拝啓あなたへ、星の音色をもう一度

 ある人の居ない廃墟に、一人の女性が居た。
 足の透けた彼女は、毎夜ピアノの音を奏でていた。

 彼女は、いつか夫と交わした約束を叶えられず、永遠にピアノに取り憑く幽霊だったのだ。
 現世に未練を残し生きる彼女は、自分がどうしたいのかすら分からないでいた。

 とにかく、一つ分かることは夫と約束したことを果たせなかったという後悔が残っているということだけだった。

 そんな息の音一つしない廃墟の中で、彼女は一人の男性と願うことになる。

「――とても美しい音色で、良い演奏だった。ありがとう」

 彼女は彼に全く見覚えがなかったのだが、それから何十年と彼女の全く変わらなかった人生が大きく変わることになる――

※本作品は小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。
24h.ポイント 7pt
0
小説 38,505 位 / 192,913件 恋愛 17,088 位 / 57,544件

あなたにおすすめの小説

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

午前零時のピアノにさよならを告げたなら

朱音ゆうひ
恋愛
会社をクビになりそうな詩音は、駅ビルの西口広場で幼馴染のピアニスト、大河と再会する。 「ピアノ教室で一緒でしたよね?」「人違いです」「僕、詩音さんが好きなんです」 再会した二人が一夜限りの関係を持つワンナイト・ラブストーリーです。 ※文芸味強め・エンタメ色薄め・結ばれないのでご注意ください。 別サイトにも投稿しています(https://novema.jp/book/n1727164)

赤ずきんちゃんと狼獣人の甘々な初夜

真木
ファンタジー
純真な赤ずきんちゃんが狼獣人にみつかって、ぱくっと食べられちゃう、そんな甘々な初夜の物語。

もうすぐ、お別れの時間です

夕立悠理
恋愛
──期限つきの恋だった。そんなの、わかってた、はずだったのに。  親友の代わりに、王太子の婚約者となった、レオーネ。けれど、親友の病は治り、婚約は解消される。その翌日、なぜか目覚めると、王太子が親友を見初めるパーティーの日まで、時間が巻き戻っていた。けれど、そのパーティーで、親友ではなくレオーネが見初められ──。王太子のことを信じたいけれど、信じられない。そんな想いにゆれるレオーネにずっと幼なじみだと思っていたアルロが告白し──!?

さようなら、わたくしの騎士様

夜桜
恋愛
騎士様からの突然の『さようなら』(婚約破棄)に辺境伯令嬢クリスは微笑んだ。 その時を待っていたのだ。 クリスは知っていた。 騎士ローウェルは裏切ると。 だから逆に『さようなら』を言い渡した。倍返しで。

全然痩せないの。

ヤマグチヤコブ
大衆娯楽
「全然痩せないの。」 彼女は涙をこぼしながら言った。 ………………………………… 恋愛ショートショート。純愛物は初めて書きました。(コメディです)宜しくお願いします。

みんながみんな「あの子の方がお似合いだ」というので、婚約の白紙化を提案してみようと思います

下菊みこと
恋愛
ちょっとどころかだいぶ天然の入ったお嬢さんが、なんとか頑張って婚約の白紙化を狙った結果のお話。 御都合主義のハッピーエンドです。 元鞘に戻ります。 ざまぁはうるさい外野に添えるだけ。 小説家になろう様でも投稿しています。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。