49 / 58
第二章
12.スライムの想い
しおりを挟む
えっ、普通はブラックスライムの間しか収納は使えないの?
クリスは勉強家だから、モンスターにもわりと詳しいんだよね。
クリスが知らないって言うんなら、ホントに使えないのかもしれない……。
「コイツは規格外だからな。普通のモンスターの常識は当てはまらんぞ」
『ちょっとアイン! それ、褒めてるの? 貶《けな》してるの?』
――ぽいんっぽいんっ!
「事実を言ったまでだ」
んもー、それならもうちょっとカッコ良く言ってよね!
スーパーウルトラすごいスライムだから特別に使えるんだー、とかさ!
「ねぇ、ニイムちゃんってそんなに変わってるの?」
「傷治したりモンスター食ったり、まぁ普通じゃねえわな」
「言われてみればそうか……。食べるのはまだしも、スライムの細胞で傷を治すなんていうのは初耳だったしな」
おや、そういえばそうか。
聞けば何でもリーリオが教えてくれるから深く考えなかったけど、ボクも聞いたことないスキル名だ。
『まー世界で唯一のニイムちゃんですし~? 特別でサイコーなボクですし~?』
「あはは……」
「……」
『その通りですニイムさん~♪ える・おー・ぶい・いー! に・い・むっ!』
ダメだ。
ボクの声が聞こえるメンバー、ツッコミ不在だった。
とりあえずリーリオ。君はまた後でね。
ボクのボケはスルーされたまま、話は進んでいく。
「ところでよ。進化っつっても、次はどんなスライムになるんだ?」
「スライムの進化っていっぱいあるからなぁ……俺も全部は覚えてないよ」
「ニイムちゃんスゴイし、いっそスライムじゃなくなったりして!」
「オメーなぁ……」
シーロは呆れ顔だけど、セシリアの言うことも有り得なくはない? かも……。
だってボクだし……。
「ニイムは、こうなりたい……とか、あるの?」
『うーん、強くなりたいなぁとは思ってるけど、具体的にこうっていうのは無いかな~?』
そもそも、強くなりたい理由もそんな大したものじゃないしね。
死にたくないとか、フェリ達を守りたいとか、そういう普通の理由。
だから力さえあれば、形は何でも良いんだ~。
「……それは、本当の望みか?」
『え?』
「本当に強くなりたいと思っているのなら、具体的に考えるのが普通だろう。お前の本当の望みは他にあるんじゃないのか」
……。
そう、なのかな……。
アインに言われて気づいた。
確かに「強くなれたらいいな~」とは思ってるけど、絶対に何が何でもっていう強い意思があるわけじゃないもんね……。
でも、他に何かあったっけ……?
最初一人で居た頃は、とにかくスライム生を楽しみたいと思ってたんだよね。
だってそのために転生までしたんだもん!
今も、楽しんでるとは思うよ?
フェリやクリス達と一緒にいるのは楽しいし、レベル上げたりダンジョンに潜るのも楽しい。
でも、これがボクのやりたかったスライム生なのかっていうと……どうなんだろう。
『前のボク』だったら、何て言うかな……?
「オメー、スライム相手によくそんなクソマジメなこと言えんなぁ」
「……古い仲だからな」
「スライムと古い仲ってだけでも十分変わってら」
「んもー、シーロってば、またそういう言い方する~! ごめんね、アイン」
「なんでオメーが謝るんだよ」
「あんたが謝らないからでしょっ!」
……ふふっ、みんなと一緒にいると楽しいってのは間違い無いね!
そうだ、ボクはみんなと離れたくない。
前のボクが考えてたことは思い出せないけど……今はこの想いだけでも良いよね!
クリスは勉強家だから、モンスターにもわりと詳しいんだよね。
クリスが知らないって言うんなら、ホントに使えないのかもしれない……。
「コイツは規格外だからな。普通のモンスターの常識は当てはまらんぞ」
『ちょっとアイン! それ、褒めてるの? 貶《けな》してるの?』
――ぽいんっぽいんっ!
「事実を言ったまでだ」
んもー、それならもうちょっとカッコ良く言ってよね!
スーパーウルトラすごいスライムだから特別に使えるんだー、とかさ!
「ねぇ、ニイムちゃんってそんなに変わってるの?」
「傷治したりモンスター食ったり、まぁ普通じゃねえわな」
「言われてみればそうか……。食べるのはまだしも、スライムの細胞で傷を治すなんていうのは初耳だったしな」
おや、そういえばそうか。
聞けば何でもリーリオが教えてくれるから深く考えなかったけど、ボクも聞いたことないスキル名だ。
『まー世界で唯一のニイムちゃんですし~? 特別でサイコーなボクですし~?』
「あはは……」
「……」
『その通りですニイムさん~♪ える・おー・ぶい・いー! に・い・むっ!』
ダメだ。
ボクの声が聞こえるメンバー、ツッコミ不在だった。
とりあえずリーリオ。君はまた後でね。
ボクのボケはスルーされたまま、話は進んでいく。
「ところでよ。進化っつっても、次はどんなスライムになるんだ?」
「スライムの進化っていっぱいあるからなぁ……俺も全部は覚えてないよ」
「ニイムちゃんスゴイし、いっそスライムじゃなくなったりして!」
「オメーなぁ……」
シーロは呆れ顔だけど、セシリアの言うことも有り得なくはない? かも……。
だってボクだし……。
「ニイムは、こうなりたい……とか、あるの?」
『うーん、強くなりたいなぁとは思ってるけど、具体的にこうっていうのは無いかな~?』
そもそも、強くなりたい理由もそんな大したものじゃないしね。
死にたくないとか、フェリ達を守りたいとか、そういう普通の理由。
だから力さえあれば、形は何でも良いんだ~。
「……それは、本当の望みか?」
『え?』
「本当に強くなりたいと思っているのなら、具体的に考えるのが普通だろう。お前の本当の望みは他にあるんじゃないのか」
……。
そう、なのかな……。
アインに言われて気づいた。
確かに「強くなれたらいいな~」とは思ってるけど、絶対に何が何でもっていう強い意思があるわけじゃないもんね……。
でも、他に何かあったっけ……?
