魔性男子はモテたくない

月華

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2.消えた平穏

自慢したい食堂です

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 そんなこんなで到着した食堂。食堂は席の電子メニューで注文すればウェイターが運んできてくれるというなんともありがたい仕組みだ。さすがおぼっちゃま校。券売機に並ぶなどという手間が一切ないのが素晴らしい。


「岬は何にする?」


 席について電子メニューを手に取った流星が視線を向けてきた。ちなみに座り順は、俺の左隣に道添、前の席に流星と秀が並ぶ。どちらかが隣に来る前に、速攻で道添を隣に座らせた。席は隅っこの方。食事=マスクを外さなくてはならないので、中央の席は絶対に嫌だったので隅がいいと言ったら、花菱に見つからないためと勝手に解釈してくれた。ありがたい。
 そう、俺は基本的に食堂は利用しない。わざわざ変装しているのに、それを外さなければならない食堂を利用するわけがない。でも、ここの食堂は料理がとても豪華で美味しい上に安いので可能ならば毎日だって利用したい。特に唐揚げが最高に美味しい。色々なメニューがあるけれど、一通りメニューを制覇した後は唐揚げ定食一択になった。ここの唐揚げなら一生食べていられると思う。なのでたまに、ひとりでこっそり隅っこの席で利用していたりする。唐揚げの誘惑には勝てないのだ。
 今日はランキング入りのイケメン2人がいるので出来れば食堂は避けたかったが、仕方ないよね。まぁマスク外すくらいなら平気だろ、とも思うし。


 そんなこんなを考えつつも、俺がいつも注文している唐揚げ定食を注文した。隣で道添が「え、呼び捨て!? いつの間にそんな距離縮まったの!?」と騒いでいるが当然無視した。


「ご飯は? 大盛りにする?」
「え……いや、並盛りでいいよ」
「そう、足りる?」
「十分足りるよ」


 さすがクラス委員長、細やかな気遣いが凄い。
 注文すると、10分足らずで料理が届く。厨房が一体どれだけ広くてどれだけの人数がいるのかはわからないけれど、絶対に10分以上待たされることがない。人件費どうなってんだろと思うけれど、そんなこと気にする人なんていないんだろうな。なんか、こういうの気になっちゃうんだよね。
 料理を待つ間、ゆるく雑談に混ざりつつボケーっとしていたら料理ワゴンを持ったナイスルックガイなウェイターがこちらに向かってくるのが見えた。ウェイターまでイケメンなのは、王道学園の基本らしい(腐男子談)。
 そして、俺の目の前に唐揚げ定食が置かれる。
 あれ? 「唐揚げ定食の方は?」とか聞かないの? と思わずウェイターを見ると、ニコッと煌びやかな笑みを向けられた。「ど、どうも……」と返すも、正直赤面ものだ。絶対覚えられてる。こいつ唐揚げしか頼まない陰キャだって絶対覚えられてる恥ずかしい。
 イケメンなウェイターさんは、その後「カツ丼の方は?」とか言いながらそれぞれに配膳した。秀をちらと見ると、「なんでお前聞かれなかったの?」みたいな顔をしていた。やめて、そんな目で見ないで。
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