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第1章 迷子の子狐とたまごサンド

21.昼食の準備

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『な、夏也それ何!?』

 知らない妖気を感じたからか、玄関に入るなりシュンが駆け寄って来た。

『パン買いに行ったんじゃなかったの?』

『そのつもりだったんだけど……』

 私の腕からはみ出した、こんがりと焼けたパンのような色をした尻尾を、シュンは不思議そうに見つめている。

 私はシュンに事情を説明しながら、居間の座布団の上に子狐を横たえてタオルケットを掛けた。子狐は起き出す事もなく、小さな寝息を立てている。

『それじゃ、親が見つかるまでうちで預かるの?』

『こんなに小さな子を、一人で外に放り出す訳にはいかないからね……』

『飯じゃ飯じゃ~!』

『はいはい……』

 やっと畳に座ったと思ったら、お腹を空かせた神様に後ろからせっつかれた。狐の子より余程手のかかる神だ。

 確かに大分寄り道をしたので、時間はもう13時過ぎになっていた。色々な事があり過ぎて麻痺していたが、私もすっかり腹が減っていた事に気が付く。

『悪いけど、ちょっとその子の様子見てて貰えるかな? 昼食準備しちゃうから』

『分かった!』

 私は苦笑しながらシュンに頼むと、台所へ向かった。さっきの恨みを忘れた訳ではないが、子狐にも何か食べさせた方が良いかもしれない。

(たまごサンド二つじゃ、全然足りないもんな……。パンに合う簡単なスープでも作ろう)

 私は叔父の手帳をポケットから引っ張り出した。
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