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甘やかな月(21)
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手紙の用意の後で、出かけることを告げた。
ヤンがまず驚いた顔をし、首を振る。
「いけません。旦那さまのお許しがありません。お手紙なら、お届けいたします」
「遊びに行くのではないの。危ないところに行くのでもないから」
昨日連行された保安局に向かうとつなぐ。一人がいけないのなら、御者のマサキに中まで同行してもらうと言い添えた。
メイデルにも手伝ってもらい、『レディ・チュチュ』を箱に詰めた。向こうで配るつもりだった。馬車に積み込む。
見送りに出たドラが、眉根を寄せている。
「お帰りが遅いようでございましたら、旦那さまにお知らせいたしますよ」
それにはうなずいた。
保安局は、昨日と同じ建物のはずが、印象が違って見えた。引きたてられるように向かうのと、自分で行くのとでは気分も違う。
受付で名乗り、ミカ少尉に面会したいと申し出た。
相手がぎょっとしたようにわたしを見返した。夕べの騒ぎを知っていて、その張本人が現れたことに驚いているのだ。
「少々お待ち下さいませ」
玄関ホールは拘置施設のある奥と違い、明るく清潔な雰囲気だ。秘書なのだろうか職員の家族か、きれいなドレス姿の女性もちらほら見かける。
しばらく待つうち、急ぎ足の男性が、わたしに向かってやって来るのが見えた。
局長のダルニと名乗った。夕べ邸に謝罪に訪れたのは、この人なのかもしれない。
「伯爵閣下はご一緒でございましょうか?」
「いいえ」
「はあ。奥さまにおかれましては、どういったご用で?」
「これをご覧下さい」
用意してきた手紙を渡す。
一瞥してから、わたしをまじまじと見た。
「こちらは、伯爵の...」
「ええ」
そして、ミカ少尉と話したいのだと告げた。そのために来たのだ。
「それはごもっともでございます。直接の謝罪は当然至極で..。ご希望でしたら、こちらからお邸に参らせましたものを」
その後応接室に招じ入れられ、少し待たされた。マサキはわたしの背後で控えている。
十分ほども待っただろうか。ミカ少尉が姿を見せた。側に先ほどの局長もいる。
ミカ少尉は消沈した顔をしてうつむいていた。肩も落ちて、昨日のわたしを威嚇した威勢のよさは見る影もなかった。
よほど隣りの局長から絞られたのだろう。同情はしないつもりが、少し哀れに思えた。
「外していただけますか? 二人で話したいのです」
意外そうにわたしを見たが、局長は部屋を出て行ってくれた。不問に処すということは、ミカ少尉のずっと上役の彼の責任も不問ということだ。
わたしに従って文句はないはず。
「このたびは…」
ミカ少尉の一通りの謝罪が済んでから、口を開いた。
「もうお詫びはいいんです。わたしのことも」
「では、奥さまは何をお求めに...?」
伏せがちな顔のまま、目だけはちらりとわたしを向く。従順な素振り。歯向かうのが得にならない相手には、こうも簡単に下手に出る人なのだ。
小ずるい仕草が、やはり不快だった。
「あなたの奥さまが、レディ・アリナの侍女をされていたとおっしゃいましたね。そこからいろいろな噂を聞くと。あなたがレディ・アリナにお会いになったことは?」
「それはもちろん。お見かけしたことはあります。それはお美しい方で」
そこだけは元気がいい声だ。実際、この彼は、あの美しさにほだされたのではないだろうか。ふっとそんなことを思う。
ジア先生も「どこにでもレディ・アリナのシンパはいる」と言っていた。あの女性を嫌なウィルスのように感じる。
「お話はされました?」
「いえ、まさか」
「では、お食事も?」
首を振る。
「ではほとんど、あの女性を知らないのと一緒ですね」
「ですが、妻が侍女を勤めていたから、お人となりを存じ上げてはいます」
妻から聞いたレディ・アリナの評判を、頭から信じ込んでいられる彼ののどかさに、喉の奥がくすぐったくなる。
「では、あなたは主人を知っていますか?」
「お名前はもちろん」
「会ったことは?」
「それは、ありません」
「ガイの…、主人のことをいろいろおっしゃいましたね。「小娘に色仕掛けにすこぶる弱い」だの、「手を付けた秘書に口車に乗った」だの...。見て来たかのように。それは、どこから出たものですか? 奥さまの噂話から?」
口ごもった。
「いえ、妻が言ったのでは...」
「なら、あなたが見たのですか? 聖学究院で、主人がわたしにそのように振る舞うのを。聞いたのですか? たとえば学生さんや職員の人たちから」
言葉もなく首を振る。ひたいと首が赤くなっているのがわかる。どれだけ愚かなことを喋ったのか、うんと懲りればいいと思った。
