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第一章

4.うろうろスライム

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 うろうろうーろー、うろろーん。

 ボクはとりあえず、当《あ》て所《ど》もなく周りをウロついてみた。
 どうやら今いる場所は、石造りの建物っぽい。
 建物といっても、家とか城とかじゃなくて、いわゆる「ダンジョン」ってやつみたいだ。
 迷路のように通路がいっぱいあって、ところどころに小部屋がある。
 あと、ボク以外のモンスターの姿もちらほら……。

 え? スライムなのに他のモンスターと戦って勝てるのかって?

 逃げてるに決まってるでしょっ!
 攻撃方法なんて無いよ!
 ぽよぽよ跳ねることしかできないよ!

 >スライムは はねる をつかった!
 >しかし なにもおこらない!

 全くもう……世の中スライムに厳しすぎるよねっ!

 まぁ唯一良いところと言えば、他のモンスターがボクを無視してくれるところかな。
 スライムを食べても経験値や栄養が無いのか、みーんなスルー。
 あんまり近付きすぎると攻撃されそうになるけどね。
 言うなれば「うざってーハエだなー」みたいな感じ?

 あと、もしここに人間がいたら、人間に殺されちゃうかも。
 ボクも人間だったらスライムは潰すと思うし。
 うん、自信あるわ。
 ……探索中に人間に出会わなくて良かったー。

 しかし実際のところ、どうやって強くなったらいいんだろ?
 酸を飛ばしたり、体の一部をむちのように使えないかな……んー、ダメか。
 何か攻撃手段があれば、モンスターを倒してレベルアップ~とかできるのになぁ。

 そう、この世界のモンスターにとって『レベル』は重要なのだ!
 レベルが上がれば強くなるし、進化もできるようになる。
 レベルを上げる方法は、モンスターを倒して経験値を得ること。
 普通の動物や虫なんかじゃダメ。経験値ゼロ。
 普通の生き物でも倒して食べればお腹は膨れるけど、それだけだ。

 しっかし、生まれたてのスライムであるボクが倒せるモンスターなんて、この世に存在するのだろうか。(反語)

 …………。

『リーリオ~! リーリオさ~~ん!』

『はいっ』

 うぉっ、びっくりした。
 呼びかけた瞬間、ウィンドウが出るんだもんな。
 え、応答早すぎない?

『どうかしましたか?』

『応答がはや……っていや、そうじゃないや。スライムが強くなる方法についてなんだけど』

『おおっ、早速強くなろうとしているんですね! 素晴らしいです!』

『うん、そう思ってはいるんだけどさ……スライム、弱すぎない?』

『ええ、モンスターの中では最弱ですね』

『だよね? ボクってどうやったらレベルアップできるのかな? 勝てそうなモンスター、いる?』

『ぅぐっ……!!』

 ちょちょちょ、何で泣きだしたのっ!

『ど、どうしたのリーリオ……』

『すみません……せっかく貴方が頼ってくれたのに……役に立てそうにもなくて……自分が不甲斐なくて……』

 え、えぇー……そんなことで?
 天使のメンタル脆《もろ》すぎない? 大丈夫?

『えっと、そんなに思い詰めなくてもいいよ。ちょっと他の人の意見も聞いてみようと思っただけだからさ』

『すみません……』

 うーん、リーリオも良い案が無いかぁ、どうしようかな。
 最弱スライムだもんなぁ……。
 スライムか……スライム……あっ、そうだ!
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