護堂先生と神様のごはん あやかし子狐と三日月オムライス

第2章 お稲荷様とふわふわスフレ

6.師匠

　奏汰は神様の事を「師匠」と呼ぶようになっていた。
　彼は我が家にも遊びに来た事があり、その時に彼にも神様達の姿が見えると発覚したのだが、神様が神様である事や、シュンが座敷童子である事をまだ知らないでいた。

　今でこそ、彼なら信じてくれそうな気もするが、当時はこんな奇妙な存在をどう説明したら良いか分からなかったのだ。そこで、神様は家に居候している、やたら妖怪に詳しい変わった友人、シュンは親戚の子どもを預かっているという設定になっていた。

　奏汰は妖怪達の出てくる或る小説シリーズが熱狂的に好きで、そういった怪奇現象の類にミーハーな一面があった。そんな事情もあり、怪異に詳しい神様が、彼の中でいつの間にか師匠という座に収まっていたのだ。

　という訳で、こむぎの事もどう説明したら良いやら悩ましかった。どうしたって耳と尻尾の説明がつかないからだ。
　幼児の間で狐のキャラが流行っていて、コスプレしてますという訳にもいかないだろう。動くし。

『おお奏汰。いや、妖狐の子どもを拾っての』

（早速バラすな！！）

　神様は、私の長きに渡る思案を他所に、あっさりと発表した。

『ええー！？　妖狐って狐の妖怪ですよね！？　ど、どういう事ですか師匠！』

　案の定、普段は穏やかな奏汰が一気に興奮してしまった。そんな奏汰の様子に、神様はそっと人差し指を口元に当てると、ニヤリと笑いながら言った。