僕のラミア

むねじゅ

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003 老人

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僕は、公園に居た老人たちの所へかけった。

とても不思議な光景こうけいだった。
言葉は悪いけど、ヨボヨボのお爺さんやお婆さんが数人いる中で
一人だけ美しい人が混じっている。

この人は男なのか、女なのか分からない、美しい人と表現するしかなかった。

僕は、その人と目がっただけでもドキドキするのに、
老人達は、その人といたって普通に会話していた。

僕は勇気を出して声をかけた。
金時「あの…こんにちは…」

老人達が一斉にこちらを見る。

昨日の美しい人が、口を開く
「おや!昨日の坊や…金時きんとき君じゃないか」

老人達が首をかしげているのに気が付いたのか、
美しい人は、語りだす。
「こないだ皆で話していた、引っ越してきた月島つきしまさんです。」

老人たちが揃って「お~そか、そか、」と首を縦に振っている。

金時「昨日引っ越してきました。月島つきしま 金時きんときと言います。」
  「皆さん!よろしくお願いします。」

僕は、頭をペコリとした。

老人たちが揃って「お~よろしく、よろしく、」と首を縦に振っている。
その光景にちょっと笑いそうになったけど我慢した。

金時「昨日はいきなり帰ってしまってすみません!」

美しい人「ん?いいよ、いいよ、そんな事気にしてたのかい?」

なんかもう一言話すだけでも頭がクラクラしてきて、
心臓が口から飛び出しそうになるのを我慢して質問した。

金時「あの…お名前教えてください!」

美しい人「ん?私のかい?」

金時「はい!そうです…」

美しい人「私は、蛭間ひるま あおいだよ」

ひるま…あおいさん…
やっと聞けた!女の人みたいな名前だけど、声を聞いてたぶん男の人なんだと確信した。

蛭間さんは、何かを思い出したようにあせり出した。
「そうだった!店をほったらかしにしていた!」
「皆さんではまた!金時君っまた!」

そういって蛭間さんは僕の横を通ると、
長い髪がフワッっとして良い香りがした。

蛭間さんの香りにボーとしていた僕は、ふと我に返る。
蛭間さんはもう居なくなっていた。

老人達はポカーンとしている。蛭間さんの動きに反応出来てないみたいだった。
僕は、ポカーンとしている老人の一人に質問した。

金時「蛭間さんは、お店をやっているんですか?」

その質問に老人がハッとしたかのように答えてくれた。
老人「おぉ…あぁ…やっているよ喫茶店じゃよ」
  
老人は続けて聞いてもいない話をしだした。
「わしが、50歳くらいの時に引っ越してきてきてのう。」
「かれこれ30年は店をやっているんじゃないかのう。」
「わしはもう仕事は引退しているのに蛭間のじいさんは凄いのう…」
「年もわしと変わらないハズなのに若いのう…ほっほっほっ」

ん…なんか変だ。会話がおかしい。
50歳くらいの時に引っ越してきた?
30年は店をやってる?
蛭間さんが若くても20才の時に店を初めても30年経ったら50歳だよね?
あの容姿で50歳?あと蛭間のじいさんって言ったよなこのお爺さん…

僕の勘違いだと思って質問する。
「あの…あの人はそのお店の息子さんですか?」

老人「んん?いや蛭間のじいさんに子供はいないはずじゃが」

老人は続けて聞いてもいない話をしだした。

「結婚もしてないからずーと独り身じゃよ」
「あぁでも引っ越してくる前はわからんなぁ…」
「もしかして恋人と別れてとか、離婚してとかで引っ越してきたのかもしれんし…」
「もしかしたら離婚した相手に子供がいるかもしれん…今度聞いてみるかのぅ」

僕は訳が分からなくなった。
年をとっていても20歳にしか見えない人をじいさんと言っている。
この老人はボケているのではないのか?

僕は、他の数人の老人にも
「あの…さっき帰った人は蛭間さんの息子さんですか?」と聞いてみた。

しかし、皆口をそろえて
「蛭間さんに息子なんていたかのう?」だった。

僕の質問の意味が分からないんだ。だから失礼を承知で、この質問をした。
「蛭間さんは、おじいさんですか?」

と…

皆は口をそろえてこう言った。
「蛭間さんは、どうみてもおじいさんだね~ふぉふぉふぉ」

背筋に寒気を感じた。

僕は、冷静になった。
失礼だが、きっと年齢的に全員ボケているだと思う事にした。
ボケていると思いながら質問するのは少々気が引けたが、蛭間さんのお店の場所が何処どこにあるのか聞いた。

この前見つけたコンビニの近くだという事が分かった。
少し時間があるから今からでも行けたけど、
何故か今日行くのは止めておこうと思った。
明日、学校の帰りに行ってみよう!どんなお店なんだろう。楽しみだなぁ。
僕は、そう思いながら帰宅した。
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