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第5話「カラスのノーブル」②
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挨拶を終えたあと、ノーブルはクルルにたずねました。
「そういえばさっき『色を探す』とか言ってたな。ありゃいったいどういう意味なんだ?」
クルルはその質問に笑顔で答えました。
「ぼくには見てのとおり色がないから、困っている誰かをお手伝いして色を分けてもらうんだ」
「へー、色をねえ」ノーブルは感心した様子です。
「ならよ、おれを手助けしてくれねえか。ちょいと困ったことがあってな」
「よろこんで。それで、困ったことって?」クルルは身を乗り出すようにして聞きました。ノーブルの話はこうです。
ノーブルはつい最近、とてもキラキラしたあるものを見つけました。それはこれまで見つけたどんなものより素敵なもので、どうしても手に入れたいのだとか。カラスは光るものが大好きなのです。
「じゃあ、今からとりにいこうよ!」さっそく駆け出そうとするクルルをノーブルが翼で制しました。
「おっと待ちな。話はそう簡単じゃねえんだ」
「どういうこと?」クルルは首をかしげます。
「見つけるには見つけたんだが場所がまずい。よりによって、パシストンの小屋ん中さ」ノーブルは困ったように言いました。
「パシストンって?」
「凶暴なブルテリアだよ。このあたりじゃ知らねえやつはいねえ。なんせあいつは、自分が気に入ったものなら他人のものでもぶんどっちまう、やっかいなやつだからな」
「もしかして、ノーブルの『キラキラ』も取られたの?」
「そんなとこだ。だからクルル、そいつを取り戻す手伝いをしてもらいてえ。やれるか?」
「わかった。やってみるよ!」
「そうと決まれば作戦会議だ。歩きながら話そう」
そうして、ひとりと一羽は目的地へ向かって歩きながら、『キラキラ』をどうやって取り戻すかを話し合いました。ノーブルにはすでにいくつか思いついた方法があったようで、クルルはノーブルが考えたそれらの方法を教えてもらいながら、一生懸命覚えようと小むずかしい顔をしてふむふむと聞いていました。
車が一台通ればやっとの細い並木道を、クルルとノーブルが並んで歩く様子は、なにも知らないものからすれば少し奇妙に見えたかもしれません。なぜなら、小さな男の子がカラスと一緒に歩いているだけでなく、さっきから頷いてばかりいる男の子ときたら、髪以外ぜんぶまっ白なのですから。
そうこうしているうちに、目的地へ到着しました。
「着いたぜ。ここだ」
ノーブルがそう言って足を止めると、そこは三角屋根の小さな家の前でした。
「そういえばさっき『色を探す』とか言ってたな。ありゃいったいどういう意味なんだ?」
クルルはその質問に笑顔で答えました。
「ぼくには見てのとおり色がないから、困っている誰かをお手伝いして色を分けてもらうんだ」
「へー、色をねえ」ノーブルは感心した様子です。
「ならよ、おれを手助けしてくれねえか。ちょいと困ったことがあってな」
「よろこんで。それで、困ったことって?」クルルは身を乗り出すようにして聞きました。ノーブルの話はこうです。
ノーブルはつい最近、とてもキラキラしたあるものを見つけました。それはこれまで見つけたどんなものより素敵なもので、どうしても手に入れたいのだとか。カラスは光るものが大好きなのです。
「じゃあ、今からとりにいこうよ!」さっそく駆け出そうとするクルルをノーブルが翼で制しました。
「おっと待ちな。話はそう簡単じゃねえんだ」
「どういうこと?」クルルは首をかしげます。
「見つけるには見つけたんだが場所がまずい。よりによって、パシストンの小屋ん中さ」ノーブルは困ったように言いました。
「パシストンって?」
「凶暴なブルテリアだよ。このあたりじゃ知らねえやつはいねえ。なんせあいつは、自分が気に入ったものなら他人のものでもぶんどっちまう、やっかいなやつだからな」
「もしかして、ノーブルの『キラキラ』も取られたの?」
「そんなとこだ。だからクルル、そいつを取り戻す手伝いをしてもらいてえ。やれるか?」
「わかった。やってみるよ!」
「そうと決まれば作戦会議だ。歩きながら話そう」
そうして、ひとりと一羽は目的地へ向かって歩きながら、『キラキラ』をどうやって取り戻すかを話し合いました。ノーブルにはすでにいくつか思いついた方法があったようで、クルルはノーブルが考えたそれらの方法を教えてもらいながら、一生懸命覚えようと小むずかしい顔をしてふむふむと聞いていました。
車が一台通ればやっとの細い並木道を、クルルとノーブルが並んで歩く様子は、なにも知らないものからすれば少し奇妙に見えたかもしれません。なぜなら、小さな男の子がカラスと一緒に歩いているだけでなく、さっきから頷いてばかりいる男の子ときたら、髪以外ぜんぶまっ白なのですから。
そうこうしているうちに、目的地へ到着しました。
「着いたぜ。ここだ」
ノーブルがそう言って足を止めると、そこは三角屋根の小さな家の前でした。
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