最初一人で居た頃は、とにかくスライム生を楽しみたいと思ってたんだよね。
だってそのために転生までしたんだもん!
今も、楽しんでるとは思うよ?
フェリやクリス達と一緒にいるのは楽しいし、レベル上げたりダンジョンに潜るのも楽しい。
でも、これがボクのやりたかったスライム生なのかっていうと……どうなんだろう。
『前のボク』だったら、何て言うかな……?
「オメー、スライム相手によくそんなクソマジメなこと言えんなぁ」
「……古い仲だからな」
「スライムと古い仲ってだけでも十分変わってら」
「んもー、シーロってば、またそういう言い方する~! ごめんね、アイン」
「なんでオメーが謝るんだよ」
「あんたが謝らないからでしょっ!」
……ふふっ、みんなと一緒にいると楽しいってのは間違い無いね!
そうだ、ボクはみんなと離れたくない。
前のボクが考えてたことは思い出せないけど……今はこの想いだけでも良いよね!
0
お気に入りに追加
136
あなたにおすすめの小説
婚約破棄され逃げ出した転生令嬢は、最強の安住の地を夢見る
拓海のり
ファンタジー
階段から落ちて死んだ私は、神様に【救急箱】を貰って異世界に転生したけれど、前世の記憶を思い出したのが婚約破棄の現場で、私が断罪される方だった。
頼みのギフト【救急箱】から出て来るのは、使うのを躊躇うような怖い物が沢山。出会う人々はみんな訳ありで兵士に追われているし、こんな世界で私は生きて行けるのだろうか。
破滅型の転生令嬢、腹黒陰謀型の年下少年、腕の立つ元冒険者の護衛騎士、ほんわり癒し系聖女、魔獣使いの半魔、暗部一族の騎士。転生令嬢と訳ありな皆さん。
ゆるゆる異世界ファンタジー、ご都合主義満載です。
タイトル色々いじっています。他サイトにも投稿しています。
完結しました。ありがとうございました。
婚約破棄は誰が為の
瀬織董李
ファンタジー
学園の卒業パーティーで起こった婚約破棄。
宣言した王太子は気付いていなかった。
この婚約破棄を誰よりも望んでいたのが、目の前の令嬢であることを……
10話程度の予定。1話約千文字です
10/9日HOTランキング5位
10/10HOTランキング1位になりました!
ありがとうございます!!
追放された引きこもり聖女は女神様の加護で快適な旅を満喫中
四馬㋟
ファンタジー
幸福をもたらす聖女として民に崇められ、何不自由のない暮らしを送るアネーシャ。19歳になった年、本物の聖女が現れたという理由で神殿を追い出されてしまう。しかし月の女神の姿を見、声を聞くことができるアネーシャは、正真正銘本物の聖女で――孤児院育ちゆえに頼るあてもなく、途方に暮れるアネーシャに、女神は告げる。『大丈夫大丈夫、あたしがついてるから』「……軽っ」かくして、女二人のぶらり旅……もとい巡礼の旅が始まる。
積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!
ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。
悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
転生してチートを手に入れました!!生まれた時から精霊王に囲まれてます…やだ
如月花恋
ファンタジー
…目の前がめっちゃ明るくなったと思ったら今度は…真っ白?
「え~…大丈夫?」
…大丈夫じゃないです
というかあなた誰?
「神。ごめんね~?合コンしてたら死んじゃってた~」
…合…コン
私の死因…神様の合コン…
…かない
「てことで…好きな所に転生していいよ!!」
好きな所…転生
じゃ異世界で
「異世界ってそんな子供みたいな…」
子供だし
小2
「まっいっか。分かった。知り合いのところ送るね」
よろです
魔法使えるところがいいな
「更に注文!?」
…神様のせいで死んだのに…
「あぁ!!分かりました!!」
やたね
「君…結構策士だな」
そう?
作戦とかは楽しいけど…
「う~ん…だったらあそこでも大丈夫かな。ちょうど人が足りないって言ってたし」
…あそこ?
「…うん。君ならやれるよ。頑張って」
…んな他人事みたいな…
「あ。爵位は結構高めだからね」
しゃくい…?
「じゃ!!」
え?
ちょ…しゃくいの説明ぃぃぃぃ!!
侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました
下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。
ご都合主義のSS。
お父様、キャラチェンジが激しくないですか。
小説家になろう様でも投稿しています。
突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!
最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である
megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる