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三章(2)
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【???side】
「……ぐっ、……うっ、あ、あぁあ……!」
力無く、意味を持たない声が口から溢れると同時に、血がぼたぼたと流れる。……その血は口からだけでなく、刃物で刺され、ぱっくり開かれた数多の傷口からも止めどなく溢れ出している。……痛い。痛い痛い痛い痛い痛い。
「……どう、っして……?回復魔法……かけてるのに……!?」
自身でかけた魔法も全く効かない。高位魔族の持つ魔剣に傷つけられたからだろうか……多分俺はこのまま死んでしまうのだろう。……あぁ、最後に、俺を刺したあの男だけは、復讐、してやりたかったなぁ……。
燃えるような痛みと、復讐心……。全て諦めて迫り来る暗闇に身を任せようとした。
……そんな時だった。俺の目の前に天使が現れたのは。
♢♢♢
「わあぁ……!」
ハーデスに連れられてやって来たのは、草木がきっちり手入れされ、見ているだけで気持ちが落ち着くような、穏やかな公園だ。ハーデスが言っていた通り、ここはとても静かだ。この公園は遊具が無いから、きっと子ども向けの公園ではないだろう。……休日はもっと人がいるらしいが、今日は平日だし、さらに今の時間、お昼時なので俺たち以外いない。
「あそんできていい?」
「ええ。あまり遠くには行かないで下さいね」
「は~い!」
ハーデスはミナが来るのを、レジャーシートを敷きながら待っているようだ。
許可が出された俺は、てってってと走って行く。砂場に行ってお城でも作ろうと思ったが、見たことがないくらい綺麗な蝶々を見つけたので追いかける。虹色の羽根なんて見た事ない。きっと珍しい種類なのだろう。捕まえてミナとハーデスに見せてあげよう。
蝶々を追いかけているうちに、結構奥の方に来てしまった。ハーデスが探しているだろう。蝶々も見失ってしまったし、早く戻ろうとした時だった。……俺が血だらけで横たわる少年を見つけたのは。
「! 大丈夫!?」
「……っ、だ、めだ……ここに….いたら、殺され……る」
辺りを見渡すがこの少年を刺した犯人は見当たらない。逃げたか。
少年は、血で汚れていたが、綺麗な水色の髪をしていた。貴族なのだろう。貴族に対して恨みを持った者に襲われたのか、体を滅多刺しにされ、高そうな服が血で汚れている。
「……どうしよう、どうしよう……!」
刃物で刺されて死んだ俺は、少年の感じている痛みが嫌でも分かる。……俺は一箇所だけだったが、この子はもっと痛いだろう。こんなに小さいのにこんな事をされるなんて……。悲しくなってしまうが、俺が何とかしなくては。
「リア様!」
「ハーデス!どうしよう!この子……!」
ハーデスが俺を見つけてくれた。ハーデスは少年を見ると、驚愕の表情をし、顔を青白くさせ、黙ってしまった。
「……ハーデス?」
「……リア様、一大事です。私は騎士を探して来ますので、絶対に目を離さないでください。ミナが戻ってくると思うので__________」
普段冷静なハーデスがこんなに焦っているのは珍しい。それほど高貴な身分の子なのだろうか。公爵とか。
「(……そうだ、俺が治癒魔法を使えれば……!)」
「……リア様!?」
ハーデスが驚いたのも無理はない。俺が魔法を使おうとしたからだ。普通なら魔法が使えるのは10歳ぐらいからだ。無謀だろうが、俺は後悔したくない。
「……なおれっ!……なおって……!」
治癒魔法というかそもそも魔法に詠唱があるのかどうかは分からないが、とりあえず祈るしかない。
少年の傷口から血が止まり、破壊された細胞が全て綺麗に再生し、血液が体に沢山流れる様子を想像する。少年の綺麗な肌に傷が残ったら大変だ。綺麗な皮膚も想像する。
