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第2章 魔王様バイトをはじめる
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「今日は碓氷君これからだよね。早速仕事を見学して行くかい?」
「はい!」
俺がぼーっとしている間に、話が進んでいた。
「制服の予備あったかな……あ、よしよし、じゃあ店内にいる間はコレを着てね」
店長は物で溢れたロッカーの中から、紙袋を引っ張り出すと、制服と研修中のバッジをマオに手渡した。
「ありがとうございます」
そろそろ時間だ。俺も鞄から制服を取り出すと、シャツの上に羽織ってボタンを留めた。
「おー、即採用か! 流石良い男は何着ても似合うじゃねえか」
売り場に戻ると、高橋さんがこちらを見て笑った。
「今日は見学です。俺の方で面倒見ますんで、宜しくお願いします」
「宜しくお願い致します」
マオはペコリと頭を下げる。人間界の礼儀作法も少しずつ身に付いてきたようだ。
「まー、最近は電子マネーやら、うんたらポイントだチャージだって色々やることが増えたが、レジ回りさえ覚えちまえば、後はなんとかなるだろうよ」
「そうですね……」
まどろみの仕事に比べると、覚える事も多く、スピードも要求される。
人間レベル1のマオにコンビニの仕事は少々過酷かもしれない。
「頑張ります」
マオは真剣な表情で胸を張った。
「ははは、分かんない事があったら、何でも聞けよ!」
その後、俺はいつも通り仕事をこなしながら、マオに一つ一つやり方を説明していった。
やはりレジの操作説明中は眉間にシワを寄せていたマオだったが、納品後に品出しを手伝わせた際は、初めて見る食べ物や道具に目を輝かせていた。
そして、たまに来店する女性客の多くもマオに目を輝かせていた。
(客寄せ効果も期待しての採用だったりしてな……)
だとすると、店長もさすが抜け目ない。
夕方まではそんな感じで、マオの質問攻めに合いながらも順調に過ぎていった。
しかし、16時半過ぎになって俺の携帯が鳴った。保育園からだ。何故だか少し胸騒ぎがする。
保育園から呼び出しがかかるのは大抵双子のどちらかが熱を出した時だが、時間的にもいつもとは様子が違う気がした。
「ちょっとすいません、保育園からで……」
「おお、行っといで!」
俺は売り場を高橋さんに任せて、バックヤードに入ると通話ボタンを押した。
「はい、碓氷です」
「碓氷さん、大変申し訳ありません! そら君が……お外で遊んでいて少し目を離した隙に、ジャングルジムの上から落ちてしまって……」
「え!?」
思わず大声を上げてしまい、発注作業をしていた店長が驚いた顔で振り返った。
「そらは……大丈夫なんですか!?」
携帯を持つ手が、少し震えてしまう。
「意識はあります。目立った怪我も無さそうですが、心配なので救急車を呼んだところです!」
「すぐ行きます!!」
シフトは後一時間ちょっと残っていたものの、俺は店長に事情を話して早退させてもらう事になった。
「それは心配だね。すぐに行ってあげて!」
「ありがとうございます!」
制服を脱いで荷物を抱えると、売り場に戻って二人にも状況を説明した。
「こっちは大丈夫だから、早く行ってやんな! でも、あんまり慌てすぎんなよ!」
「はい! ご迷惑お掛けします!」
店の外に出ると、後ろからマオがついて来た。
「悪いけど、高橋さんの言う事を良く聞いて待っててくれ!」
「ああ、それより急いでいるのだろう?」
マオは周囲を見回すと、俺に向かって手を伸ばした。
俺はすぐに彼の意図を理解し、保育園をイメージして目をつぶった。
すぐに身体が軽くなる。
「はい!」
俺がぼーっとしている間に、話が進んでいた。
「制服の予備あったかな……あ、よしよし、じゃあ店内にいる間はコレを着てね」
店長は物で溢れたロッカーの中から、紙袋を引っ張り出すと、制服と研修中のバッジをマオに手渡した。
「ありがとうございます」
そろそろ時間だ。俺も鞄から制服を取り出すと、シャツの上に羽織ってボタンを留めた。
「おー、即採用か! 流石良い男は何着ても似合うじゃねえか」
売り場に戻ると、高橋さんがこちらを見て笑った。
「今日は見学です。俺の方で面倒見ますんで、宜しくお願いします」
「宜しくお願い致します」
マオはペコリと頭を下げる。人間界の礼儀作法も少しずつ身に付いてきたようだ。
「まー、最近は電子マネーやら、うんたらポイントだチャージだって色々やることが増えたが、レジ回りさえ覚えちまえば、後はなんとかなるだろうよ」
「そうですね……」
まどろみの仕事に比べると、覚える事も多く、スピードも要求される。
人間レベル1のマオにコンビニの仕事は少々過酷かもしれない。
「頑張ります」
マオは真剣な表情で胸を張った。
「ははは、分かんない事があったら、何でも聞けよ!」
その後、俺はいつも通り仕事をこなしながら、マオに一つ一つやり方を説明していった。
やはりレジの操作説明中は眉間にシワを寄せていたマオだったが、納品後に品出しを手伝わせた際は、初めて見る食べ物や道具に目を輝かせていた。
そして、たまに来店する女性客の多くもマオに目を輝かせていた。
(客寄せ効果も期待しての採用だったりしてな……)
だとすると、店長もさすが抜け目ない。
夕方まではそんな感じで、マオの質問攻めに合いながらも順調に過ぎていった。
しかし、16時半過ぎになって俺の携帯が鳴った。保育園からだ。何故だか少し胸騒ぎがする。
保育園から呼び出しがかかるのは大抵双子のどちらかが熱を出した時だが、時間的にもいつもとは様子が違う気がした。
「ちょっとすいません、保育園からで……」
「おお、行っといで!」
俺は売り場を高橋さんに任せて、バックヤードに入ると通話ボタンを押した。
「はい、碓氷です」
「碓氷さん、大変申し訳ありません! そら君が……お外で遊んでいて少し目を離した隙に、ジャングルジムの上から落ちてしまって……」
「え!?」
思わず大声を上げてしまい、発注作業をしていた店長が驚いた顔で振り返った。
「そらは……大丈夫なんですか!?」
携帯を持つ手が、少し震えてしまう。
「意識はあります。目立った怪我も無さそうですが、心配なので救急車を呼んだところです!」
「すぐ行きます!!」
シフトは後一時間ちょっと残っていたものの、俺は店長に事情を話して早退させてもらう事になった。
「それは心配だね。すぐに行ってあげて!」
「ありがとうございます!」
制服を脱いで荷物を抱えると、売り場に戻って二人にも状況を説明した。
「こっちは大丈夫だから、早く行ってやんな! でも、あんまり慌てすぎんなよ!」
「はい! ご迷惑お掛けします!」
店の外に出ると、後ろからマオがついて来た。
「悪いけど、高橋さんの言う事を良く聞いて待っててくれ!」
「ああ、それより急いでいるのだろう?」
マオは周囲を見回すと、俺に向かって手を伸ばした。
俺はすぐに彼の意図を理解し、保育園をイメージして目をつぶった。
すぐに身体が軽くなる。
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