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四章(2)
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【ガイアside】
「俺は絶対嫌です!!」
父様の仕事部屋の机をバンッ!と思いっきり叩き、俺は叫んだ。目線の先には、父様と母様がいる。2人とも表情が暗い。
「ガイア、私もあんな小さなリアには早すぎると思うから反対ではあるんだけれど……」
「私もそうよ。私は子供たちに、押し付けをしたくないわ。自分で選んで自分で楽しんで生きて欲しいもの。でも……」
父様と母様も俺と同じ気持ちな事に安堵したが、これは俺たちが反対しただけで解決するような話ではない。
「ハイリヒ様がご自分から希望されたとなると……反対すれば厄介な事になる」
……この国の第1王子が、俺の可愛い弟を取ろうとしている。
俺は、王宮から届いた、王のサインが付いたすごく貴重な書類を睨みつけた。そこには、こう書いてあるのだ。
『第1王子ハイリヒ・ソール・エルデントと、侯爵家の四男リア・ユークリウッドの婚約を申し込む エルデント国王 セルヴァス』
この世界では、子を産むのは女の人の役割だけでは無い。教会で特殊な魔法をかけて貰えば、子供が産めるように体が変化する。魔物に人間が滅ぼされるのを恐れて1000年程前に大魔法士が作ったものだ。現代でその魔法は聖属性に分類されるので教会で神官にかけて貰わないといけない。悪用されないように、代々神官にしか伝えられていないのだ。第三者がかけることにより、無理矢理の婚約などの犯罪防止にも繋がる。
だから、王子の婚約者が女であろうと、男であろうと関係ないのだ。
でも、こんなの、嫌だ。……俺が、俺が1番最初にリアを好きになったのに。
「もし反対なんてすれば皇室派の貴族が黙っていないだろう。……しかも、相手はハイリヒ様だ。これは、絶対命令だと思って良い」
エルデント王国第1王子ハイリヒは、天才だ。火・水・風属性の3つも属性を持つ俺でさえ貴重で凄いと持て囃されたのだが、ハイリヒは闇属性以外全て持っているらしい。闇属性は魔物しか使えないのだが、それにしても全属性7つのうち6つも持っているなんて反則すぎる。
……ハイリヒを支持する貴族が多いのにはもう1つ理由がある。
ハイリヒは、建国の英雄……初代国王エルデント1世と同じ見た目をしているのだ。滅多に生まれない水色の髪、王族の持つ金色の瞳。天才であり英雄と同じ見た目。これを期待しないほうがおかしいくらいだ。
だから、あまり反対する貴族はいない。むしろ逆な状態なのだ。
それに下の弟2人の同級生になる。初等学校は6歳からなので、俺自身、接点も増えるだろう。
「……待ってもらう事ってできないんですか」
俺は拳を握りしめて言った。
「……リアには、知らせたくないです」
リアが遠くに行ってしまうなんて嫌だ。俺のなんだ。俺の、俺の俺の俺の。
「……ガイア、大丈夫?」
母様が俺の肩を抱きしめて心配してくれるが正直大丈夫なんかじゃない。焦っていたその時だった。ドアからノックする音が聞こえた。
「……失礼します、アルドア様。ハーデスです。リア様は今お勉強をしていらっしゃるのですが、廊下が騒がしく心配なご様子でした。……何か問題でも発生したのでしょうか?入室許可をお願いします」
父様が「入って良いよ」と言うと、リアの専属執事であるハーデスが入ってきた。ハーデスは俺たちの雰囲気が悪いのを察したのか、「いかがしましたか」と手短に質問した。
「……リアに、婚約が申し込まれた」
「! ……失礼ですが、相手のお名前をお聞きしても?」
「……ハイリヒ様だ」
「!?」
ハーデスは驚愕の表情になり、その後一気に暗くなる。当然だろう。一緒にいられたのはたった2年くらいなのだが、0歳の頃から支えてきた主人がもう勝手に婚約をされるのだ。
「……ハーデス、私はリアには言わないようにしようと思っている。自由に身分も気にせず恋愛してほしいと思っているからね」
周囲の反対を押し切り、平民である母様と結婚して幸せになってみせた父様の説得力はすごく高い。ハーデスもそれに頷いたが、
