魔性男子はモテたくない

月華

文字の大きさ
上 下
15 / 52
1.開幕

王道じゃないから!

しおりを挟む
「岬同志ぃ、随分遅かったじゃん? なに、副委員長と何かあったの? ねぇ、ねぇ!?」


 なるほど、それが気になって待ってたってわけね。うわぁ、面倒くさ……。


「べ、別に……ただ僕の喋りがトロかっただけだよ。なんか、緊張しちゃって……」


 しらっとそれらしい嘘を吐く。この演技を始めて1年以上だからね、咄嗟のことにもさらりと対応できる。


「へー、ほー、ふーん? でも受け答えに時間かかったってだけであんなに長くなる!? 副委員長とフラグ立ったでしょ絶対! ねぇ、ねぇ!?!?」


 ウザさギガントMAXです。コイツ、いつか首絞めてやりたい。
 俺が唯一失敗したと思うのは、この変装かもしれない。俺は王道とか知らなかったし、自分の変装姿が王道に近いとか知らなかったからさ……こんな変な腐男子に付き纏われるようになってしまった。
 もっと普通寄りの変装にしておけばよかったのかな……なんて後悔したところで後の祭りなんだけどね! 何でもかんでもBLと俺を結び付けようとしないで欲しい。


「フラ、グとか……僕には立たないから。はは……」
「いや、転校生クンとはもう立ってるっしょ~」


 ニヤリと笑いながら俺を覗き込んむ道添。俺より10cm位は背が低いからか、少し体を曲げて覗き込むような姿勢を取られると、前髪の下を見られてしまいそうでちょっと焦る。
 てか転校生とフラグ? 立ってない立ってない! 立ってるはずがない(現実逃避)!


「転校生、岬同志の顔見てたじゃん? んで、驚きながらマジで王道じゃんとか言ってたよね?」


 げ、やっぱ顔見られてたことには気付いてたか。位置的に、道添には顔見られてないと思うんだけどな。


「……そうだったっけ?」
「へへ、誤魔化せませんぜ旦那。もう俺には分かってるんだよ、岬同志が超絶美少年だってサ☆」
「そんなことないよ」
「じゃあ顔見せて♡」
「む、無理……」


 にっこり笑いながら、じりじりと距離を詰めてくる。あの転校生、余計なことを……。道添から聞いた知識だけだけど、王道ってのは大抵が超美少年とかなんだってさ。それで元々好いていた生徒会とかもより王道に夢中になってしまうんだとか。
 思ったよね、俺ってマジで王道じゃんって(自画自賛)。流石に俺は、自分の顔の良さを理解している。じゃなきゃあんな変態達に襲われたりしないでしょ。
 コイツはマジでノーマルっぽいし、BLにしか興味がないから大丈夫だとは思うのでぶっちゃけ素顔を見せても構わない。でも、おそらく俺が美形だって分かったら今の倍以上ウザくなる予感しかしないから、やっぱり知られたくはない。ただでさえウザったいのにこれ以上俺の精神が保たない。手とか足とか出ちゃう。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

転生したら、ラスボス様が俺の婚約者だった!!

ミクリ21
BL
前世で、プレイしたことのあるRPGによく似た世界に転生したジオルド。 ゲームだったとしたら、ジオルドは所謂モブである。 ジオルドの婚約者は、このゲームのラスボスのシルビアだ。 笑顔で迫るヤンデレラスボスに、いろんな意味でドキドキしているよ。 「ジオルド、浮気したら………相手を拷問してから殺しちゃうぞ☆」

悪役令嬢の双子の兄

みるきぃ
BL
『魅惑のプリンセス』というタイトルの乙女ゲームに転生した俺。転生したのはいいけど、悪役令嬢の双子の兄だった。

病んでる愛はゲームの世界で充分です!

書鈴 夏(ショベルカー)
BL
ヤンデレゲームが好きな平凡男子高校生、田山直也。 幼馴染の一条翔に呆れられながらも、今日もゲームに勤しんでいた。 席替えで隣になった大人しい目隠れ生徒との交流を始め、周りの生徒たちから重い愛を現実でも向けられるようになってしまう。 田山の明日はどっちだ!! ヤンデレ大好き普通の男子高校生、田山直也がなんやかんやあってヤンデレ男子たちに執着される話です。 BL大賞参加作品です。よろしくお願いします。

ヤンデレ化していた幼稚園ぶりの友人に食べられました

ミルク珈琲
BL
幼稚園の頃ずっと後ろを着いてきて、泣き虫だった男の子がいた。 「優ちゃんは絶対に僕のものにする♡」 ストーリーを分かりやすくするために少しだけ変更させて頂きましたm(_ _)m ・洸sideも投稿させて頂く予定です

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

超絶美形な俺がBLゲームに転生した件

抹茶ごはん
BL
同性婚が当たり前に認められている世界観のBLゲーム、『白い薔薇は愛の象徴となり得るか』略して白薔薇の攻略対象キャラである第二王子、その婚約者でありゲームでは名前も出てこないモブキャラだったミレクシア・サンダルフォンに生まれ変わった美麗は憤怒した。 何故なら第二王子は婚約者がいながらゲームの主人公にひとめぼれし、第二王子ルートだろうが他のルートだろうが勝手に婚約破棄、ゲームの主人公にアピールしまくる恋愛モンスターになるのだ。…俺はこんなに美形なのに!! 別に第二王子のことなんて好きでもなんでもないけれど、美形ゆえにプライドが高く婚約破棄を受け入れられない本作主人公が奮闘する話。 この作品はフィクションです。実際のあらゆるものと関係ありません。

風紀“副”委員長はギリギリモブです

柚実
BL
名家の子息ばかりが集まる全寮制の男子校、鳳凰学園。 俺、佐倉伊織はその学園で風紀“副”委員長をしている。 そう、“副”だ。あくまでも“副”。 だから、ここが王道学園だろうがなんだろうが俺はモブでしかない────はずなのに! BL王道学園に入ってしまった男子高校生がモブであろうとしているのに、主要キャラ達から逃げられない話。

勇者パーティーハーレム!…の荷物番の俺の話

バナナ男さん
BL
突然異世界に召喚された普通の平凡アラサーおじさん< 山野 石郎 >改め【 イシ 】 世界を救う勇者とそれを支えし美少女戦士達の勇者パーティーの中・・俺の能力、ゼロ!あるのは訳の分からない< 覗く >という能力だけ。 これは、ちょっとしたおじさんイジメを受けながらもマイペースに旅に同行する荷物番のおじさんと、世界最強の力を持った勇者様のお話。 無気力、性格破綻勇者様 ✕ 平凡荷物番のおじさんのBLです。 不憫受けが書きたくて書いてみたのですが、少々意地悪な場面がありますので、どうかそういった表現が苦手なお方はご注意ください_○/|_ 土下座!

処理中です...