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第二章

18.決断のスライム

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「それで……ティナもメンバーに加えたいんだけど、良いかな?」

 答えは決まってるけど、一応ってやつだね!

『おっけおっけー!』

 ――ぽいい~ん♪

「は、はい……!」

「問題無い」

 二人(と一匹)の返事を聞いて、クリスはホッとしたみたいだ。
 仲良しの子を仲間外れにするなんて、そんな意地の悪い人はいないよぉ。

「良かった! 合流はまだ先になるだろうと思って何も説明していなかったから、ちょっと不安だったんだ」

「あら、すぐに追いかけますと言いましたのに」

「ティナはそう言ってたけど、おじさんの剣幕けんまくを見たら……ねぇ? 私ももっとかかると思ってたよ」

「いや、俺はこんなもんだと思ってた。こいつ、見た目よりしたたかだぜ」

「うふふ♪」

 特に否定はせず、か……中々のやり手だね?!

「お前、クラスは何だ」

「まだ言っていませんでしたね、修道士クレリックですわ。」

 回復や補助の魔法が使えるクラスだね!
 クレリックは武闘派の人もいるクラスだけど、ティナは戦わない方かな?
 モンスターを殴ったりしなさそうな感じだもんねぇ。

「なるほど。バランスの良いパーティーだな」

「だろ? 小さい頃から皆で冒険者ごっこをしたものさ」

 小さいクリス達の冒険者ごっこ……和むなぁ~。
 きっと冒険に憧れてたんだろうね。

「そんで、あとは前衛の火力職がいれば一番なんだがな」

「今は将来有望なフェリ君がいるじゃない! ねっ!」

「が……がんばり、ますっ!」

「あら、あの黒いスライムさん……ニイムちゃんって、強いんですの?」

 ん、ボク? 強くないよ!
 フェリってば、テイマーなのに従魔のボクより強くなってきてるもんね!
 ボクはマスコットキャラですのでー。

「いや、従魔の力じゃなくてフェリ自身がすごいんだ。つい数日前から双剣を使い始めたんだけど、もう基礎が出来てきててさ。努力家っていうのもあるけど、すごい才能だと思うよ!」

「まあまあ! まだお若いのに強いのですね!」

「い、いえ……みんなが、たくさん教えてくれる、ので……それで……」

 みんなに褒められて、嬉し恥ずかしテレテレのフェリちゃん。
 んふふ、お父さんであるボクも鼻が高いよ!

「それでは冒険の準備は万端ですわね! 明日から楽しみですわ~♪」

「いよっし、んじゃ今から飲みに行こうぜ! ファスールダンジョンの中ボス撃破と、ついでにティナが追いついた記念ってことでよ」

「まあっ! 中ボスのお話、聞きたいですわ!」

 ついで扱いされても全く怒らないねぇ、ティナは。

「歓迎会は俺も賛成だ。でも明日もダンジョンに行くんだから、あんまり飲みすぎないようにな?」

「わーってるって! ほれ、お前達も行こうぜ」

 シーロはアインとフェリを促し、夜の町に繰り出そうとしている。
 ボクは楽しそうなみんなを眺めながら、とある事を真剣に考えていた。

 歓迎会が始まっても、ずっと……たくさん、考えていた。



***



「わざわざ外に連れ出して……話とは何だ」

『んーとね、ちょっと相談? みたいな?』

 クリス達が寝静まった後、ボクはアインと宿の裏庭に出た。
 話を聞かれないよう念のため、ってやつね。

『前、お前の本当の望みは何だーって言ってたでしょ?』

「ああ、そんなことを言ったな」

 進化する前、強くなりたいって言ったボクにアインが尋ねた言葉だ。

『あれから考えたんだけどね、やっぱり……色んなものを見て周りたいなー、って』

 景色だったり人だったりモンスターだったり。
 とにかく、この世界のものをたくさん見てみたい。

「今のパーティーはどうするんだ?」

『ちょっと……いや、ものすごく悩んだけどね……抜けようかなって思ってる』
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