「じゃあ、なぜあんな言葉が出るのです? どうしてですか?」
「噂があって...、そこから推理して…」
「また、根拠は伝聞ですね」
彼は再び黙り込んだ。
「あなたは捜査を行う方だと聞きました。そんな方が、あやふやな伝聞や憶測で、物事を推理するのですか? 捜査官は一般的にそういうお仕事をされるのですか?」
「いえ、決してそんなことは…」
「根拠のない推理で、主人が『小娘の色仕掛けにすこぶる弱い』と断定し、そこを土台に、夫に飽きられたわたしが、彼の気を引くために狂言の誘拐事件をでっち上げたとおっしゃいました。どこまで確信のある推理なのですか? それとも憶測でしょうか?」
「いや、それは…、間違いで…」
「どこが間違いなのですか? 教えて下さい」
しばらく後で、絞り出すような声がした。つぶれたそれは、「お許し下さい」と聞こえた。
誘拐事件自体を取り下げさせること出来たら、事件を一件解決したことと同じ成績になるといった。
それで、聞き知っていた噂を元に想像を働かせ、一人のわたしを的にした。怯えさせてしめ上げれば容易いと踏んだらしい。
弱者に高圧的なのは、きっとわたし以外にもそうなのだろう。邸でのメイデルへの口調にもそれは強く匂った。
「主人に関するでたらめな発言をすべて訂正して下さい」
しおしおと彼はそれを受け入れた。
弱々しいが聞き取れる声が、ぼそぼそと続く。
「伯爵閣下に関する発言も推理も、根拠のない噂話を元にしたもので、事実とはまったく異なるものです」
もういいと思った。
そこでわたしは立ち上がった。
ミカ少尉ははっと顔を上げる。
「あの、わたしを不問に処すとのお考えは…」
保身ばかりはしっかりしている。
「そちらの要求ばかりではなく、主人が示した誓約を必ずのんで下さい。とても無理を言って納得してもらったのですから。それと、今後、見た目や思い込みで相手を判断しないように強く望みます。とても不快でした」
「はい、それは。必ず、お守りいたします、レディ・ユラ」
立ち上がった彼の敬礼を背に、外に出た。
ほっと息をつく。
玄関まで局長が恭しく見送りに出た。そこで思い出す。
「ちょっと手伝って下さい」
マサキが回して来た馬車から、『レディ・チュチュ』の詰まった箱を局長に取り出してもらった。
「皆さんでどうぞ。今は品薄らしいのですけれど、順次入荷いたしますので。気に入っていただけたら、ぜひお買い求め下さい」
「…まことにありがとうございます」
箱を抱えさせられた局長に軽く会釈し、馬車に乗り込んだ。
急がないと、と思った。
早く帰らないと、邸からガイに知らせが行ってしまう。
ヤンがまず驚いた顔をし、首を振る。
「いけません。旦那さまのお許しがありません。お手紙なら、お届けいたします」
「遊びに行くのではないの。危ないところに行くのでもないから」
昨日連行された保安局に向かうとつなぐ。一人がいけないのなら、御者のマサキに中まで同行してもらうと言い添えた。
メイデルにも手伝ってもらい、『レディ・チュチュ』を箱に詰めた。向こうで配るつもりだった。馬車に積み込む。
見送りに出たドラが、眉根を寄せている。
「お帰りが遅いようでございましたら、旦那さまにお知らせいたしますよ」
それにはうなずいた。
保安局は、昨日と同じ建物のはずが、印象が違って見えた。引きたてられるように向かうのと、自分で行くのとでは気分も違う。
受付で名乗り、ミカ少尉に面会したいと申し出た。
相手がぎょっとしたようにわたしを見返した。夕べの騒ぎを知っていて、その張本人が現れたことに驚いているのだ。
「少々お待ち下さいませ」
玄関ホールは拘置施設のある奥と違い、明るく清潔な雰囲気だ。秘書なのだろうか職員の家族か、きれいなドレス姿の女性もちらほら見かける。
しばらく待つうち、急ぎ足の男性が、わたしに向かってやって来るのが見えた。
局長のダルニと名乗った。夕べ邸に謝罪に訪れたのは、この人なのかもしれない。
「伯爵閣下はご一緒でございましょうか?」
「いいえ」
「はあ。奥さまにおかれましては、どういったご用で?」
「これをご覧下さい」
用意してきた手紙を渡す。
一瞥してから、わたしをまじまじと見た。
「こちらは、伯爵の...」
「ええ」
そして、ミカ少尉と話したいのだと告げた。そのために来たのだ。
「それはごもっともでございます。直接の謝罪は当然至極で..。ご希望でしたら、こちらからお邸に参らせましたものを」
その後応接室に招じ入れられ、少し待たされた。マサキはわたしの背後で控えている。
十分ほども待っただろうか。ミカ少尉が姿を見せた。側に先ほどの局長もいる。
ミカ少尉は消沈した顔をしてうつむいていた。肩も落ちて、昨日のわたしを威嚇した威勢のよさは見る影もなかった。
よほど隣りの局長から絞られたのだろう。同情はしないつもりが、少し哀れに思えた。