俺は、ひたすら祈り続けた__________。
「……ぐっ、……うっ、あ、あぁあ……!」
力無く、意味を持たない声が口から溢れると同時に、血がぼたぼたと流れる。……その血は口からだけでなく、刃物で刺され、ぱっくり開かれた数多の傷口からも止めどなく溢れ出している。……痛い。痛い痛い痛い痛い痛い。
「……どう、っして……?回復魔法……かけてるのに……!?」
自身でかけた魔法も全く効かない。高位魔族の持つ魔剣に傷つけられたからだろうか……多分俺はこのまま死んでしまうのだろう。……あぁ、最後に、俺を刺したあの男だけは、復讐、してやりたかったなぁ……。
燃えるような痛みと、復讐心……。全て諦めて迫り来る暗闇に身を任せようとした。
……そんな時だった。俺の目の前に天使が現れたのは。
♢♢♢
「わあぁ……!」
ハーデスに連れられてやって来たのは、草木がきっちり手入れされ、見ているだけで気持ちが落ち着くような、穏やかな公園だ。ハーデスが言っていた通り、ここはとても静かだ。この公園は遊具が無いから、きっと子ども向けの公園ではないだろう。……休日はもっと人がいるらしいが、今日は平日だし、さらに今の時間、お昼時なので俺たち以外いない。
「あそんできていい?」
「ええ。あまり遠くには行かないで下さいね」
「は~い!」
ハーデスはミナが来るのを、レジャーシートを敷きながら待っているようだ。
許可が出された俺は、てってってと走って行く。砂場に行ってお城でも作ろうと思ったが、見たことがないくらい綺麗な蝶々を見つけたので追いかける。虹色の羽根なんて見た事ない。きっと珍しい種類なのだろう。捕まえてミナとハーデスに見せてあげよう。
蝶々を追いかけているうちに、結構奥の方に来てしまった。ハーデスが探しているだろう。蝶々も見失ってしまったし、早く戻ろうとした時だった。……俺が血だらけで横たわる少年を見つけたのは。
「! 大丈夫!?」
「……っ、だ、めだ……ここに….いたら、殺され……る」
辺りを見渡すがこの少年を刺した犯人は見当たらない。逃げたか。
少年は、血で汚れていたが、綺麗な水色の髪をしていた。貴族なのだろう。貴族に対して恨みを持った者に襲われたのか、体を滅多刺しにされ、高そうな服が血で汚れている。
「……どうしよう、どうしよう……!」
刃物で刺されて死んだ俺は、少年の感じている痛みが嫌でも分かる。……俺は一箇所だけだったが、この子はもっと痛いだろう。こんなに小さいのにこんな事をされるなんて……。悲しくなってしまうが、俺が何とかしなくては。
「リア様!」
「ハーデス!どうしよう!この子……!」
ハーデスが俺を見つけてくれた。ハーデスは少年を見ると、驚愕の表情をし、顔を青白くさせ、黙ってしまった。
「……ハーデス?」
「……リア様、一大事です。私は騎士を探して来ますので、絶対に目を離さないでください。ミナが戻ってくると思うので__________」
普段冷静なハーデスがこんなに焦っているのは珍しい。それほど高貴な身分の子なのだろうか。公爵とか。
「(……そうだ、俺が治癒魔法を使えれば……!)」
「……リア様!?」
ハーデスが驚いたのも無理はない。俺が魔法を使おうとしたからだ。普通なら魔法が使えるのは10歳ぐらいからだ。無謀だろうが、俺は後悔したくない。
「……なおれっ!……なおって……!」
治癒魔法というかそもそも魔法に詠唱があるのかどうかは分からないが、とりあえず祈るしかない。
少年の傷口から血が止まり、破壊された細胞が全て綺麗に再生し、血液が体に沢山流れる様子を想像する。少年の綺麗な肌に傷が残ったら大変だ。綺麗な皮膚も想像する。
俺は、ひたすら祈り続けた__________。
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