楽しいスライム生活 ~お気楽スライムはスライム生を謳歌したい~

杜本

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第二章

2.狙われたスライム

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「いくらだ?」

「えっ……」

 この人、ボクを買おうとしてる?!
 じゃあゴロツキ商人の追手じゃないのかな。あいつらの手先なら「俺達が先に拾ったんだ」とか「俺たちのもんなんだから貰っていくぜ」とか言いそうだもんね。

 というか、売らないでぇ~フェリ~!

「あの……ニイムは、売れません」

 よっしゃー、信じてたよフェリちゃん!

「何故だ。従魔なら他でも良いだろう。何なら捕まえる手伝いをしてやる」

「い、いえ……ニイムは大切な……友達、なので……」

「……友、達……?」

 むむっ、いぶかしげ~な視線を感じるぞ。
 いいじゃないか、スライムと友達でも!

『言っとくけど、フェリにはちゃんと人間の仲間もいるんだからね! クリスとシーロとセシリアっていう仲間がいるんだからっ!』

――もいんっもいんっ!

 フェリが可哀想な子認定されちゃたまらないよ!
 って言っても、聞こえてないから意味無いんだけどー!

「……分かった。また来る」

 ――ぺいっ、ぽいーんぽいんぽいん

 えー、また来るのぉ~? もう来ないでよぉ。
 っていうか今投げたよね?
 もうちょっと丁重に扱ってくださるぅ?!

「えっ、あ、あの……?」

 フェリが何を話しかけようかと悩んでいる間に、男の人はさっさと立ち去っていく。
 どんな人なのかと見てみたら、冒険者っぽい格好をした黒髪のお兄さんだった。
 冒険のお供にブラックスライムを、とでも思ったのかなぁ?

 んもぅ、ボクはもうフェリちゃんのモノなんだから、諦めてよねっ!



***



「ということが、あったんです……けど……」

 次の日、冒険者ギルドでクリス達と合流すると、すぐに相談をするフェリ。
 仲間内でのホウレンソウは大事だよね!

「なるほどな。それは驚いただろう、大丈夫かい?」

「まーブラックスライム持ってりゃそういうこともあんだろ」

 貴重で人気があるボクだからね……あぁ、自分のスゴさが恨めしいっ!

「ニイムちゃん、便利だもんねぇ……。でも気持ちは分かるけど、いきなり売れだなんて失礼じゃない?」

「ぼく、ニイムとは離れたくない、です……」

「そうだよね! フェリ君とニイムちゃん、とっても仲良しだもん。お金で買えるもんじゃないよね!」

「はい……!」

 そうだよそうだよ!
 ボクとフェリの友情はフォーエバーなんだから!

「でもよー、もし金貨でも積まれたらどうする?」

「う、売らないわよ?」

「何でも買えるぜ? ショボい装備やマズい携帯食料ともおさらばだ。ってか冒険者やらなくても、店を構えるとかでもいいな」

「そ、そんなに……?」

「おうよ、一級冒険者ならそんぐらい出してもおかしくねぇ」

「そんなに高いんだ、ニイムちゃんって……」

 ゴクリ……そんな音がセシリアから聞こえてきそうだ。
 いやいやいや! 悩まないでよ?!

「い、いっぱいお金もらっても、イヤです……」

「……ハッ! そ、そうだよね、金額の問題じゃないよね!」

「ほんっと、調子いいよな~オメーは」

 安定の天使だね、フェリちゃん!
 本物の天使の方は『ニイムさんを売るなんて有り得ませんしむしろ金で買おうとする不届き者は滅するべきでは?』って言ってきそうだけどね。

「でもさ、また来るっていうのがちょっと怖いよねー」

「つってもその場で奪っていかなかったんだろ? 大したことにはなんねぇよ」

「それならいいけどさぁ……」

「もし困ったことになったらすぐ俺達に言うんだぞ、フェリ!」

「は、はい、ありがとうございます……!」

 クリス達もいることだし、危ないことにはならなさそうだね。
 ちょっとストーカーリーリオと同じ気配を感じるけど……。
 ま、今考えても仕方ないよね!


 とか思っていたら、ボク達に話しかけてくる人がいた。

「――お前達が”イビスの風”か?」

 ……あ。 

「はい、そうですけど……貴方は?」

「あ……! こ、この人……」

 イビスの風っていうは、クリス達のパーティー名だ。故郷の名前から取ったんだって。
 リーダーらしくクリスが対応を……

 ……って、ウワサの張本人じゃないかぁー!
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