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第一章

13.考えるスライム

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 ふい~なんとか無事に逃げ切れたみたいだね。
 やっぱり人間と遭遇するのは危ないなぁ……。
 今回は変わったお兄さんがいたから助かったけど、次はそう上手くいかないよね。
 もっと気をつけようっと!

 さてさて、またレベル上げとお宝探しにいそしみますかな~。
 あ、そういえばスライムの中じゃかなり強くなったと思うんだけど、そろそろ進化とかしないのかなぁ。

 よし、困ったときのリーリオ頼み!

『リーリオさ~ん』

 いつも通り瞬時にウインドウが現れた……のはいいんだけど、なぜかリーリオが泣いてる。

『うううっ、ニイムさんんんん~!!』

『どうしたの?』

『人間には本当に気をつけてくださいよぉ! 貴方は今スライムなんですから、いつ殺されてもおかしくないんですからね!!』

『あ、ああ……心配してくれたんだね、ありがと。大丈夫だよ、逃げ足には自信があるし』

『ほ・ん・と・う・に! 気をつけて! くださいね!!』

『う、うん……』

 もはやガイド天使とは名ばかりだね……。
 心配してくれるのは嬉しいけど、これじゃ過保護なモンペだよぉ。

『それよりさ、ボクってそろそろ進化しそうだったりしない?』

『え、進化ですか……うーん……』

 何やらボクをじっと見つめて考え込むリーリオ。
 前に「色々と見える」って言ってたから、内容をチェックしてるのかな。

『そうですねぇ、何かきっかけがあれば進化してもおかしくはなさそうです』

『きっかけか~。それってやっぱり、進化したい種類によって違うんだよね?』

『はい。例えばゾンビスライムだと一度死なないといけません』

 なんでゾンビスライムを例に出したの……。

『スライムはとにかく種類が多いですからねぇ。何に進化するかは予測できませんが……ニイムさんなら自分が望む姿になれるかもしれませんね』

『そうだね、他のスライムと違って自意識があるもんね』

『何かなりたいものはあるのですか?』

『うーん、今のところコレっていうのは無いなぁ』

『そうですか……。でも、だからこそ進化がまだ起こらないのかもしれませんね』

『あ、なるほど~。何か意識したら進化できるかも? ちょっと考えてみるよ』

『はい。新しいお姿、楽しみにしていますね』

『うん、楽しみに待っててー! じゃあね!』

 ぷつんとウインドウが消えて、また周りが静かになった。

 うーん、進化先か~。
 とりあえず強くなりたいとしか考えてなかったから、コレっていうのを具体的に考えるとなると思いつかないもんだなぁ。

 体を自由に変形できるようになったら便利かなぁ。
 あ、でも酸を出せるようになったら戦闘が楽になりそうだな。
 いや、攻撃ならいっそ魔法とか……。
 あ~さっき人間に会ったとき、薬草あげたら良いことした気分になれたし、回復魔法が使えるスライムなんかもカッコイイかもね~。

 むーん……選択肢が多すぎて悩むなぁ。
 ま、そのうち何か閃くかな?

 とりあえず、レベル上げとお宝探ししながら考えよーっと。
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