で殺したはずの人物。
サッと血の気が引くのを感じた。いや違う。私はこの人なんて知らないはずだ。そもそも私には姉もいないし、人を殺したような経験もない。でも、今話しかけられている少女「ミティア」なら…?いや、そもそも何故私はこのエステルという女性が殺されることを知っている⁉
確かに姉は死んだのだ。でもそれをいうとそもそも処刑されたはずの私がなぜ生きている?いや、私はミティアではない。人を殺して平気でいれられるような、残虐な人間ではない!
「おーい、ミティア……?」
「大丈夫ですか⁉ミティア様!もう、エステル様が乱暴になさるから…!」
「や、やはり私のせいか?本当にすまない。つい心配で焦ってしまって…」
…こんな状況なのに、いつもの二人を見ているとなんだか安心してしまう。
とりあえず、落ち着いて整理しよう。この記憶がどこから来たものかはわからないが、目の前の二人の情報をまとめよう。まず、私に怯えていたこの侍女はアンナ。茶髪のボブヘアが印象的な女性だ。穏やかな性格で普段は我儘な私に少し怯えている、私の専属侍女だ。
そして先ほどから焦りながら私に謝っている黒髪美女が私の姉、エステル・ノヴァ・ロワイヤルである。アルカシアというこの国の第一王女だ。明るく男勝りな性格で、王女という立場で騎士にもなっている、いろいろと変わった人物だ。しかしある天性の才能と人を惹き付ける魅力で、多くの国民から愛されている。実際、私に怯えているアンナも彼女には心を許しているようだった。
そして私には…彼女を殺した記憶がある。それだけではない。多くの人々を傷付け、残虐な行いをしてきたという記憶もある。そして最期にはあっけなく捕まり、処刑されたという記憶だ。しかしそれはちょうど私が二十歳の時のことだった。今の私の幼い体はどう見ても二十歳ではない。
「ねえ二人とも…今って何年かわかる?」
アンナとエステルお姉様は不思議そうに顔を見合わせる。
「何年って…今は九百十二年ですが……」
どうしてそんなことを聞くのかとでも言いたいような顔をされる。二人にとって不思議なことでも、私にとっては重要なことなのだ。九百十二年ということは、私は今十歳である。確かにそう考えると、十歳の頃こんな体の大きさだったような気がしてきた。ということはアンナは十七歳で、お姉様は十五歳か。
今が十歳で、殺されるのが二十歳……つまり本来あと十年後には死んでしまうということだ。
ここまでまとめて、私はふう、と息をついた。あと五年後には、ここにいるお姉様を殺し、父や母も殺し、私は王位についていたのだ。でもそんな記憶はおかしい。私は今十歳なのだから、未来予知でもしない限りそんな情報は知りえないのだ。そもそも前まで日本にいた私がこんな状況にいるだけでもおかしいのに……。
それでも一つはっきりとしていることは、私は本当に「ミティア」だということだ。私が人を殺していたなんて信じたくはないし信じられないが、そこだけは事実だった。私がミティアとして生きた感覚も記憶も全て鮮明に残っている。そして、私が日本で暮らしていたということも事実だ。
正直、まだよくわからない。自分がただこのミティアに憑依しただけかもしれないし、ミティアだったが日本で生きた記憶が急によみがえっておかしくなったのかもしれない。それでも私は、自分の感覚を信じてこう結論付けた。
――私はこの世界で一度死に、日本で転生して生きて車に轢かれて死んでしまった。そしてどういうわけかまたミティアとしてこの世界に転生し、今両方の記憶を思い出したのだと。
「ミティア…?」
目の前の黒髪の女を睨みつける。一方相手は本当に何が何だかわからないという顔。笑えるわ。私のことを愛していると何度も口にしたくせに、何年もの間私の憎しみを感じてすらいなかった。本当に口ばかりよ。次期女王様……いや、元次期女王ね。
「あははははは‼」
「ミティア落ち着け!ゴホッ…、きっとお前は疲れてるんだ、自分の部屋に戻りゆっくりと休め。私の部屋にいるとお前にまで病気がうつる可能性がある。私の侍女に送らせるから―」
「いいえお姉様。疲れてなんてないわ」
私が否定してもあなたは私の気が狂ったことを疑わないでしょう。だって、あなたは妹が何年も自分を恨んでいるなんて想像しない、いえ、できないでしょ?あなたは生まれた時からずっとお人好しの善人なのだから。私と違ってね。それにしてもやっぱり、なんて良い人なのかしら。病人の身でありながら様子がおかしい人間を気遣うなんて。本当に反吐が出るわ。
「お姉様、私はあなたが嫌い」
「……な」
「その人に優しいところも。美しく気高いところも。強く勇敢なところも」
全部全部、憎いわ。
――やっと言えた。
可哀そうに、可愛がっていた妹にこんなことを言われるなんて、思ってもいなかったでしょう。
「ねぇ、私があなたと比べられて、陰で何て言われてるか知ってた?天才と出来損ない。人としての価値が違うってね。才能を王妃の腹の中で一つ残さず取られたなんて、くだらない冗談を耳にしたこともあったわ。私から見てもそうだった。あなたはみんなの英雄。私は役立たずもいいところだわ」
「そんなことあるわけないだろ‼ッケホッケホッお前が魔法が使えないこと程度でそんなふうに蔑んでいる奴らがいるのなら、今すぐそいつらをぶん殴ってやる‼」
…まぁ、どうせそんな反応だろうと思ったけれど。それより、すぐに私が魔法を使えないせいで蔑まれていると思うなんて、やっぱりあなたも感じてたんじゃない。少なくとも、「魔法を使える姉」と「魔法を使えない妹」って程度には。
今更どうでもいいけどね。
「違うわ。人を殴って解決する問題じゃない。私はあなたといるのが辛かったの。毎日劣等感に押し潰されそうになっていたのよ。最初は我慢していたけれど、あなたが周りの目も気にせず私に近づいてくるものだから、今度は憎しみが強くなっていった」
「――ッ!……すまない。私は…ゴホッ…お前の気持ちを考えることが出来なかったのだな。だが、私は諦めない。もちろん、お前が苦しくならないよう、私からは近づかない。私は今すぐにでもお前が蔑まれないような王宮にして見せる。人の心も気にせず傷付けるような輩は、私が責任を持って排除する。だからミティア、ゆっくりでいい。もしお前の怒りが収まり、私を許せると思ったその時は…お前から私に近づいてくれないか?」
優しい声。苦しんでいるときに突然押しかけてきた私が放つ罵声の意味を理解しようとして、病気の自分より様子のおかしい妹を最優先にする。なんて自慢の姉。素敵だわ!
