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第二章 財政対策

第八話

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 しばらく歩いた徹也と穏恵は、真未がいるはずの工房に来ていた。真未と話す為である。

 徹也と穏恵は工房の扉を開けて中に入る。するとその中では、多くの職人が作業をしていた。

「す、すごいな……」

「う、うん……」

 その作業風景に、徹也と穏恵は圧倒された。これが職人達の技か、と感じたのである。

「……あんたら、誰だ?」

 徹也と穏恵がそんな職人たちに見入っていると、一人の職人が徹也と穏恵に話しかけてきた。その言葉に対して、穏恵はすぐに徹也の後ろに隠れ、徹也が言葉を返す。

「す、すいません。自分は才無佐徹也です。こっちは、土屋穏恵。真未を探しているんですけど……」

「真未?……ああ。双見のことか。双見なら、奥で設計図を書いてるぞ。あんたら、双見の友達か?」

「あ、はい。そうです」

「そうか。案内してやる。着いてこい」

 その職人はそう言うと、奥に向かって歩き始めた。徹也と穏恵は慌ててその職人の後を追う。

 少し歩くと、徹也達の前に扉が現れる。その扉の前でその職人は足を止めて、徹也と穏恵の方を向いた。

「……ここだ。この中に、双見がいるぞ」

「案内してもらってすいません。ありがとうございます」

 そう言った職人に、徹也は頭を下げて礼を言う。穏恵もまた、礼を言うことはなかったが、徹也の後ろに隠れたまま頭を下げた。

 そんな徹也と穏恵を見た職人は、手を上げて徹也と穏恵の前から去って行った。その職人を見送った後、徹也は扉に手をかける。そして、その扉を押した。

 扉を開いたその中には、一人の少女が椅子に座って何かを書いていた。徹也はその後ろ姿を見て、後ろからこう声をかけた。

「……真未?」

 徹也に声をかけられた金髪ポニーテールの少女、双見ふたみ真未まみは徹也の声に気付き、徹也の方に顔を向けた。

「あれ?徹也じゃん。何?どったの?穏恵もいるし」

 真未は徹也と穏恵に向かって何故来たのかを問いかけた。徹也と穏恵がここに来る理由が分からなかったからだ。

「久しぶりだな。真未。実は、頼みたいことがあるんだ」

「へ?徹也がアタシに?珍しいじゃん。いつも、頼み事とかしないのに。で?何を頼みたいの?」

「廃れた村に、新しい建物を作って欲しい。あのままじゃ、問題がありすぎる。金もかけられないから、こうして頼んでるんだ」

「ふーん……。なるほどねぇ……」

 徹也の説明に、真未はそう言って少し考える素振りを見せた。そしてそれから、徹也に答えを返す。

「徹也の頼みだし、やるのはやってあげる。これから生活していく世界のことだし。でも、何の対価もなしにっていうのは、ねえ?」

「……何をすれば、力を貸してくれるんだ?」

 真未の言うことはもっともであると、徹也は思った。だからこそ、徹也は真未に問うたのだ。どのような対価が欲しいのか、と。

「そうねぇ……。じゃあ、アタシとデートして?」

「……は?」

「ま、真未ちゃん!?」

 真未の言葉に対して徹也は呆気にとられ、今まで黙っていた穏恵が真未に向かって声を上げた。そんな穏恵の声に、真未はこう返す。

「どうしたの穏恵?アタシと徹也がデートしても、何の問題もないでしょ?」

「そ、そうだけど……。でも……」

「……分かった。要するに、二人で出かければいいのか?」

「そ。いいでしょ?」

「ああ。それで力を貸してくれるならな」

 徹也のその言葉に、真未は口角を上げて穏恵は眉を潜めた。真未は徹也と出かけられることが嬉しくて、穏恵は複雑な思いだったからだ。

「オッケー!じゃあ、今度の休みに行こっか!あー楽しみ!」

「決まりだな。じゃあ、俺はここで」

「ん。またね~」

 徹也はそう真未に別れを告げて、この部屋の扉を開けた。そして徹也は、穏恵を連れて部屋から出ていった。
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