「外していただけますか? 二人で話したいのです」
意外そうにわたしを見たが、局長は部屋を出て行ってくれた。不問に処すということは、ミカ少尉のずっと上役の彼の責任も不問ということだ。
わたしに従って文句はないはず。
「このたびは…」
ミカ少尉の一通りの謝罪が済んでから、口を開いた。
「もうお詫びはいいんです。わたしのことも」
「では、奥さまは何をお求めに...?」
伏せがちな顔のまま、目だけはちらりとわたしを向く。従順な素振り。歯向かうのが得にならない相手には、こうも簡単に下手に出る人なのだ。
小ずるい仕草が、やはり不快だった。
「あなたの奥さまが、レディ・アリナの侍女をされていたとおっしゃいましたね。そこからいろいろな噂を聞くと。あなたがレディ・アリナにお会いになったことは?」
「それはもちろん。お見かけしたことはあります。それはお美しい方で」
そこだけは元気がいい声だ。実際、この彼は、あの美しさにほだされたのではないだろうか。ふっとそんなことを思う。
ジア先生も「どこにでもレディ・アリナのシンパはいる」と言っていた。あの女性を嫌なウィルスのように感じる。
「お話はされました?」
「いえ、まさか」
「では、お食事も?」
首を振る。
「ではほとんど、あの女性を知らないのと一緒ですね」
「ですが、妻が侍女を勤めていたから、お人となりを存じ上げてはいます」
妻から聞いたレディ・アリナの評判を、頭から信じ込んでいられる彼ののどかさに、喉の奥がくすぐったくなる。
「では、あなたは主人を知っていますか?」
「お名前はもちろん」
「会ったことは?」
「それは、ありません」
「ガイの…、主人のことをいろいろおっしゃいましたね。「小娘に色仕掛けにすこぶる弱い」だの、「手を付けた秘書に口車に乗った」だの...。見て来たかのように。それは、どこから出たものですか? 奥さまの噂話から?」
口ごもった。
「いえ、妻が言ったのでは...」
「なら、あなたが見たのですか? 聖学究院で、主人がわたしにそのように振る舞うのを。聞いたのですか? たとえば学生さんや職員の人たちから」
言葉もなく首を振る。ひたいと首が赤くなっているのがわかる。どれだけ愚かなことを喋ったのか、うんと懲りればいいと思った。
「じゃあ、なぜあんな言葉が出るのです? どうしてですか?」
「噂があって...、そこから推理して…」
「また、根拠は伝聞ですね」
彼は再び黙り込んだ。
「あなたは捜査を行う方だと聞きました。そんな方が、あやふやな伝聞や憶測で、物事を推理するのですか? 捜査官は一般的にそういうお仕事をされるのですか?」
「いえ、決してそんなことは…」
「根拠のない推理で、主人が『小娘の色仕掛けにすこぶる弱い』と断定し、そこを土台に、夫に飽きられたわたしが、彼の気を引くために狂言の誘拐事件をでっち上げたとおっしゃいました。どこまで確信のある推理なのですか? それとも憶測でしょうか?」
「いや、それは…、間違いで…」
「どこが間違いなのですか? 教えて下さい」
しばらく後で、絞り出すような声がした。つぶれたそれは、「お許し下さい」と聞こえた。
誘拐事件自体を取り下げさせること出来たら、事件を一件解決したことと同じ成績になるといった。
それで、聞き知っていた噂を元に想像を働かせ、一人のわたしを的にした。怯えさせてしめ上げれば容易いと踏んだらしい。
弱者に高圧的なのは、きっとわたし以外にもそうなのだろう。邸でのメイデルへの口調にもそれは強く匂った。
「主人に関するでたらめな発言をすべて訂正して下さい」
しおしおと彼はそれを受け入れた。
弱々しいが聞き取れる声が、ぼそぼそと続く。
「伯爵閣下に関する発言も推理も、根拠のない噂話を元にしたもので、事実とはまったく異なるものです」
もういいと思った。
そこでわたしは立ち上がった。
ミカ少尉ははっと顔を上げる。
「あの、わたしを不問に処すとのお考えは…」
保身ばかりはしっかりしている。
「そちらの要求ばかりではなく、主人が示した誓約を必ずのんで下さい。とても無理を言って納得してもらったのですから。それと、今後、見た目や思い込みで相手を判断しないように強く望みます。とても不快でした」
「はい、それは。必ず、お守りいたします、レディ・ユラ」
立ち上がった彼の敬礼を背に、外に出た。
ほっと息をつく。
玄関まで局長が恭しく見送りに出た。そこで思い出す。
「ちょっと手伝って下さい」
マサキが回して来た馬車から、『レディ・チュチュ』の詰まった箱を局長に取り出してもらった。
「皆さんでどうぞ。今は品薄らしいのですけれど、順次入荷いたしますので。気に入っていただけたら、ぜひお買い求め下さい」
「…まことにありがとうございます」
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