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第2章 お稲荷様とふわふわスフレ

7.店内へ

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『此奴の姿は普通の人間には見えん。静かにするのじゃ。詳しい事は、また改めて説明してやろう』

 まあ、神様も含めて周りの人には見えていないのだが。

『わ、分かりました師匠! また後程……! 後でお家に伺って宜しいですか護堂先生!?』

『う、うん……』

『ありがとうございます!!』

 相変わらず、妖怪の事となると凄い勢いだ。私の返事を聞くと、彼は一段と嬉しそうな笑顔で、こむぎに手を振りながら去って行った。

『なんで正直に言っちゃったんですか、こむぎの事……!』

 奏汰がアーケードの先まで行った辺りで、私は神様を睨みつけた。

『神として少年に嘘を付く訳にはいくまい。お前さんこそ、教師として生徒に対して嘘を付くなんて恥ずかしくないのか?』

『そ、それとこれとは……!』

 駄目だ駄目だ。この論点すり替え言い訳チャンピオンを相手に店先で言い争いをしていて、また知り合いにでも見られたら敵わない。

『……まあいいです。後でちゃんと上手く説明して下さいね。じゃあ、とりあえず豊月さんの部下を探しに店に入りましょう』

 店内では5、6人のお客さんがパンを選んだり、レジに並んだりしていた。
 相変わらず女性客が多い。ざっと見渡したが、当然狐らしい姿の人は居なかった。先週話した若い店主は、忙しそうにレジを打っている。

(此処でぼーっとしている訳にもいかないし、折角だからパンも買って行こう)

 棚を見回すと、今日はまだ何種類かパンが残っているのが確認出来た。
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