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1.開幕
救世主登場
しおりを挟む「はい、そこのキミ達ー、ちょっとストップ」
主に道添がぎゃあぎゃあ騒いでいたお陰か、遅すぎる救世主が登場した。
「君、2人を引き摺ってどこに行くのかな? 合意ー……には見えないけど」
「あぁ? 合意に決まってんだろ」
「違います違います! 岬同志は合意かもしれないけど、俺は違う!」
「え!? 僕だって違います!」
「は? 誰だコイツ。あぁ、さっきの腐男子か。ん、いいよお前は。コイツは連れてくけど」
道添の裏切りにぶん殴りたいとか、黒毬藻は道添に気付いていないとかどんだけ馬鹿力なのかとか、色々と突っ込みたいところだが、まずは。
「た、助けてください!」
頼もしい風紀委員長サマに救いを求めるのが先決。
「うん、まずは手を放そうか」
風紀委員長サマはにっこり笑いながらも、どうやっても剥がれなかった黒毬藻の手から俺の腕を解放してくれた。うん、さすが風紀の長。頼りになるね!
「剣真ぁ、何してんだよ、なんかトラブルか?」
風紀委員長の後ろから怠そうな声。お、副委員長サマもご登場だ。副委員長と目が合えば、アルビノの赤目が僅かに見開いた。
「ふむ。なんとなく状況把握。取り敢えず3人共、風紀室な」
端正な顔立ちをニヤリとニヒルに歪め、副委員長が沙汰を下す。
「はぁ? なんで風紀委員室?」
黒毬藻は反抗的だが、道添も「俺は無関係だぁ~」と喚いていた。
俺も勿論面倒ごとに関わりたくはないが、ここで抵抗して更に目立ってしまうよりはさっさとこの場から立ち去りたい。
「分かりました」
そう素直に言えば、副委員長はにっこりと笑った。美人である。
反抗的な2人にはお構いなしに、3人揃って風紀室に連行される。先頭には委員長が、俺達の後ろには副委員長が付いていて、逃げ場はないので2人も渋々歩いていた。
この学園で生徒会の次に高い地位を持つ風紀委員会。リンチや強姦が蔓延る学園において、そういったトラブル全般を取り締まる警察のような組織だ。今代の風紀委員はかなり優秀らしく、今の委員長になってから制裁関連のトラブルはかなり減ったそう。
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