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第一章

3.天使とスライム

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 言われてみればそれっぽいような……気がしないでもない。
 登場したときはアレだったけど、落ち着いてからの微笑みと優しい声とか。

 でも羽とか頭の輪っかとか無いし、パッと見じゃわかんないや。
 それに、謎の画面越しに会話っていうのが天使っぽくない……。
 天使ってもっとこう、光を纏《まと》いつつ空から降りてくる~みたいな感じじゃないの?

 あ、でも考えるだけで会話になるのは天使っぽいね。

『天使さんがガイド役かぁ。コレってよくある事なの?』

『私のことはリーリオ、と。……貴方は特別《・・》ですよ。スライムなのに意識があるなんて、有り得ないでしょう?』

『そう……だね。ボクの知識でも、スライムって虫ぐらいの知能しかないはずだもん』

 やっぱりボクが元人間だからかな。
 あ、リーリオがボクをスライムに転生させたとか?
 だから専属ガイドになったのかな?

 前のボク、死んじゃったのかな……死んだ記憶無いけど。
 ま、どっちにしろ今はスライムとしてやっていくしかないよね!

『あ、そうだ。ボクの名前は? ボク、名前も覚えてないんだけど……』

『貴方の名前は……ありませんね。今はあくまでもスライムですから』

『そっか。じゃあリーリオ、何か良いのない?』

『わっ、私がお付けするんですか?! や、やだっ、そんな急に……! いや、嫌だというわけじゃないんですけど!』

 あ~、さっきまで落ち着いた微笑みを絶やさないイケメン天使だったのに、一気に崩れたね。
 なんでそんなに真っ赤なの? ボクそんなすごいこと言った?

『い、いや……ダメならいいんだけど……』

『だだだだダメなんてことはないですけどそんなそんなそんな……!!』

『……うん、やっぱり自分で考えてみるよ』

『そ、そうですか? じゃあ決まったら教えてくださいね』

『うん』

 リーリオに付けてもらうのは怖いから自分で考えよ。

 それにしても名付けって天使にとっては特別なのかな?
 あぁでも、リーリオって最初ちょっとおかしかったもんな。
 前世(?)のボクと何かあったんだろうか。

 あ、ぽよんぽよんしてた時に「可愛い」って言ってたし、ものすごいスライム好き、って線もアリかな……?
 でも名前付けてって言っただけで真っ赤になるとか、どんだけー?
 部屋にスライムグッズがいっぱいあったりしたらどうしよう。
 ……スライムを育成してみたくてボクを転生させてみた、とかじゃないよね? 私利私欲じゃないよね?

 ボクがちょこっと考え込んでる間に気分が落ち着ついたのか、リーリオは天使の微笑みを取り戻したみたいだった。

『いずれ全てを思い出すまで……それまで、どうか生を謳歌してくださいね』

『うん、わかった』

『私はいつでも貴方を見守っています。何かあれば名を呼んでください』

『へへ、ありがとう! またねー!』

『ではまた……』

 リーリオの挨拶を最後に、目の前の映像が消えた。
 なんかゲームに出てくる通信ウインドウっぽいなー。
 今度からはウインドウって呼ぼう。

 よーっし、それじゃあ心ゆくまでスライム人生を謳歌しますか!
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