…でもね、やっぱりわかってないのね。それもしょうがないことだわ。あなたは善人。私は悪人。分かり合えないことがあるのは当たり前。
「排除されるべきはあなたの方よ」
だから、もう…。
「さようなら、エステルお姉様」
眠りなさい。
―――――
まぶたがゆっくり開く。なんだかまたやたらと疲れる夢を見たような気が――。
「ミティア‼大丈夫か⁉」
突如私の目の前に現れる美女。艶がいい黒髪に、少し吊り上がった目の中にある宝石のように輝くブルーアイ。私は思わずその美しさに息を呑んで固まってしまう。するとすかさず目の前の美女が私の肩をがっしりと掴み、激しく揺らし始めた。
「ミティア⁉へ、返事をしてくれ!」
「エ、エステル様!もう少しミティア様のお体を労わってください!」
「あ、ああ、すまないミティア。気を悪くしたか?」
二人が心配そうに私の顔を覗き込んでいるが、私はそれどころではなかった。
この黒髪の女性は…エステル・ノヴァ・ロワイヤル。私の姉。私がこの手で殺したはずの人物。
サッと血の気が引くのを感じた。いや違う。私はこの人なんて知らないはずだ。そもそも私には姉もいないし、人を殺したような経験もない。でも、今話しかけられている少女「ミティア」なら…?いや、そもそも何故私はこのエステルという女性が殺されることを知っている⁉
確かに姉は死んだのだ。でもそれをいうとそもそも処刑されたはずの私がなぜ生きている?いや、私はミティアではない。人を殺して平気でいれられるような、残虐な人間ではない!
「おーい、ミティア……?」
「大丈夫ですか⁉ミティア様!もう、エステル様が乱暴になさるから…!」
「や、やはり私のせいか?本当にすまない。つい心配で焦ってしまって…」
…こんな状況なのに、いつもの二人を見ているとなんだか安心してしまう。
とりあえず、落ち着いて整理しよう。この記憶がどこから来たものかはわからないが、目の前の二人の情報をまとめよう。まず、私に怯えていたこの侍女はアンナ。茶髪のボブヘアが印象的な女性だ。穏やかな性格で普段は我儘な私に少し怯えている、私の専属侍女だ。
そして先ほどから焦りながら私に謝っている黒髪美女が私の姉、エステル・ノヴァ・ロワイヤルである。アルカシアというこの国の第一王女だ。明るく男勝りな性格で、王女という立場で騎士にもなっている、いろいろと変わった人物だ。しかしある天性の才能と人を惹き付ける魅力で、多くの国民から愛されている。実際、私に怯えているアンナも彼女には心を許しているようだった。
そして私には…彼女を殺した記憶がある。それだけではない。多くの人々を傷付け、残虐な行いをしてきたという記憶もある。そして最期にはあっけなく捕まり、処刑されたという記憶だ。しかしそれはちょうど私が二十歳の時のことだった。今の私の幼い体はどう見ても二十歳ではない。
「ねえ二人とも…今って何年かわかる?」
アンナとエステルお姉様は不思議そうに顔を見合わせる。
「何年って…今は九百十二年ですが……」
どうしてそんなことを聞くのかとでも言いたいような顔をされる。二人にとって不思議なことでも、私にとっては重要なことなのだ。九百十二年ということは、私は今十歳である。確かにそう考えると、十歳の頃こんな体の大きさだったような気がしてきた。ということはアンナは十七歳で、お姉様は十五歳か。
今が十歳で、殺されるのが二十歳……つまり本来あと十年後には死んでしまうということだ。
ここまでまとめて、私はふう、と息をついた。あと五年後には、ここにいるお姉様を殺し、父や母も殺し、私は王位についていたのだ。でもそんな記憶はおかしい。私は今十歳なのだから、未来予知でもしない限りそんな情報は知りえないのだ。そもそも前まで日本にいた私がこんな状況にいるだけでもおかしいのに……。
それでも一つはっきりとしていることは、私は本当に「ミティア」だということだ。私が人を殺していたなんて信じたくはないし信じられないが、そこだけは事実だった。私がミティアとして生きた感覚も記憶も全て鮮明に残っている。そして、私が日本で暮らしていたということも事実だ。
正直、まだよくわからない。自分がただこのミティアに憑依しただけかもしれないし、ミティアだったが日本で生きた記憶が急によみがえっておかしくなったのかもしれない。それでも私は、自分の感覚を信じてこう結論付けた。
――私はこの世界で一度死に、日本で転生して生きて車に轢かれて死んでしまった。そしてどういうわけかまたミティアとしてこの世界に転生し、今両方の記憶を思い出したのだと。
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