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過去
しおりを挟むリリアナに仕えている執事のアレスカはリリアナより3歳の年上の美青年だ。
リリアナが5歳の時に、施設を支援するということで訪れた孤児院で一際オーラを持った彼に目をつけた。お得意のわがままで父親にこの人を執事にしたいと強請り今に至る。
昔からリリアナとはまるで友人のように接していて、このようにストレートに物事を言ってくるのもリリアナは慣れているがたまに傷つく。
「どうしたらいいのかしら…
キース様はきっと怒っているわ」
「素直に謝ったらどうですか?素直になれないことがお嬢様の一番の課題ですよ」
アレスカの言う通りだった。
昔からキースを前にすると、嫌われたくないという緊張からぎこちない動きや口調になってしまう。
そして、その緊張を収めるためにできるだけ距離を置いているのだが、これが周りから見ると素っ気ないやら、別に男がいると言われてしまう原因だった。
それなのに、元の性格は言いたいことは言わないと気が済まないと言う性格であるため、キースに近づこうとする令嬢たちに対して強気の態度をとってしまい、周りからはあの人とは極力関わらない方がいいと言われてしまう始末。
これを幼い時から繰り返してきた。
逆にキースに婚約破棄をされなかったことが奇跡に近いとも思える。
「あの人を前にしたら素直でいられなくなってしまうの…
でも、今回こそは頑張るわ」
リリアナは胸元で拳をぎゅっと握りしめる。
「それも毎回聞いているような気がしますが」
「余計なことは言わないでちょうだい」
後日
キースと共に同じ学園へ通うリリアナは隙を見て、キースに謝罪をしようとタイミングを伺っていた。
いつ謝りに行こうと考え込みながら、歩いていると誰かと肩がぶつかってしまった。
リリアナが持っていた教科書がバサバサと音を立てて床に落ちる。
「キャッ」
「ごめんなさい!私ったらちゃんと前を見ていなかったわ」
リリアナは肩をぶつけてしまった相手の方見て謝罪をする。
「いえ、こちらこそ申し訳ございませんでした」
「……い、いいのよ
私が悪かったのだから」
リリアナは目の前の美女を見て衝撃が走る。
(なんて美女なの…)
同性でありながら見惚れてしまいそうな容姿。
艶やかな金色の髪、アーモンド型の大きな目、下唇に少し厚みがあり色っぽさを引き立てている。
リリアナは動揺を誤魔化すために、床に落ちた教科書を拾っていく。
すると、ぶつかった相手もリリアナの教科書を拾い出す。
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