「……リア様に、好みを聞いてみるのはどうでしょうか。それを先方に伝えて……」
そうアイデアを出した。それは良い考えかもしれない。かけ離れていれば、王子も少し諦めるかな。
「良いね。悟られないように、頼むよ」
「了解致しました」
「俺は絶対嫌です!!」
父様の仕事部屋の机をバンッ!と思いっきり叩き、俺は叫んだ。目線の先には、父様と母様がいる。2人とも表情が暗い。
「ガイア、私もあんな小さなリアには早すぎると思うから反対ではあるんだけれど……」
「私もそうよ。私は子供たちに、押し付けをしたくないわ。自分で選んで自分で楽しんで生きて欲しいもの。でも……」
父様と母様も俺と同じ気持ちな事に安堵したが、これは俺たちが反対しただけで解決するような話ではない。
「ハイリヒ様がご自分から希望されたとなると……反対すれば厄介な事になる」
……この国の第1王子が、俺の可愛い弟を取ろうとしている。
俺は、王宮から届いた、王のサインが付いたすごく貴重な書類を睨みつけた。そこには、こう書いてあるのだ。
『第1王子ハイリヒ・ソール・エルデントと、侯爵家の四男リア・ユークリウッドの婚約を申し込む エルデント国王 セルヴァス』
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だから、王子の婚約者が女であろうと、男であろうと関係ないのだ。
でも、こんなの、嫌だ。……俺が、俺が1番最初にリアを好きになったのに。
「もし反対なんてすれば皇室派の貴族が黙っていないだろう。……しかも、相手はハイリヒ様だ。これは、絶対命令だと思って良い」
エルデント王国第1王子ハイリヒは、天才だ。火・水・風属性の3つも属性を持つ俺でさえ貴重で凄いと持て囃されたのだが、ハイリヒは闇属性以外全て持っているらしい。闇属性は魔物しか使えないのだが、それにしても全属性7つのうち6つも持っているなんて反則すぎる。
……ハイリヒを支持する貴族が多いのにはもう1つ理由がある。
ハイリヒは、建国の英雄……初代国王エルデント1世と同じ見た目をしているのだ。滅多に生まれない水色の髪、王族の持つ金色の瞳。天才であり英雄と同じ見た目。これを期待しないほうがおかしいくらいだ。
だから、あまり反対する貴族はいない。むしろ逆な状態なのだ。
それに下の弟2人の同級生になる。初等学校は6歳からなので、俺自身、接点も増えるだろう。
「……待ってもらう事ってできないんですか」
俺は拳を握りしめて言った。
「……リアには、知らせたくないです」
リアが遠くに行ってしまうなんて嫌だ。俺のなんだ。俺の、俺の俺の俺の。
「……ガイア、大丈夫?」
母様が俺の肩を抱きしめて心配してくれるが正直大丈夫なんかじゃない。焦っていたその時だった。ドアからノックする音が聞こえた。
「……失礼します、アルドア様。ハーデスです。リア様は今お勉強をしていらっしゃるのですが、廊下が騒がしく心配なご様子でした。……何か問題でも発生したのでしょうか?入室許可をお願いします」
父様が「入って良いよ」と言うと、リアの専属執事であるハーデスが入ってきた。ハーデスは俺たちの雰囲気が悪いのを察したのか、「いかがしましたか」と手短に質問した。
「……リアに、婚約が申し込まれた」
「! ……失礼ですが、相手のお名前をお聞きしても?」
「……ハイリヒ様だ」
「!?」
ハーデスは驚愕の表情になり、その後一気に暗くなる。当然だろう。一緒にいられたのはたった2年くらいなのだが、0歳の頃から支えてきた主人がもう勝手に婚約をされるのだ。
「……ハーデス、私はリアには言わないようにしようと思っている。自由に身分も気にせず恋愛してほしいと思っているからね」
周囲の反対を押し切り、平民である母様と結婚して幸せになってみせた父様の説得力はすごく高い。ハーデスもそれに頷いたが、
「……リア様に、好みを聞いてみるのはどうでしょうか。それを先方に伝えて……」
そうアイデアを出した。それは良い考えかもしれない。かけ離れていれば、王子も少し諦めるかな。
「良いね。悟られないように、頼むよ」
「了解致しました」
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