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第2章 お稲荷様とふわふわスフレ

14.パンへの情熱

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 すると彼は、突然私の目の前でくるりと回転し、白煙と共に頭から耳の生えた妖狐の姿に変身した。というか、これが本来の姿なのだろう。髪も耳の毛も真っ白だった。
 こむぎは真白の変身を見て、手を叩いてはしゃいでいる。

『白狐か、豊月程ではないが高い霊力を持っておるな。人に化けた姿も見事であった』

『恐れ入ります。変化は幼い頃から得意でしたので、此度私が人間界に潜伏する任を授かりました。皆様とは変化を解いた真の姿でお話しした方が良いかと思いまして……』

 そう言うと真白は我々に着席を促した。

『でも何でパン屋さんを?』

 コーヒーを一口いただきながら、私は質問する。

『何か商売をしていた方が、自然に人間社会に溶け込めますので……。売り物をパンにしたのは、個人的に好きな食べ物だったからです。発酵という工程がある事が、他の食品とは大きく異なるんですよね! 試行錯誤を重ねる度、まるで生き物の様に様々な顔を見せてくれるんです!』

 結構本気の人だった。真白は興奮気味にパンについて熱く語り出す。

(なんか今日はこういう人にばかり縁があるな……)

 確かにパンは美味しかったが、長くなりそうだったので、私は話を本題に戻した。

『それで、この子の親の事は何か分かりましたでしょうか……?』

『ああ! 申し訳ありません、この辺りに棲む妖狐についてですが……』

 真白は落ち着きを取り戻し、椅子に座り直すと調査結果について話し始めた。
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