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公開告白
しおりを挟むだが、樹は呆れたような目で俺を見てくる。
「俺はもうわかってるけど、けんちゃん絶対何か勘違いしてるから。信用なんない
だから好きな人言うのもやめた、なんてたってこいつもいるし」
「はあ?!俺の名推理をあてにしてないのかよ!!」
「うん、全然あてになんない」
「いいから好きな人言えよ~!!」
見たい、俺はどうしても見たい。お前らのイチャイチャラブラブを。誰にも言わないから、秘密にしてやるから。
「じゃあ、大和だけでも好きな人俺に教えてくれ!な?」
「お前、大人な癖して恋バナとかに食いつきすぎ。飢えてんの??」
「え、大和まで教えてくれないのかよ!!
仕方ないな、お前らが言わないなら俺の好きな人教えてやるから」
「「は??」」
そう言う恋バナの雰囲気というものが足りないと感じ、俺はしかたなーく自分の好きな人の話をしてやることにした。
2人の声がピッタリと合わさる。
このお似合いカップルめ。
「けんちゃんに好きな人なんていないでしょ
なに言ってんの??」
「健太、頭沸いた??」
2人は俺を馬鹿にしたような笑みを浮かべている。許せねえ!俺の恋愛の自由まで奪いやがって!!
「何だよ、俺に好きな人がいることがそんなにおかしいのかよ…」
「……まさか本当にいるの?」
「おう、だからさっきから言ってるだろ
好きな人がいるって
ツーショットの写真あるから見せてやるよ」
「「………」」
「なんだよ、2人していきなり黙って
そんなに興味ない?俺の好きな人」
俺はポケットから携帯を取り出し、アルバムからその写真を選択する。
「見ろ、俺の好きな人!!」
2人の目の前に俺の携帯画面を見せる。
「見ろよ、これ!感想聞かせろ!
どうだ?俺の好きな人とのツーショットは!!」
「くだらな
俺寝るわ」
携帯画面に映したのは、俺の好きなグラビアイドルと俺のツーショット。
このグラビアアイドルの等身大パネルを街中でたまたま見つけて友達に撮ってもらった時の写真だ。
写真の中の俺は本物の彼女と一緒にいるかのように幸せそうに笑顔を浮かべている。
大和は呆れた様子で椅子から立ち上がるとベッドへと向かってしまった。
「え!ちょっと大和!!
俺の恋バナは?!樹!樹は優しいから聞いてくれるよな??」
今にもその場を去ろうとする樹のブレザーの袖を掴む。
「知ーらない
俺、そんな暇じゃないから」
樹は俺の弁当箱の蓋を開けて、指で卵焼きをつかむと、口に運んでそのまま保健室から出て行ってしまった。
「おい!樹
俺の恋バナの行方は?!その調子でお前らの好きな人も聞かせてくれるんだろ??なあ!!」
そして、今日のアシストも失敗に終わった。
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