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第95話

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~ハルが異世界召喚されてから15日目~ 

 ギラバは2万の兵を引き連れて中央本陣のある所へと戻っている最中だった。 

 少し丘になっていてるところに本陣がある。 

 整っていたテントや木で作られた騎兵を遮る為の柵が壊され、所々に火がつけられている。 

「イズナ殿……」 

 イズナが生きていることを願いながら最も優先すべきはハルの救出だ。いや連行といった方がいいかもしれない。その方法をギラバは考えていた。 

「いいですか!あの乱戦にいる少年兵ハル・ミナミノは今後、我が王国の中心となる逸材です!これから突撃し、無理にでもつれ──」 

 ギラバが部下に命令を下している途中で、中央軍本陣からけたたましい音と伴に青い炎が乱戦を焼き尽くしたかと思えば、青い禍々しい竜が現れ帝国本陣へと向かっていく。 

「なんだ!?…あれは………」 

 ギラバと2万の兵はその場に立ち尽くした。 

───────────────────── 

 ベラドンナはノスフェルの亡骸を運んでいた。 

 ノスフェル軍の野営地に入ると、皆ベラドンナの担いでいるモノに目が釘付けだった。 

 討死の報はもう届いているのだろう。皆黙ってベラドンナの後をついてくる。 

 ノスフェルのテントにつくとそこには、ノスフェルの弟子シーリカがいた。 

「ノスフェル様!!」 

 大きすぎる三角帽子をかぶり、瞳に涙を浮かべていた。 

 ベラドンナはノスフェルの亡骸を担ぐのをやめ、前に抱きかかえるようにして持った。 

 それを泣いているシーリカへと渡す。 

 そのとき、 

 フルートベール王国中央軍のあったところから青い竜が帝国本陣へ襲い掛かろうとしているのを目撃した。 

「あれは…第五階級魔法……」 

 ベラドンナは呟く。 

 野営地にいる全員が青い炎の行方を見守っていた。 

───────────────────── 

「火属性魔法のフレアバースト……」 

 ジュドーとドルヂは自分達の総大将シドーが、王国軍総大将イズナ・アーキを討ち取った報を聞き勝利を確信している最中だった。自軍に待機していたところ、王国中央軍があったところからフレアバーストが放たれるのを目撃する。 

「…アイツ本気じゃなかったのかよ……」 

 ドルヂはハルとの戦闘に想いを馳せていた。 

「そんなことより!シドー様は!!」 

 ジュドーがツッコムと、 

「シドー様なら心配ない……」 

───────────────────── 

 ハルは唱えたフレアバーストが帝国の本陣を焼き尽くすのを見ていた。 

「ハハハハハ!ざまぁみろ!!何が戦争だ!!僕は、俺はこの世界で最強だ!!」 

 ハルの周囲と魔法の通過した所には何も残っていないのを見てハルはこれまでにない優越感を感じていた。 

ゴーン ゴーン 

 異世界召喚されて1日目に戻った。 

【名 前】 ハル・ミナミノ
【年 齢】 17
【レベル】 37
【HP】  316/316
【MP】  344/344
【SP】  372/372
【筋 力】 277
【耐久力】 280
【魔 力】 341
【抵抗力】 299
【敏 捷】 311
【洞 察】 309
【知 力】 931
【幸 運】 15
【経験値】 8754/84000 

・スキル
『K繝励Λ繝ウ』『人体の仕組み』『諠第弌縺ョ讎ょソオ』『自然の摂理』『感性の言語化』『アイテムボックス』『第四階級火属性魔法耐性(中)』『第三階級火属性魔法耐性(強)』『第二階級以下火属性魔法無効化』『第一階級水属性魔法耐性(中)』『槍技・三連突き』『恐怖耐性(強)』『物理攻撃軽減(弱)』『激痛耐性(弱)』『毒耐性(弱)』『受け流し』 
 
・魔法習得
  第一階級火属性魔法
   ファイアーボール
   ファイアーウォール
  第二階級火属性魔法
   ファイアーエンブレム
   フレイム
  第四階級火属性魔法
   ヴァーンストライク
   ヴァーンプロテクト 
  第五階級火属性魔法
   フレアバースト 

  第一階級水属性魔法
   ウォーター 

  第一階級風属性魔法
   ウィンドカッター
  第二階級風属性魔法
   ウィンドスラッシュ 

  第一階級闇属性魔法
   ブラインド
  
  第一階級光属性魔法
   ── 

  無属性魔法
   錬成Ⅱ


 ハルが1日目に戻る少し前…… 

 シドーは目の前に迫ってくる竜を模した青い炎を待ち構えていた。 

「シドー様!」 

 フォスが叫ぶ。 

「お前達は私の後ろにいろ」 

 シドーは剣、覇王の剣を地面に突き刺した。 

 青い炎がシドーを呑み込もうとしたがシドーはそれを片手で受け止める。 

 しかし、炎の勢いを止めきれない。 

 支えているシドーの足は大地を抉りながらゆっくりと後退していく。 

 シドーはたまらずもう片方の手も使って炎を押さえ込もうとした。 

 シドーの後退する速度が弱まる。そして完全に止まった。 

「はぁぁぁぁぁぁぁ!!」 

 シドーは炎を抱きしめるようにして掻き消す。 

「……」 

「シドー様?」 

 見事自分の主人が第五階級魔法を打ち消したことに歓喜する帝国兵達。一方フォスは黙っているシドーに不安を感じた。 

 シドーはゆっくりと前のめりに倒れる。 

「シドー様!!」 

 フォス達帝国兵はシドーを支えようと近寄ったが、シドーは足を前に踏み出し、身体を支える。 

「私の、勝ちだ!」 

「「「うおおおおおお!!!!」」」 

~ハルが異世界召喚されてから1日目~ 

 前回の世界線での戦争や魔法大会でわかったのは、本当の実力を出すことで色々な、しがらみが生まれることだ。 

 特に鑑定スキルを持つギラバと会うと厄介なことになる。戦争では、ハルを守ることに躍起になっていた。 

 まずやるべきことは、鑑定スキルを欺くこと、あの帝国のドルヂやおそらく他の将達もそれをしていた。おそらくあのダーマ王国のアベルもそうだろう。 

 ──そしてもう一つやることは…… 

 ハルは西を見やる。 

 獣人国のクーデターを防ぐことだ。
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