好きな人の好きな人

ぽぽ

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「美味しいご飯って本当に幸せ」

「菫さ…普段ちゃんと飯食ってる??」

「食べてるよ!カップ麺とか…スーパーのお弁当とか…」

「まじ?自分で作んないの?」

「私が作ったらなんか不味くなって、結局、食材が無駄になるからしない」

「ふうん
嫌ならしなくていいと思うけど、そのままだとお母さんも心配だろうから料理教えてやろうか?」

「えっ?!本当??
私料理まで作れたら学校でモテてしょうがないかもっ!」

「理想論はほどほどに」

「ただの冗談じゃん」


菫が拗ねた顔をすると、恭弥は軽く笑う。
夕飯が食べ終わり、すぐに片付けを再開する予定だったが満腹になってしまいソファで休憩をしていると次は眠気が襲ってくる。

ボーとしていると、恭弥が片手にタオルを持って訝しげな目で菫を見る。


「菫、風呂は入んないの?」

「後で入る…」

「じゃあ俺先に風呂入ってきていい?」

「うん、全然大丈夫~」

「そこで寝んなよ~」

「寝ないって!」


そうは言ったものの瞼はどんどんと落ちてきた。


「…れ、…みれ、…すみれ」

「…え、あっ」


瞼を開けると、頭にタオルをかぶせた恭弥の姿が映しだされる。お風呂に入ったためか恭弥をシャンプーの香りが包み込んでいた。


「いい匂い…」

「ん?まだ飯食い足りなかった?」

「違う…そういう意味じゃない…」


菫はその香りに包まれながら再び眠りに入ろうとするも、恭弥が菫の肩を揺らして起こす。


「起きろって
こんなとこで寝たら風邪ひく」

「私、体丈夫だもん…」

「油断禁物
ほら、さっさと風呂だけでも入ってこい
片付けは明日でもいいから」

「え?いいの?」

「だって今日はもうダウンしてるじゃん
はい、タオル
着替えは自分の部屋から持ってきな」

「ありがとう
お礼にぎゅーしてあげる」


菫が両腕を伸ばすと、恭弥は後ろに体を引く。


「嫌がった…」

「嫌がってねえよ
ほら、入ってきな
歩けないなら抱っこしちゃうよ?」

「抱っこしてほしい!」

「いや、冗談だから」

「つまんない」

「それつまんないって感想で合ってる?
違うんじゃない?さっさと入っておいで」

「はあい」


お風呂場に向かうと、その広さに驚く。
湯船も2人でも十分に浸かれそうだ。恭弥はここで恋人とお風呂にでも入ったことがあるのだろうか…という不埒な考えが浮かびそうになり、慌てて湯船から視線を逸らした。

菫がお風呂から上がると、恭弥は部屋にいなかった。


「あれ、恭弥くん?
寝ちゃった?」


部屋の中を見渡してみるがやっぱりいない。
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